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Channel: ゆうちゃんの日記
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選択 第67話

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皇族一行が出発してすぐ、宮にはチェギョンが呼んだと思われる男たちがやって来た。
キム内官とユン尚宮は、彼らを出迎えるとチェギョンの許に連れていった。

「誰もいないから、徹底的にお願いします。キムオッパは正殿、オンニは慈恵殿に案内してあげて」
「姫さま、一体何を・・・」
「キムオッパ、姫さまは止めてって言ってるでしょ。皆さんがいない内に徹底的に盗聴器、隠しカメラの捜索をするのよ。そうでないと安心して、住めないでしょうが・・・宮は、ホントつけ入る隙がありすぎる。TOPに仕えてる奴は危機管理能力が欠如しているボンクラだし・・・」
「チェギョンさま~(半泣)」
「・・・キムオッパ、捜索に皇后さま付きのイム女官を同行させて、捜索終了次第、ここに連れて来て」
「えっ、まさか・・・」
「そのまさかよ。。。時間が勿体ないわ。急ぎましょう」

落ち込むキム内官とユン尚宮は、正殿や事件殿に案内する為、東宮殿を出ていった。

「クククッ・・・チェギョン、苦労してるな。俺は東宮殿を捜索したらいいのか?」
「あっ、お世話になります。よろしくお願いします」
「了解。見つかったものは撤去するが、別に新しく設置する。いいな?」
「はい、お願いします」

男がシンの私室に入っていくと、入れ替わりにパビリオンにジフが出てきた。

「チェギョン、今の人、誰?」
「一族が送ってきた私の守り人だよ。翊衛士の武術指導とかもしてる。その道のプロみたい」
「・・・俺、あの人、見たことある気がする」
「うん。ソギョン爺ちゃんの口利きでうちに来た人みたいだよ」
「ふ~ん。俺、今日、する事がないから大学に戻るね」
「うん。明日には戻ってくるんでしょ?それまでには、快適な空間にしておくね」
「クス、期待してる」

慈恵殿の捜索はすぐに終わり、広い正殿の捜索を手伝うようだった。
ほぼ半日かけて捜索が終わり、キム内官とユン尚宮は一人の女官を連れて、東宮殿に戻ってきた。
東宮殿のシンの私室のソファーには、チェギョンとシン・ハギュン、そしてもう一人の男性が座っていた。

「お疲れさま。で、見つかった?」
「はい。正殿は、皇后さまの寝室と皆さまが集う居間、陛下の執務室に仕掛けられておりました」
「そう。女官のオンニ、座ってお話しましょうか」

連れて来られた女官は、顔色も悪く、心なしか震えている。

「単刀直入に言います。犯人は貴女よね?」
「・・・・・」
「チェギョン、元侍従の俺から話をしよう。アンタ、身言牌を甘く見てんじゃないか?破った者は当然だが、罰は家族にも及ぶ」
「えっ!?」
「法度は何百年も前に作られたものだ。昔なら、当然一族全員死罪だった。今は、刑は幾分軽くなったが、それでも秘密漏えいしたんだ。実家に家宅捜索は入るし、家族は事情聴取を受けるだろう。そして自宅には戻れない」
「嘘っ・・・・」

ここまでおとなしく聞いていた女官だが、急にブルブルと震えだした。

「言い訳を聞くつもりはない。アンタの部屋、調べさせてもらったら、山のようなブランド品が出てきた。女官の給料だけじゃ払えないから誘いに乗った。そんなところだろう」
「・・・誰に情報流してたの?」
「チェギョン、それは俺が調べた。皇后さまの後釜を狙っているみたいだ。ソイツの妹が,いかず後家で、最近、せっせとエステに通いだしてる」

話を聞いて、チェギョンが顔を真っ赤にさせて怒り出した。

「皇后さまが亡くなるのを楽しみに待っている輩がいるって事?」
「そういう事だな」
「オンニ、これが露見したら、皇后さまを溺愛してる陛下は相当お怒りになられるだろうね」
「そ、そんな思惑だとは、知らなかったの」
「どんな思惑だろうと、オンニがお金の為に情報を売ったんでしょ。言い逃れはできないと思うわよ」
「・・・ど、どうしたら・・・」
「良いかって?そんなの私に分かる訳ないじゃない。だってまだ13歳だもん」

