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Channel: ゆうちゃんの日記
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改訂版 開眼 第10話

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シンとチェギョンがボランティアを通して親交を深めている間、チェウォンはホテルの一室で、連日傘下の社長と会談を行っていた。
 
「面倒くせぇ~。ウソン、あと何社?」
「今日は、終わりました。明日が最後で問題のある会社5社とリュ電子のみです。もう少しだから、我慢してください」
「・・・全社、一緒に行う。ボンクラ息子も一緒に同席するように通達を・・・」
「クスッ、了解」
 
 
翌日、ファンは父親に連れられ、神話ホテルの会議室に向かった。
緊張した面持ちで会議室に入ると、そこには数組の親子が待機しており、その中にはインもいた。
インはファンの姿を見つけると、すぐに近寄ってきた。
 
「ファン、お前も呼ばれたのか?なぁ、ファンちと俺んち、何か関係あるのか?」
「イン・・・それ、マジで言ってる?父さんの会社もインの親父さんの会社もシンコンツェルンの傘下で、父さんたちはただの雇われ社長にしかすぎない」
「えっ!?うそっ・・・」
「今日は、1年間の報告と株主総会で議題になるだろう問題点を指摘・改善策を会長と検討する大事な日だ。父さんたちの顔を見てみろよ。みんな、青白い顔をしてるだろ?」
「ファン・・・何かがおかしい。今まで、ここで他の社長と会うことはなかったし、息子を同伴しろというのも初めてだ。会長の逆鱗に触れたようなことをした覚えはないんだが・・・」
 
ファンの父親の言葉を聞いたインは、すぐに父親の許に戻ったが、声をかける間もなく、男性が入ってきて、部屋の移動を言い渡された。
案内された部屋は最上階のスウィートルームで、そこには数名の男性が待ち構えていた。
全員が緊張した面持ちで席に座ると、各担当者が各社の経営状態と問題点の指摘を行い始めた。
リュ電子以外の報告は、目も当てられないほど酷い経営状態のようで社長と息子は青褪めていた。
 
「カン社長とは話したのだが、あんた方の親父さんは立派な人だったよ。だが、家庭的にはどうだったんだろうな。俺もだが、あなた方は二代目のボンボンで、努力せずにそのまま親の会社を継いだ。で、努力しなかったボンボンの息子は、どうなると思う?会社を潰すんだよ」
「「「・・・・・」」」
「5年の猶予をやる。今日、あんた方の会社の報告をした奴を社長秘書として付けてやろう。5年で会社を建て直し、軌道修正しろ。その間もあんた達を監視する。もし無能だと判断した場合、そこでジ・エンド。また立て直せてもそこのバカ息子が改心しなければ、あんた達もバカ息子も会社に席はない」
「「「「!!!」」」」
「俺が知らないと思ってるのか?神話学園は顔が利くんでね。息子たちの素行・成績は、すぐに分かるんだ。因みに倅からも聞いている。倅は幼稚舎から神話学園で、今度、高1だが、あんた達の息子よりは断然優秀だぜ」
「「「えっ!?」」」
「ああ、息子さん達とは接点がない。カン・ヒスに頼んで、初等部から特別カリキュラムを組んでもらってるから。あんた方の息子と一緒にすれば、カン・ヒスの息子のように手がつけられないバカになりそうだったんでね。クスクス・・・」
 
呼び出された全員が、目の前に座るチェウォンを信じられない目で見た。
 
「あっ、ウン社長。あんたんちの報告をしたヤツ、今、うちで修業中の身なんだ。イルシムの後継者を社長秘書にするんだから、覚悟しないと吸収されるから♪」
「「「!!!」」」
「最後に言っておく。俺が認めるまで、息子たちを公の場に出すんじゃない!あんた達だけなら良いが、親会社の俺まで恥をかくんだ。なぜ5年の猶予だと思う?倅が高校卒業するまで3年、兵役が終了するのに2年だからだ。だから、パク社長、キム社長、下手な小細工をするな。バカが余計バカになる。ちゃんと兵役に就かせるんだな」
 
指摘された3名の社長親子は、ガックリと肩を落とした。
 
「会長、お願いがあります。うちの息子をお宅で勉強させてもらえませんでしょうか?」
「・・・リュ社長のご子息をか?」
「はい。神話グループの専務を会長が更生させたと噂を耳にしたことがございます。是非、うちの息子も修行させていただきたい」
「・・・・ウソン、リュ社長とカン社長を残して、あとは個室で各自打ち合わせをしろ。お前ら、1年で結果を出さないと、1から修行させるからな」
「「「げっ・・・」」」
 
