心の扉 10
丁度、実習時間だったシンは、授業を抜け出し、インを連れて校門までやって来た。シンとインの後ろから、翊衛士が後を付いてくる。シンは、ヒョリンの母親に軽く会釈をすると、チェギョンに話しかけた。「前にも言ったが、俺は何も知らない。だからいつも一緒にいたインを連れて来た」「えっ!?シン、何の話だ?」「イン、この方はミン・ヒョリンのお母さんだそうだ。昨日の朝から連絡が取れないらしい」「えっ!?親父たちの前でナ...
View Article心の扉 11
週末、チェギョンは、家族と共に宮に呼ばれた。正殿居間に通され、緊張しながら待っていると、皇太后を筆頭に陛下と殿下が入ってきた。「態々、時間を取らせてしまい申し訳ない。頭を上げてくれ。チェウォン、久しぶりだな」「ご無沙汰しております、陛下」「チェウォン、頼むから普通に話してくれ。私とお前の仲じゃないか」「それは、もう昔の話。親父たちが疎遠になった時に僕らの縁も切れた筈です」「・・・すまない。だが、その...
View Article心の扉 12
狂喜乱舞する皇族とその姿を見て放心するシン家一同。そんな中で、テレビ画面からはエンドレスで同じ映像が流れている。『チェギョンや、爺の膝の上においで』「うん♪・・・おじいちゃま、どうしたの?」『チェギョン、シンは好きか?』「うん、だいすき。チェギョンがよしよしするとわらってくれるから、まもってあげるねってやくそくしたんだ~」『そうか。じゃあ、大きくなったらシンのお嫁さんになるか?』「え~、アッパがね・...
View Article選択 第46話
オジジは約3週間ほど滞在して、各地を回ってから里に帰ると言い残し、嵐のように宮から去っていった。それでもオジジが残した影響は多大で、宮職員たちの心構えは明らかに変わった。それは陛下やシンも同じで、特に陛下は色々と考えさせられたようだった。オジジが帰ってしばらくすると、東宮殿に一人の女性がチェギョンを訪ねてきた。「チェギョンさま、お呼びと聞き伺いました」「うん。シン君、ハギュンアジョシの右腕、ヨンエさ...
View Article選択 第47話
陛下の地方への慰問は、オジジの説教が効いたのか、国民からは高評価を得、信頼を回復しつつあった。ヘミョンも自分なりに皇后さまの代役を一生懸命こなし、皇族の存在意義を感じていた。何もかも順調に新生宮は始動しだしたが、一つだけ問題があった。初夏になり、大きなおなかを抱えた皇后が、夏バテと病気で徐々に体力が落ちだしたのだ。皇后の主治医とソオンが協議した結果、蒸し暑いソウルを離れ、避暑地で気分転換させることに...
View Article心の扉 13
「話題が多い方が、ヒョンの離婚のダメージが小さくなるんじゃないか?それに殿下は、罰掃除中なんだろ?謹慎中に婚約発表は、流石にいただけないんじゃないか?」チェギョンの父チェウォンの意見で、婚約発表はファヨン、ユル親子とヘミョンが帰国してから行う事に決まった。その結果、それまではチェギョンは普通の生活を送れることになった。早く婚約発表を行いたい宮は、すぐに3人に『1か月以内に帰国せよ』と帰国命令を出した...
View Article選択 第49話
昼食の時間になり、ソウルからやってきた一同が一室に集まった。当然ながら、全員に毒見する女性が付き、全部確認してからの食事となった。『皆さま、どうぞお召し上がりください。あとコチュジャンとニンニクを別に用意しましたが、これはどちらに?』「回して使います。それから皆さん、落ち着かないようですから、下がってください」『はい、姫さま』女性達が下がると、緊張が解けたのか、部屋の空気が変わった。「チェギョン、こ...
View Article改訂版 開眼 第25話
慌てて家の門を潜ったチェジュンは、目の前で繰り広げられてる光景に我が目を疑った。大きな桜の木の下にアウトドア用のテーブルやチェアが置かれており、母スンレが皇后と談笑している。そしてその横にあるバーベキュー用の東屋では、ユルが慣れない手つきで火を熾そうと四苦八苦していた。チェジュンは、スーツの上着を脱ぐと、ユルのいる東屋へ向かった。「ユルヒョン、どうなってんの?」「チェジュン、おかえり。どうなってるっ...
View Article改訂版 開眼 第26話
チェジュンが自社ビルに向かうと、地下駐車場前にファンとインが所在なさげに立っていた。「時間前に抜けてきたんだけど、待ったか?」「あっ・・・い、いえ・・・」「ユルヒョンの部屋借りっから、付いてきて」エレベーターに乗ると、初めて来たインにこのビルの説明をしだした。一旦1階で降り、奥の部屋に消えたチェジュンは、携帯を2台受け取り、待たせていたエレベーターに乗り込んだ。勝手知ったるユルの部屋に入ると、2人に...
View Article心の扉 14
翌日、チェギョンは、両親にヒョリンの母親を任せて、学校へと向かった。心配で仕方なかったが、傍にいても自分にできることは何もない。なら、学生らしく学校に通う事が自分にできることだと言い聞かせ、学校に来たのだった。「みっなさ~ん、おっはよ~♪」『チェギョン、おはよう~♪』いつも通り、元気に挨拶をしたチェギョンは、自分の席に向かった。「チェギョン、おはよ」「おはよう、ガンヒョン」「聞いたわよ。とうとう押し...
