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Channel: ゆうちゃんの日記
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改訂版 開眼 第16話

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翌日、登校したシンは、いつもと違う視線を感じたが、ポーカーフェイスを保ち教室までやって来た。
教室に入っても同じで、クラスメートたちがジロジロとシンを見てくる。
 
「シン、おはよう」
「ファン、一体、何なんだ?皆、何であんなにジロジロ俺を見るんだ?」
「昨日の彼らの所為だよ。ソ・イジョン、彼は有名人だからね。素性を知らなくても神話の制服を着て、ソ・イジョンと仲が良いもう一人と帰宅したんだ。注目されて当たり前だと思うよ」
「ハァ・・・そういう事か。分かった」
「シン、シンコンツェルンの会長の家に預けられてたんだね」
「・・・ああ。チェジュンと一緒にかなり扱かれた。お蔭で、目が覚めた」
「うちの父さんが、僕を預かってほしいって会長に頼んだら、厄介な友人から一人預かってるから高校卒業まで待ってほしいって言われたんだ。それって、シンのことだったんだね。どうだった?」
「・・・ファン、止めておけ!避けられないなら、今から体力をつけておけ。死ぬぞ」
「マジ?」
「・・・体が慣れるまで、全身筋肉痛で湿布だらけだった」
 
シンの告白に ファンは顔色を悪くしたが、思い直してシンに切り出した。
 
「シン、頼みがある。シン・チェジュンに会わせてくれないか?」
「・・・ファン、お前なら父親に頼めば会えるだろ。何で、俺に頼むんだ?」
「会社レベルじゃなく、僕が個人的に会いたいんだ。会って、彼に教えを乞いたい」
「俺よりユルに頼んだ方が早いぞ。ユルは、チェジュンの家に住むからな」
「えっ!?ユル?」
「ああ、知らなかったか?昨日、イジョンさんと一緒に帰った奴。。。俺の従兄弟なんだ。10数年ぶりに帰国して、ここの美術科に編入してきたんだ」
「じゃ、シン、従兄弟を紹介してほしい。自分で、シンの従兄弟に頼んでみるよ」
「・・・分かった。だが、あまり期待するなよ」
 
シンは一応承諾したが、本心はファンをチェギョンに近づけたくはなかった。
 
(ハァ・・・ファンの真剣さも分かるし・・・俺、どうしたらいいんだ?)
 
休み時間になると、映像科の隣のクラスの噂が、シンとファンの耳にも入ってきた。
 
「ファン、どういう事だ?インとギョンが仲違いって・・・」
「うん・・・ヒョリンを会社令嬢だと偽ってたことにギョンが裏切られたと思ったんじゃないかなぁ。ギョンは、くだらない特権意識があるからね。でも丁度、良かったと思うよ。僕もだけど、インもギョンとは距離を置けと父親から命令されてたろうしね。この間、シングループの懇親会があったんだけど、父さんたち、相当圧力を掛けられたみたいなんだ。特にインの親父さんは、顔面蒼白だったみたい」
「・・・ファン、俺、その場にいた」
「シン!!」
「圧力を掛けたのは、昨日のイジョンさんを含む御曹司4人だ。かなり辛辣だった」
「た、例えば?」
「学力の低さ・・・インとギョンは神話学園の入学基準を満たしてないって。ファンでギリギリだそうだ」
「えっ!?」
 
映像科ではシンに次ぐ成績だと自負しているファンは、信じられない思いだった。
 
「あと神話の御曹司が、自分ならインとファンの親父さんの会社は潰してたって。今度は容赦はしないとも言ってた。それから、お前たち次第で、スアム文化財団の御曹司も事業に乗り出すって話だった」
「・・・僕は、本当に崖っぷちなんだね」
「ファン・・・大丈夫か?」
「あっ、うん。シン、教えてくれてありがとう」
 
シンは、ショックを隠し切れないファンにこれ以上かける言葉が見つからなかった。
そして、ファンの為に何かしてやりたいという気持ちが、ムクムクと湧いてきてしまった。
授業中もずっと悩み続けたシンは、4時間目が終わるとフゥ~と大きく息を吐くと、ファンの席まで行った。
 
「ファン、怒鳴られる覚悟はあるか?」
「へっ、怒鳴られる覚悟?」
「ああ。ユルを紹介するつもりだが、その前に大きな障害がある筈だ。昨日、俺も【この男】と言われ、虫けら扱いだった」
「シンをか!?」
「ああ。彼女を攻略しないと、ユルと話せないし、チェジュンまで辿り着けないと思え」
「う、うん」
「じゃ、行くぞ」
 
シンは、ファンを連れて、初めて美術科が入っている校舎に足を踏み入れた。
生徒たちの異様な視線に困惑しながら、シンとファンは目的地であるユルのクラスまでやってきた。
 
「ユル!」
「えっ!?・・・シン?」
 
廊下から呼ばれたユルは、シンの突然の登場に驚くも 廊下に出てきた。
 
「急にどうしたの?宮からの伝言?」
「いや、まだ報告していない。ユルにも心の準備が必要だろ?」
「クスッ、シン、サンキュ。で、僕に何の用?」
『ちょっと、どの面下げて、ここまで来たわけ!?ここは、セレブのお坊ちゃんが来るところじゃないわよ』
「「えっ!?」」
 