4社の社長親子と各担当者がリビングから出ていくと、リュ電子を担当した若者がコーヒーを淹れて、戻ってきた。
 
「カン社長、すでにあんたの会社には、ウソンが改革しているから、敢えて言わない。だが、さっきの社長たちよりかなり厳しいことだけは自覚してくれ」
「・・・分かっております」
「リュ社長、この場に同席させて悪かったね。あなたの経営には何の問題もなかった。ただご子息が気になったから、同席させたんだ」
「・・・申し訳ありません」
「ファンくんだっけ?なぜ友達の暴言を注意しなかった?そこのイン君もだ」
「「あっ・・・」」
「今、チャングループの現状は知っているよな?俺がマスコミを抑えなければ、カンコーポレーションもリュ電子も被害を被っていただろうね。当然、宮が一番叩かれたろうけどね。意味が分からなければ、俺が君たちを庶民以下の生活に突き落としてあげるけど?」
「「「「!!!」」」」
「今日、報告を読み上げた奴らのうち4人は、君たちが言う庶民以下の子たちだ。俺は、家柄がなくても能力があれば採用し、例え親からの縁でも能力がなければバッサリ切り捨てる。何万もいる社員を路頭に迷わすわけにはいかないんでね」
「「・・・はい」」
「それから、イン君。高校生の分際で、女を囲うような真似は止めなさい」
「えっ!?」
「違うのか?じゃあ、キャバ嬢に貢ぐような真似か?貢ぐなら、自分で働いた金で貢ぐんだな。君が横領していた商品の代金は、全額親父さんに弁償してもらった。それとあのショッピングモールは、うちが直接管理するから、君は出入り禁止ね」
「///・・・はい」
「リュ社長・・・あなたのご子息は、素直だが判断力に欠けるように思う。真面目だから言われたことは忠実に遂行できる。だが、これでは優秀な社員にはなれても経営のTOPは無理だろうね」
「・・・はい」
「うちで預かってもいいけど、高校卒業まで少し待ってくれないか?今、厄介なヤツから頼まれて、一人預かってるんだ。ある意味、神話のドラ息子より性質が悪いんだ。早く追い出したいんだが、しばらく入り浸りそうでね」
「は、はぁ・・・では、卒業後にお願いします」
「・・・親父、いい加減、認めてやれよ。ヒョン、本当に変わったぜ」
「嫌だね。そうだ、リュ社長、リュ電子の担当は俺の倅だから」
「「えっ!?」」
「ファン君に見込みがないと判断したら、即、倅じゃなく俺が直接介入するから。覚悟してて」
「・・・はい」
「親父、脅すんじゃねぇ。。。リュ社長、今後ともよろしくお願いします」
「は、はい。こちらこそよろしくお願いします」
「チェジュン、リュ電子は俺が動く。お前は当分、チュンハからレクチャーを受けろ。坊主が諦めたら、お前を坊主に付けてやると言ってきた」
「はぁ?!親父、ヒョン玉砕が前提かよ・・・とりあえず、明日から動く。バイト代、弾んでくれよ」
「・・・ボランティアだと思え。幼い子供二人抱えてるのに2年間無給生活させられ、奥さんが働きに出だしたんだ。あそこと関わると、マジで碌なことがない。お前もよく覚えとけ」
「で、そこに俺を差し出すと約束してきたんだ。。。親父、鬼だな」
「あそこから金を貰う訳には行かないだろうが。祖父さんは、一言で施設まで建てさせられたんだ。諦めろ」
「・・・恐るべしシン家の教育方針。ウソンヒョン、目を通さないといけない書類、俺の部屋まで持ってきてもらっておいて。時間が惜しい。学校が始まるまでに叩き込む」
「クスッ、了解!」
「では、お開きにしましょうか?チェジュン、俺は先に帰るから、支配人に会って明日の打ち合わせを頼む」
 
チェウォンとウソンが部屋を飛び出していくと、チェジュンは深いため息を吐いた。
 
「お疲れさまでした。では、俺も明日の用意がありますから、これで失礼いたします。明日の懇親会、またよろしくお願いします」
「「い、いえ、こちらこそよろしくお願いします」」
 
立ち去ろうとするチェジュンを インは引き止めた。
 
「なぁ、一つ聞いていいか?チャングループは、どうなるんだ?ギョンは、大丈夫なのか?」
「・・・はぁ、やっぱあんた最低だな。怪我した被害者の心配はせずに加害者の心配をするあんたに答えるつもりはない」
「それは・・・怪我をした相手が誰か分からないから・・・」
「分からないんじゃない。分かろうとしなかったんだろ?俺からすれば、リュ電子の息子、アンタも同罪だね」
「・・・ごめん」
「ハァ・・・チャングループは、うちの傘下じゃないから助ける義理はない。だが、様子は窺っているし、神話グループと検討を重ねている。あそこが倒産すれば、経済がかなり混乱を招くからな。ヤバくなれば、うちが介入して、神話グループが吸収すると思う」
「神話グループが?」
「同業種でライバル企業だからな。そのぐらい把握しとけよ。俺より2コ上なんだろ?因みに神話も合併話もあったけど、うちも手一杯だったから融資したんだ。だから、親父が神話の筆頭株主ってヤツ。だから、融通が利くんだ。なぁ、アンタら、親の跡を継ぐの甘く見てないか?で、他人の心配より己の心配をしろよ、カン・イン。じゃあな」
 
チェジュンが去っていくと、ファンとインの父親たちが近づいてきて、共に部屋を出た。
誰も話す者はおらず、エレベーターで1階まで降りると、チェジュンと神話グループの時期総帥が笑顔で談笑していた。
エントランスで、カン親子と別れたリュ親子は、そのまま待たせていた車に乗り込み、家路に着いた。
 
「ファン、会長とご子息に出会って、どう思った?」
「全てにおいて、スケールが違う。その一言だった」
「会長は、若い頃、放蕩息子と噂されていた。だが、裏で傘下すべての会社に潜りこんで働いてたそうだ。で、突然、出てきたと思ったら、不正していたTOPをバッサリと切った。その反面、普段は各施設の運営とボランティアに力を入れておられる。ほとんど表に出てこないが、先代以上にヤリ手だと噂されている人物だ。ファン・・・」
 
ファンは、父親にジッと見つめられ、ゴクリと唾を飲み込んだ。
 
「ファン、お前に見込みがないと判断したら、会長ではなく私が引導を渡し、リュ電子をシンコンツェルンにお返しする。そのつもりでいてくれ」
「・・・はい」
 
(ただ一つ気になることが・・・金が貰えないのに有能なご子息を派遣するってどこなんだ?会長の人脈は広すぎて、私には想像もつかない)
 
 

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