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Channel: ゆうちゃんの日記
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前進あるのみ 第59話

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宮に連れ帰られたチェギョンは、シンにベッドの上でお仕置きを受けながら、洗いざらい白状させられた。
グッタリしているチェギョンの横で、シンはチェギョンの背中に指を這わせながら、イギリスとの時差を計算するとアンナに国際電話を掛けた。
そして、来韓する日程や宿泊先などを聞くと電話を切り、再びチェギョンに覆いかぶさっていった。
 
翌朝、シンは、朝の挨拶の為、正殿に向かうと、夏休みの課題の為、休暇を申し出た。
 
「シンや、日程は決めておるのか?」
「はい。慶尚北道への公務のあと、温洋の御用邸で1週間ほど休ませていただきます」
「1週間もか?」
「いけませんか?誰の所為とは言いませんが、祖国を知らないチェギョンに色々案内して、いい景色を見せてやりたいと思ったのですが・・・」
 
そう言われると、心当たりのある上皇と陛下は黙るしかなく、皇太后がニコニコしながらシンに許可を出した。
 
「ありがとうございます。今回の公務と休暇には、東宮殿の料理長も同行させます。晩餐会がないので、差支えはない筈です。では、チェギョンの許に戻ります」
「シン、待ちなさい。一つ、聞こう。お前は、決めたのだな?」
「・・・俺の中では、その選択しかありません。ですが、今の状態では、チェギョンは首を縦に振るとは思えません。俺の意志は、もう伝えてあります、だから彼女が安心して、宮に嫁ぐ決心をしてくれるまで、黙って待ってやってください。この通り、お願いします」
 
頭を下げるシンを見て、上皇たちは驚いてしまい、口を開くことができなかった。
 
「シン、チェギョンが待っているのでしょう?早く戻ってあげなさい」
「はい、皇太后さま。では、失礼させていただきます」
 
飛び跳ねるように居間を出て行くシンをただ茫然と見送った上皇は、我に返るとスを呼び出すようにキム内官に命じた。
朝食を摂り、再び居間へと戻ってくると、スとユルがお茶を啜りながら上皇たちを待っていた。
 
「おはようございます。お呼びと伺い、ユルと参内いたしました。朝方から、一体何事なのでしょうか?まさかシンのことではないでしょうね?」
「「「・・・・・」」」
「クスクス、父さん、シンのことみたいだね。上皇さま、シンが長期休暇を申し出たことですか?」
「ユル、お前は知っていたのか?」
「いえ。シンは単純な奴ですから、行動が予想しやすいんです。昨日、チェギョンがシンに黙って、友達と合宿を計画してたことが分かったんです。シンが、チェギョンを一人で行かせると思いますか?クスクス・・・」
 
ユルの説明に 上皇たち4人は、納得してしまった。
 
「なるほどな・・・そういう事であったか。。。スや、シンがやっと本心を話しおった。チェウォンの居場所を知っているなら、教えてくれんか?渡米して、2人の事を認めてくれるよう頭を下げてくる」
「・・・上皇さま、先日、チェウォンが帰国した際、私から話をしておきました」
「「「「!!!!」」」」
「複雑そうでしたが、最後はチェギョンの意志に任せると言って、再渡米しました。一応、チェウォン達の完全帰国も勧めておきましたよ」
「・・・ス、シンはこの事を知っているのか?」
「はい。空港まで見送りに来ていましたからね。チェウォンは、シンにも【チェギョンを頼む】と言っていましたよ」
 
