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Channel: ゆうちゃんの日記
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改訂版 開眼 第9話

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翌朝、朝食を摂ったシンは、チュンハの運転で宮へと戻った。
東宮玄関の車止めに着くと、コン内官が出迎えてくれた。
 
「殿下、お帰りなさいませ。お待ちしておりました」
「陛下は?」
「執務室でお待ちでございます」
「分かった。急ごう」
 
執務室に向かうと、陛下がキム内官と共に待ち構えていた。
 
「至急、報告することがあり、参内いたしました。お時間を取らせ申し訳ありません」
「構わぬ。一体、何があったというのだ?」
 
予め用意してもらっていたパソコンを立ち上げ、ギョンの事件が載っている記事を陛下に見せた。
陛下は、眉間に皺を寄せながら、記事をスクロールし、読み進めていく。
 
「太子、大変遺憾な事件ではあるが、この事件がお前にどう関係してくるのだ?」
「はい。加害者であるチャングループの御曹司は、僕がいつも一緒にいた友人です。そして怪我をした被害者は、チェギョンです」
「何だって!!」
「・・・ギョンが他の生徒たちに対して暴言を吐いていても何事にも無関心だった僕は知らぬ振りをしていました。僕の態度がギョンを助長させてしまったのかもしれません。昨日、アジョシに指摘され、初めて自分の愚かさに気づきました。申し訳ありませんでした」
「・・・太子、チェウォンは何と言っているんだ?」
「はい。皇族としての自覚がないと言われました。あと学校では、国民の反感を買うから一緒には行動するなとも言われました」
「キム内官、学校に連絡を入れ、この生徒の処分と対処を聞き、3年次のクラスは離してもらう指示を出しなさい」
「かしこまりました」
「陛下、アジョシが言っていた【秘密の恋人】についても報告してもいいでしょうか?全く身に覚えのない話なので、友人に確認したら、もう一人の友人が連れてきた女生徒のことで、その女生徒が僕と付き合っていると吹聴していると判明しました。その女生徒と関わりたくないので、陛下のお力をお借りできませんでしょうか?」
「自分で解決できないのか?」
「もう一人の友人リュ・ファンが、噂を払拭するよう動いてくれましたが、チャン・ギョンとカン・インはその女生徒の肩を持って僕とくっつけようとしていると教えてくれました。これ以上、誤解をされたくありません。早急に手を打ちたい」
「誤解?それは、チェウォンの娘が誤解しているということか?」
「はい。『彼女に悪いから、自分の事は黙っているように』と言われました」
「で、誤解を解きたいということか?太子、チェギョンさんが気に入ったようだな」
「///・・・とても温かい人です。それに僕を皇太子ではなく、イ・シンとして普通に接してくれます。アジョシには関心を持つなと言われていますが、宮に戻っても友人として関わりを持ちたいと思っています」
「だから、その女生徒がいると困ると言う訳か・・・キム内官、太子に協力してやってくれ」
「かしこまりました」
「ありがとうございます、陛下。ではシン家に戻ります」
 
シンが席を立とうとすると、陛下は慌ててシンを止めた。
 
「折角、来たのだ。社会勉強の感想を聞かせてくれ。チェウォンの社会勉強は、かなりハードだろ?」
「はい、全身筋肉痛です。チェジュンと一緒に工事現場、漁船、農家の手伝いに放り込まれました」
「「!!!」」
「クククッ、やっぱりな。私もさせられたよ。皇族なら、国民の苦労、金の大切さを知れってな」
「はい、正直大変ですが、良い経験をさせてもらっていると思います」
「太子、変わったな。実は、先帝の遺言とは関係なく、高校卒業後にでもチェウォンに太子を預ける気だった。アイツの影響力・人脈は、凄いからな」
「・・・人脈は、確かに凄そうですよね。神話グループやイルシムとも関係があるようですし・・・」
「詳しくは知らないが、ソウルの大企業の大半はアイツの息が掛っていると思って間違いない。あれで人望もあるようだし、益々拡大しているんじゃないか?」
 
シンは驚きすぎて、口を開けたまま固まってしまった。
 
「クククッ、太子、口が開いてるぞ。。。太子、チェウォンとの社会勉強もいいが、チェギョンさんとのことも忘れるなよ」
「///は、はい」
「脈なしなら、お前には送られてきた見合い写真から皇太子妃を選んでもらう」
「えっ!?」
「チェウォンの所で鍛えられ、一回りも二回りも成長して宮に戻ってくるだろう。そんな太子を見て、王族たちが黙っていると思うか?間違いなく婚姻を勧めてくるだろうな」
「・・・・・」
「まぁ、頑張りなさい」
「はい。では、アジョシの許に戻らせていただきます。キム内官、少し打ち合わせがしたい。東宮玄関まで見送ってくれ」
「かしこまりました」
 
シンと学校の問題の解決を命じられたキム内官が執務室を出ていくと、入れ替わりにチェウォンが入ってきた。
 
「クスッ、やっぱり来てたか・・・チェウォン、太子はどうだ?」
「どうって・・・少しは成長したんじゃないか?俺から言わせればまだまだだがな・・・明日から、チェギョンとボランティアに行かせる」
「チェギョンさんと?」
「ああ。イヤだが、仕方ないだろ。ボランティアは、手本になるヤツと一緒でないと身に付かないからな」
「チェウォン・・・お前も本当は太子との縁を望んでいるんじゃないか?」
「バカな・・・正直、シン・チェヨンの孫ではなく、チェギョン自身を望んでくれるヤツなら、平凡な奴でもいいと思ってるさ」
「おい、そんな奴は皆無に近いと思うぞ。例えいたとしても、バックにお前がいるのが分かれば、欲が出て人格が変わるか、逃げ出すだろうよ」
「・・・お前に心配されなくても分かってる。アジョシ、坊主のタキシード持ってきてくれる?」
「タキシード・・・どうするのかね?」
「うん。今度、うちのグループ企業の懇親会があるんだ。そこに俺が信頼する御曹司たちを呼ぶ。近い将来、必ず経済界を引っ張っていく有望な奴らだ。そいつ等と顔合わせしておいて損はないと思う」
「分かった。すぐに用意させよう」
「アジョシ、頼むね」
「・・・チェウォン、チェギョンも連れていくのか?」
「勿論♪俺が、これと見込んだ奴らだからな。それが何か?」
「・・・結局、良い所に嫁がせたいってことだろ?」
「少し違う。俺の力を必要としない奴らなら、チェギョン自身を見てくれるという事だ。まぁ、そこから恋愛に発展するかは、本人次第。チェギョンは俺の娘だ。決して、本物を見極める筈だ。クズは選ばない。坊主は、どっちに分類されるんだろうな」
「・・・・・」
「一つ、朗報がある。倅は、坊主を気に入ったようだ。王族の娘を皇太子妃にした時は、期限付きで倅を坊主に付けてやろう。おそらく賄賂が飛び交い、王族会は荒れるだろうからな。今度高1だが、いい働きをするぞ。俺の倅だからな。クククッ・・・じゃ、東宮殿で着替えを受け取って帰るわ。じゃあな」
 
チェウォンが出て行った執務室で、陛下はクスクスと笑いだした。
 
(クククッ・・・何だかんだ言っても、太子を気に入ってくれてるみたいだな。太子は、私の息子だからな。お前が気に入らない筈がない。あとは、当人同士の問題か・・・太子の話では、良いお嬢さんのようだ。一度、宮に呼んでみるとするか・・・)
 
 
 

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