『13歳』の言葉に ハギュンともう一人の男性は、プッと吹きだした。

「アジョシ達、ちょっと失礼なんじゃない?!」
「クククッ、すまん、すまん。おい、雇い主に電話しろ。俺が話をつけてやる」

女官が震える手で操作したスマホを 横から取り上げるとハギュンは耳に当てた。
スピーカーにしたのか、皆の耳にも呼び出し音が聞こえてくる。
もう一人の男が、ペン型の録音装置をハギュンに渡した。

『ヨボセヨ。イム女官、連絡を待っておったぞ。やっと皇后さまの容態が急変したのか?』
「・・・・・」
『おい、どうしたんだ?イム女官』
「残念ながら、イム女官ではありません。以前、王族会議でお邪魔したシン・ハギュンです」
『!!!』
「イム女官は、我々が拘束しました。このまま陛下の前に突き出してもよろしいでしょうか?」
『なな何の話だ?儂は、何も知らん』
「そうでしょうか?【ヨボセヨ。イム女官、連絡待っておったぞ。やっと皇后さまの容態が急変したのか?】これを一緒に提出したら、皇族の皆様はどう解釈されるでしょうね?」
『ま、待て、待ってくれ!』
「今日は、皇族の皆さんが不在ですので何もできません。ですから明日までに進退をお決めになってください。賢明なご判断をされたなら、皇族の皆さんには黙っていましょう」
『脅迫するのか?』
「ご冗談を。。。私は救済のつもりでお話したのですが?この事を話せば、先の王族たちと同じ運命を辿るのは必至ですからね。家族全員、無人島に放逐。耐えられますか?」
『・・・・・』
「では、失礼いたします」

ハギュンは通話を切ると、チェギョンに向かってニヤリと笑った。

「アジョシ、お疲れ。しっかし腹黒いね~♪」
「計算高いと言え!それよりチェギョン、この女官はどうすんだ?」
「う~ん、どうしたらいい?ここにキムオッパとオンニがいるから、宮は無理でしょ」
「うちも無理だぞ。金で裏切るような奴は、信用できないからな」
「宮に借金取りが来ても迷惑だし・・・キムオッパ、宮は退職金制度はあるの?」
「えっ、ありますが、イム女官は勤続年数が短いので小額かと・・・」
「オンニ、ブランド品を処分して借金を返してください。それでも返せきれない場合は、自己破産するしかない。アジョシ、ドンヒョクアジョシの事務所、紹介してあげて」
「その後は?」
「家族の許に帰るしかないでしょ。それで良い男の人と出会って恋愛するのも良いんじゃない?女官じゃなくなるんだからさ」
「クククッ、そうだな。おい、2度目はない。退官しても絶対に宮の事は勿論、チェギョンの事も口にするな。一生塀の中から出られないぞ」
「わわわ分かりました・・・」
「キムオッパ、オンニと一緒にブランド品の処分と借金の返済。ユン尚宮オンニは、寮に行ってオンニの荷造り。皆さんが帰ってくるまでに片を付けてしまおう」
「「・・・かしこまりました」」
「オンニ、ご家族の為にももう誤った道に走らないでね。お元気で・・・」

深々と頭を下げたイム女官とキム内官、ユン尚宮が部屋を出ていくと、ハギュンが後を追った。

「おい、言い忘れていたことがある。先帝が、『チェギョンを危険に晒す者は、死罪もしくは同等の罰を与えよ』と勅命を残してる。だから、あの子は国レベルで守られているんだ。命が惜しければ、口は閉じておけ。分かったな」
「は、はい」
「じゃあな」

ハギュンが踵を返すと、キム内官が歩みを促すようにイム女官の背を押した。

「今の話は事実だ。現に大統領警護官からマフィアまで、姫さまを守っている。国賓以上の待遇だと思って良い」
「ぜぜぜ絶対に喋りません。神に誓います」

(ユン尚宮は脅迫と思ってるだろうな。でも信じられないだろうが、事実だから仕方ない)













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