上皇はスの話を聞き、ホッとしたものの、先程のシンの言葉が気にかかった。
 
「では、なぜシンは、婚姻したいと言い出さないんじゃ?もう誰も反対しておる者はおらぬというのに・・・」
「・・・今のままじゃ、チェギョンが傷つくからでしょうね」
「傷つくとは?どういうことじゃ?」
「・・・チェギョンの体調の事は、ご存じだと思います。シンの献身的な支えである程度は戻りましたが、シンはチェギョンが完全に回復するまでは婚姻も婚約もしないと思います」
「「「・・・・・・」」」
「クスッ・・・そんな不安そうな顔をしなくても・・・誰よりもチェギョンとの婚姻を望んでいるのはシンです。まぁ、そんなに焦らず、気長にお待ちになられたらいかがですか?」
「そうか?お前がそう言うなら、そうすることにしよう」
「あとチェギョンではなく、エリー・シンとしての問題が一つ。チェウォンが言うには、契約期間がまだ残っているそうです。だから、もし声が掛った場合、再度舞台に立つ必要があると言っていました。その為に最低限のレッスンは、今もしている筈です。シンが、東宮殿を一部改装したのはその為ですよ」
「宮から契約を白紙にするよう要請してはいかがですか?」
「ミン妃・・・あなたは、芸術的才能がある学生を支援する団体の総裁に付いておられる筈。なのにエリー・シンの舞台はおろか、記事も見たことがないのか?インターネットでいくらでも見られるというのに・・・」
「・・・・・」
「エリーの舞台見たさに世界中からバレエ愛好家が来韓したぐらいエリーファンは多い。世界中を敵に回すような事は止めた方が良い。ミン妃、これ以上、私を失望させないでほしい」
「・・・申し訳ありません」
「先日、酒を酌み交わしていた時のアイツの言葉です。尊敬する親父の跡を継ぐために医学の道に進んで、宮に出入りした。だが、そこで見たものは、私の苦悩とミン妃、あなたの涙、そしてシンの孤独だった。そんな宮に娘を嫁がせたいとは思わない。。。ミン妃、チェウォンはあなたの心配をしていましたよ。シンは前を向いて、歩き出しましたよ。あなたも一歩、進むべきじゃないですか?ヒョンと信頼関係が結べないなら、離婚しなさい」
「「!!!」」
「兄上!!」
「ヒョン・・・チェウォンは、お前とファヨンの事を知っていたよ。そして、お前を非難してた。シンには感謝しているが、私たちの所為で婚姻については心が付いていかないって、チェギョンに会わずに再渡米したよ」
「・・・・・」
「ヒョン、ミン妃としっかり話せ、ミン妃は勘違いしてるんじゃないかとチェウォンが言っていた」
「えっ!?勘違い?」
「ミン妃、ユルは私の子です。ヒョンの子じゃない」
「「「!!!」」」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!確かにファヨン妃には憧れてはいたが、そんな関係になったことはない。皇后、どうか信じてほしい」
「・・・ヒョン、ここではなく二人きりで話せ。ユルの前で、これ以上元嫁の話をしたくない」
「兄上、申し訳ない。上皇さま、私と皇后はお先に失礼させていただきます。ミン、行こう」
 
陛下と皇后が居間を出ていくと、スはフゥ~と溜め息を吐いた。
 
「スや・・・」
「何です?言っておきますが、私の離婚はファヨンの所為ではありません。全ての原因は、私にあります。決して、ファヨンを責めるようなことはしないでいただきたい」
「・・・わ、分かった」
「上皇さま、ヒョンたちがいたので言い出せなかったのですが、チェウォンはチェギョンがファヨンと同じ悩みを持つのではと危惧しています」
「それは、何だ?」
「あなた、分からないのですか?皇孫です。なかなか子に恵まれなかったため、ファヨンは王族たちから責められ続け、壊れてしまったのです。ユル、本来のファヨンは、本当に笑顔が素敵な人でしたよ」
「皇太后さま・・・初めて母上の良い話を聞きました。ありがとうございます」
「・・・スや、チェギョンがファヨンと同じ悩みを持つ可能性があるというのか?」
「ええ。徹底した食事制限していた為、チェギョンは女性特有のモノが止まっているようです」
「「!!!」」
「ですが、シンは医師からその説明を受け、すべて承知の上でチェギョンを望んでいますし、毎日、自ら改善する薬湯を飲ませています。上皇さま、皇太后さま、どうか温かく2人を見守ってやってくれませんか?」
「・・・分かった。そうするとしよう」
「クスッ、上皇さま、東宮殿の女官たちは優秀だから耳に入っていないのでしょうが、あの二人はもう関係を持っていますよ」
「ユル、それは本当か?」
「ええ、父さん。シンが白状しました。シン曰く、チェギョンの全てがツボだそうです。きっと毎晩じゃないですか?おそらくチェギョンは一度も月のモノを見ることなく、懐妊すると思いますよ。クスクス・・・」
 
上皇、皇太后、スの困惑をよそに ユルは可笑しそうに笑うのだった。
 
(ユル、笑いごとじゃないだろう。嫁入り前の娘に何てことを・・・チェウォンが知ったら、きっと怒るぞ。。。)
 
 
 
 
 

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