View Article選択 第50話
明け方に部屋に戻ってきたチェギョンは、シンの布団にもぐりこむと、すぐに寝息を立てだした。心配で熟睡できなかったシンは、チェギョンの寝顔を見ながら溜め息を吐いた。「クスクス、幸せそうな顔をして寝ちゃったわね」「母上まで起きてしまわれましたか・・・ホントにこいつは・・・まだ夜が明けるには時間があります。もう少し寝ましょう」「ええ、そうね。シンも安心したでしょ。ゆっくり寝なさい」(バ、バレてる・・・)数時...
View Article選択 第51話
翌日、寝ぼけ眼で起きてきたシンとチェギョンは、ソオン医女に言われ、皇后の診察に立ち会うことになった。急遽作られた診察室は、急場しのぎで作られた物とは思えない程、完璧な診察室だった。「へぇ、ソギョン爺ちゃんの診療所みたい」「はい、参考にさせていただきました。来年、弟が里に戻ることになっていますので、丁度良かったと思います」「ジニオッパには申し訳ないけど、オジジが心配なの。私からもよろしくと伝えておいて...
View Article改訂版 開眼 第27話
週明けの月曜日、登校したシンは、久しぶりにファン、イン、ギョンの3人に出迎えられた。「・・・・・」「シン、おはよう。話があるんだけど、ちょっと良いかなぁ?」「・・・俺もアジョシから伝言頼まれてる。だが、昼休みにしてくれ。場所は、俺の部屋だ」「分かった。イン、ギョン、そういう事だから教室に行くね。シン、待ってよ」ファンがシンの後を追いかけていくと、インとギョンは教室ではなく屋上へと向かった。そしてイン...
View Article選択 第52話
シンは、チェギョンがいないこともあり、久しぶりのイジョンと話がしたくて男湯に入った。背中を流す為、ソッパジ姿のアジュマ達が入ってくると、イジョンは男同士の話がしたいとアジュマ達に断った。「ああ、久しぶりにのんびり湯に浸かれたよ。イジョン君、ありがとう」「温泉は、やっぱ裸で入りたいですからね。シン、お前も脱いで裸で入れよ」「クスッ、はい」シンは素っ裸になると、腰のタオルを巻いて湯船に浸かった。「シン、...
View Article選択 第53話
皇后と話をして以来、シンは物思いに耽るようになり、口数が極端に少なくなった。周りの者は心配したが、皇后が放っておくようにと言ったので、見守るしかなかった。一人シンが庭で佇んでいると、オジジが隣にやって来た。「何か、面白い物が見えますかな?」「オジジ・・・チェギョンはいつ戻ってくるのですか?」「・・・殿下、顔の相がよくないですな。チェギョンに会ってどうなさるおつもりです?」「チェギョンに聞きたいことが...
View Article心の扉 15
授業中、ずっと悩んでいたインが、昼休みになるとすぐにどこかに電話を掛けだした。しばらく話していたインは通話を終了すると、シンの所にやってきた。「シン、ヒョリンの携帯のナンバー、教えてくれないか?俺がヒョリンに掛けてみる」「えっ!?でも勘当されるんじゃ・・・」「今、親父に許可取った。ヒョリンに酷い事されたチェギョンが親身になってるのに俺が見てるだけって、おかしいだろ?俺からの履歴だったら電話に出るかも...
View Article選択 第54話
シンと皇后はいろいろ話し合い、宮へ戻ることにした。朝食の際、一緒に里に来たジテ、ソオン女医と主治医、そしてソ・イジョンにその旨を話した。「皇后さま、少し顔色がよろしくありません。できれば後2~3日こちらにご逗留して、体調を整えてからお戻りになった方がよろしいかと・・・」「ソオン医女、私より今はチェギョンが心配なの。ジフ君が忙しい今、チェギョンの体調を整えられるのは、私とシンだけでしょ?だから、帰るの...
View Article改訂版 開眼 第28話
明日から夏休みという日の夕方、イン、ギョン、ファンは、シン家所有のマンションにやってきた。マンション前で3人を待っていたのは、チェウォンの右腕であるウソンだった。「クス、逃げ出さずによく来たな。会長がお待ちかねだ。行くぞ」「「「はい!」」」「ああ、先に言っておくが、今日の会長は相当機嫌が悪いから、あまり刺激するなよ」それでなくても会長に対して怖いイメージしかない3人にとって、機嫌が悪い会長はもう恐怖...
View Article改訂版 開眼 第29話
食事が終わると、ユルやイン達が率先して、後片付けを行った。そして明日からの打ち合わせを兼ねて、男性陣全員で母屋の風呂に入ることになった。イン達3人は着替えを取りに行き、風呂場に行くと、余りの広さに驚いてしまった。「ヒョン達、何、驚いてんのさ。御曹司ならこのぐらい普通なんじゃないの?シンヒョンは、そんなことなかったぜ」「俺か?ここ、御用邸の風呂に似てんだよ」「当たり前。似せて作ったから・・・宮で一番気...
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