声のする方に顔を向けると、ガンヒョンが仁王立ちして、シンとファンを睨んでいた。
 
「ガンヒョン、どうしたの?」
「・・・ユル君、殿下は従兄弟だし仕方ないと思う。でもそっちの男と付き合うなら、もう私たちには関わらないで」
「えっ!?ガンヒョン、ちょっと待って。話が見えないんだけど・・・?」
「この男の親友が、石を投げつけた挙句、謝るどころか殴りつけてきたのよ。庶民の貧乏人に下げる頭はないってね。お蔭で、私を庇ったチェギョンは全治1週間の怪我を負ったわ」
「何だって!シン、それ本当?」
「事実だ。俺は休んでて、後日アジョシから聞いて知った」
「じゃ、僕も関わりたくない。シン、用があるなら、学校じゃなく家か宮で聞くようにするよ」
「・・・ああ」
「ま、待って!本当にゴメン。ギョンが許されざる言動を黙って見てたから、僕も同罪だと思われても仕方がないと思ってる。本当に申し訳ない。1からやり直したいんだ。その為にも ここに来て謝罪するつもりだった」
「・・・信じられない。ユル君、早くつまみ出さないと、美術科で総スカン食らうわよ。じゃあね」
「ガ、ガンヒョン!?・・・はぁ、行っちゃったよ。シン、勘弁してよね。何でそっちの彼、連れてきたのさ」
「ゴメン、ユルにファンを紹介したかったんだ」
「はぁ?!それ、マジで言ってるの?それこそ勘弁してよね。僕さぁ、ガンヒョンには頭が上がらないんだよね。だから、話は聞かなかったことにするね。じゃ・・・」
「ユル、待てって!とりあえず、場所を変えて話を聞いてほしい。ここは、居心地が悪すぎる」
「クスクス、自業自得でしょ?で、どこに行けばいいの?」
「職員棟の2階。一般生徒立ち入り禁止区域に皇族専用の部屋がある。そこで弁当を食おう」
「ハァ、分かった。用意するから、先に行ってて」
「サンキュ」
 
シンは、ファンを連れて、先に皇族専用の部屋に向かった。
 
「シン、こんな部屋があったんだ」
「ああ、今まで使ったことがなかったけどな。誰にも言うなよ」
「うん、分かってる。シン、ゴメンな。僕らの所為で・・・」
「ファン、俺も同罪だ。俺はそう頻繁に宮を空けられないし、俺以上にチェジュンは忙しい。チェジュンと会う機会を作るなら、同居しているユルの方が良い。でもガンヒョンの許可がないと、ユルは首を縦に振ってくれそうになさそうだ」
「だよね。。。あのさぁ、一つ疑問があるんだけど、編入したての従兄弟は、何で彼女とあんなに親密なの?」
「えっ!?」
 
【ガチャ】
 
「それは、ガンヒョンと僕は、留学先でクラスメートだったからだ。シン、お待たせ」
「えっ!?」
「ユル、呼び出してすまない。時間が勿体ない。弁当食いながら話をしよう」
 
3人は弁当を広げると、箸を動かしながら話をすることにした。
 
「悪いけど、プライベートに戻っていい?で、あんた、俺に何をして欲しいんだ?」
「えっ!?あっ、あの・・・シンコンツェルンの御曹司、シン・チェジュン君に会いたいんだ。会ってもらえるように橋渡しをしてもらえないか?」
「・・・シン、こいつ、マジで言ってるのか?さっきの話を聞いて、昨日、何でガンヒョンがシンに激怒したのかよく分かったよ。僕がチェジュンなら、個人的にあんたと会うとは思えないね」
「えっ!?」
「でもシン家の人間は、懐が深い。シンと同じようにあんたにもチャンスを与えるんだろうな。チェジュンに会って、どうするつもりなんだ?」
「できたら、行動を一緒にしたいというか、傍で色々学ばせてほしいと思ってる」
「・・・じゃ、僕からの課題がクリアできたら、チェジュンに課題貰えるように話してやるよ」
「課題?どんな課題?」
「高校の学業を終わらせる事。僕やシンは勿論だけど、チェジュンもすでに高校レベルの学業は終了してる」
「えっ、嘘っ・・・」
「嘘じゃないさ。英才教育では当然だと思うけど?まずはそれをクリアしないと、スタートラインには立てないんじゃないの?」
「・・・ユル、あの二人もか?」
「クスッ、当然でしょ。僕が出した課題を早くクリアしたら、ガンヒョンは改心したと認めてくれると思うよ。頑張んなよ。さっきも言ったけど、僕、ガンヒョンには逆らえないんだよね」
「アジョシに聞いたけど、ガンヒョンに説教されて更生したって本当か?」
「うん。クスクス、ガンヒョンには、かなり辛辣に何度も説教されたよ。あの二人、アメと鞭なんだよね。絶妙のコンビネーションで、気づけば術中にはまってたって感じ。お蔭で、好青年になったろ?」
「自分で言うな!クスクス・・・」
「クスッ、10数年ぶりに会うんでしょ?なのに仲が良いよね」
「そう言えば、そうかも・・・昔は、俺、ユルに苛められてたし。やっぱ昨日、飯食って、話したのが良かったのかも・・・」
「シン家、アットホームだからね。アジョシのメシ、最高だし」
「アジョシのメシ?アジョシって会長の事だよね?どういう事?」
「クスッ、ファン、信じられないだろうけど、アジョシ、事業は趣味みたいなもんで、本職は専業主夫なんだ」
「え~~~!!?」
 
(シンコンツェルン会長が専業主夫で、事業は片手間って・・・あり得ないでしょ。それにさっきから、シンも従兄弟も『あの二人』って言ってるけど、ガンヒョンともう一人は誰を指してるんだろう?)
 
 
 

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