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Channel: ゆうちゃんの日記
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心の扉 11

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週末、チェギョンは、家族と共に宮に呼ばれた。
正殿居間に通され、緊張しながら待っていると、皇太后を筆頭に陛下と殿下が入ってきた。

「態々、時間を取らせてしまい申し訳ない。頭を上げてくれ。チェウォン、久しぶりだな」
「ご無沙汰しております、陛下」
「チェウォン、頼むから普通に話してくれ。私とお前の仲じゃないか」
「それは、もう昔の話。親父たちが疎遠になった時に僕らの縁も切れた筈です」
「・・・すまない。だが、その元凶をやっと排除することになった。チェウォン、待たせたな」
「えっ!?じゃ・・・」

陛下と父親の会話の意味が分からないチェウォンの家族は、ただ不思議そうに二人の顔を見ている。

「チェウォン、及びご家族の皆さん、この度の地上げの件、深く謝罪する。すべてミンの仕業だった」
「「「!!!」」」

チェギョンが驚いてシンを見ると、シンもシン家に向かって、深々と頭を下げていた。

「シン君、どういう事?なぜ皇后さまが、うちをそんな目に遭わせたの?」
「チェギョンさん、私から説明しよう。王族に無理やり押し付けられ、私はミンと婚姻することになった。婚姻する限りは上手くやろうと努力しようとしたが、受け入れることはどうしても無理だった。これは、私だけでなく亡き父上や皇太后さまも同じ気持ちだった」

陛下の告白を聞いて驚いたチェギョン達は、皇太后を見た。
すると皇太后は、悲しそうに微笑み、頷いた。

「チェウォンはチェヨンアジョシから聞いてると思うが、チェギョンがシンの許嫁に決まった後、それを知ったミンはチェギョンを亡き者にしようと計画していた」
「「えっ!?」」
「当然、未然に分かり阻止できたが、チェギョンの安全を考えて、シン家は宮と距離を取ることになった。先帝がミンを廃妃にする手続きをする直前、兄上が交通事故で亡くなってしまった。必然的に私が皇太子の座に就くことになり、これ以上のスキャンダルは宮の崩壊につながるとして、シンが婚姻するまではこのままでという事になった」
「シン、チェギョンに会えなくなって沈んでいくそなたを見るのは辛かったが、すべてチェギョンを守るためでした。どうか理解しておくれ」
「勿論です、皇太后さま。チェギョンを守ってくださり、ありがとうございました」
「ヒョン、なぜまたミン妃は、急にうちを攻撃してきたんだ?」
「太子が成人を迎え、婚姻問題が浮上してきたからだと思う。許嫁のチェギョンの存在が、気になったのだろう」
「・・・たったそれだけの事でか!?口で言えば、良いだけだろうが。。。どれだけ子供たちが怖い想いをしたと思ってるんだ?!」
「チェウォン、本当にすまない。今回の事でもう我慢は止めにした。あれを廃妃し、離婚する」
「「「!!!」」」
「・・・ヒョン、決定か?」
「チェウォン、待たせたな。これで、また酒が酌み交わせるぞ♪」
「そんな簡単な問題か?ミン妃の抜けた穴は、どうするんだ?おば様だけでは大変なんじゃないのか?」

チェウォンが、皇太后を『おば様』と呼んだので、チェギョン達家族はビックリしてしまった。

「チェウォン、そこでです。チェギョンを宮に嫁がせてもらえませんか?」
「「えっ!?」」
「・・・・・」

チェウォンは予想していたのか無言だったが、チェギョンと弟のチェジュンは驚きの声をあげてしまった。

「チェギョン、シンは貴女との婚姻を承諾しているわ。嫁いでくれるなら、全力で貴女を守ると約束するわ。どうか先帝とあなたのおじい様チェヨン氏が繋いだ縁を結ばせてくれないかしら?」
「皇太后さま・・・」
「おば様、それは許嫁のチェギョンが必要ということですか?それなら、僕が断ります。娘には幸せな結婚をして欲しいですから・・・」
「チェウォン!!」
「義父上さま、チェギョンが僕の許嫁になったのは、一生懸命勉強も運動もするから、チェギョンをお嫁さんにして欲しいと僕がおじい様にお願いしたからです。再会して、昔の想いが蘇り、益々強くなってきています。どうかお許し願えないでしょうか?絶対に悲しませることはしません」
「・・・チェギョン、お前はどうだ?殿下と婚姻したいか?」
「えっ・・・したいかって聞かれても・・・シン君の事は嫌いじゃないよ。一緒にいると楽しいし、数学教えてくれるから感謝もしてる・・・でもそんな気持ちで結婚したら、シン君に失礼でしょ」
「はぁ、お前は数学がからっきしダメだからな」
「チェギョン、今はその気持ちで十分だ。婚姻してから、俺を好きになってくれればいい」
「スゲェ、殿下、本当にこんなヌナでいいの?俺は、ヌナとガンヒョンヌナは絶対に無理だな。おっかないぞ」
「げっ!チェジュン、あんた、何言いだすのよ!?」
「クスクス、チェジュンだっけ?チェギョンは、昔から何も変わってない。正義感が強くって、優しいんだ。俺の中では、ずっとヒーローのようなお姫さまだった」
「シン君・・・何か、褒められてる気がしない」
「チェウォン、太子が心から望んでる。チェギョンに断られたら、私のような婚姻をするしかない。これ以上、息子に辛い想いはさせたくない。許してくれないか?」
「・・・アッパ、もう半分諦めてるんでしょ?昔、お義父さまとアッパが、皇族と友達になるもんじゃない。こっちが否と言わせないよう強引に話を進めてくる。でも許してしまうんだよな・・・と、よく話してたの覚えてるわ。半信半疑だったけど、こういう事なのね。クスクス・・・」
「お義母さん、認めてくださってありがとうございます。絶対にチェギョンを幸せにします」
「こら、俺は許してないぞ!・・・はぁ、チェギョン、これ、お前にやるよ」

チェウォンは、鞄の中から旧型のビデオテープを取りだした。

「アッパ?」
「これを見て、お前が判断しろ。正直、断ってくれて、家族で海外移住してもいいと思ってる」
「チェウォン!!」
「ヒョン、悪いな。だが、娘の幸せが一番だ」
「アッパ、何か分からないけど、これを見ればいいのね?」
「そうだ・・・アッパ達は、お前の判断を尊重する」
「コン内官、これを再生できるデッキを用意してくれ」
「殿下、すでに用意してございます」
「えっ!?」
「・・・アジョシ、謀ったな。どうせ先帝の親父のことだ。ダビングして、アジョシに保管をさせてたんだろ?」
「クスッ、流石、チェウォン君。先帝の性格をよくご存じだ。チェウォン君が悪足掻きするようなら、切り札として使えと命令されてね」
「はぁ、だから宮は嫌なんだ。くっそ~!」

チェウォンがブツブツ文句を言っている中、ビデオが再生された。
見終った瞬間、シンと陛下は抱き合って喜び、亡き先帝に感謝したのだった。
反対にチェウォン以外は呆気にとられながら2人を見たが、チェウォンだけは苦々しく睨みつけたのだった。

(こ、これって、もう決定って雰囲気?分別もつかない子どもが、軽い気持ちで言っただけじゃないの?)



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