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Channel: ゆうちゃんの日記
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心の扉 13

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「話題が多い方が、ヒョンの離婚のダメージが小さくなるんじゃないか?それに殿下は、罰掃除中なんだろ?謹慎中に婚約発表は、流石にいただけないんじゃないか?」

チェギョンの父チェウォンの意見で、婚約発表はファヨン、ユル親子とヘミョンが帰国してから行う事に決まった。
その結果、それまではチェギョンは普通の生活を送れることになった。
早く婚約発表を行いたい宮は、すぐに3人に『1か月以内に帰国せよ』と帰国命令を出したのだった。



シン家にとっては怒涛の一日が終わり、家に帰宅すると、リビングには一人の見知らぬ女性が憔悴した面持ちでソファーに座っていた。

「あ、あのどちら様でしょうか?」
「・・・・・」
「アッパ、デジのお客様だ。俺が帰宅したら、玄関前で立ってらした。親父、デジは?」
「当分、帰ってこないんじゃないか?シン坊が、離さなさそうだった。責任もって、後で送ると言われたよ」
「クスクス、俺の前でもずっと手握ってたもんな。親父、帰ってくるように連絡してやれよ。何か深刻そうだぜ」
「・・・分かった。奥さん、戻ってくるよう連絡しますので、お名前を教えていただけますか?」
「ミン・イナです・・・ヒョリンオンマと言っていただけたら分かっていただけると思います」
「ヒョリンオンマですね?ちょっと待ってくださいよ」

チェウォンが連絡を入れると、チェギョンは『すぐに戻る』と言って電話を切ったようだ。
重苦しい雰囲気がリビングに漂う中、チェギョンがシンとコン内官を伴って戻ってきた。
ヒョリンの母親は、突然皇太子が現れたので驚いてしまったが、すぐに意識をチェギョンに向けた。

「アッパ、ただいま。ヒョリンオンマ、お待たせしてゴメンナサイ。まさかまだ連絡がないのですか?」
「・・・はい。もうどうしたら良いのか・・・お金も底をつき、誰にも相談するわけにもいかず、ご迷惑だと分かっているんですが、親切にしてくださった貴女にしか頼る人がいなくて・・・」
「ヒョリンオンマ、警察には届けましたか?」

ヒョリンの母親は、首を横に振った。

「捜索願を出せば、学校に知られてしまい退学になってしまいます。だから・・・」
「ちょっと待ってくれ。チェギョン、この奥さんの娘さんは行方不明なのか?お前と娘さんは、どういう関係なんだ?」
「う~ん、関係はない。アジュマが校門から心配そうに校内を覗いてらっしゃったから、声を掛けただけ。後は、成り行きで連絡先を教えて、見つかったら教えてって言った」
「・・・お金が底をついたとは?」
「うん、住み込みの仕事先を解雇されて、住むところがないんだって。今はウィークリーマンションで暮らしながら、お嬢さんを探す毎日みたい」
「・・・働くところも住むところもないし、娘さんは行方不明のまま。。。で、お前に相談に来たということだな?」
「うん、そうみたいだね」
「ところで、シン坊。何でアジョシまで連れて、家に上がり込んでるんだ?」
「お義父さん、すいません。コン内官が、何か知っているようなので連れてきました」
「まだお義父さんとは呼ばれたくないぞ。アジョシ、何か知ってるのか?知ってたら、教えてあげてよ」
「チェウォン君、すまないね。ミン・ヒョリンさんのお母さん、宮で侍従長をしておりますコンと申します。ミン貿易の社長にお話して、対処をお願いしたのは私です。まさか貴女がクビになるとは思わず、申し訳ありませんでした」
「いえ、娘の躾を怠った私の責任です。学校で、殿下の恋人だと吹聴し周りの生徒さんに暴言を吐いている映像を見せられました。また友人とパーティーに出席し、そこでもミン貿易の社長令嬢だと吹聴していたようです。その所為で、社長は愛人を囲っていると陰で噂が流れていたそうです」

ヒョリンの母親の告白に 全員が唖然としてしまった。
涙ぐみながら俯く母親に心を痛めるも コン内官は心を鬼にすることにした。

「奥さん、お嬢さんの持ち物で不審に思ったものはありませんでしたか?」
「はい。学校の先生にも言われたので、持ち出したあの子の持ち物を調べたのですが、高価な物やアクセサリーの類の物はありませんでした」
「・・・ヒョリンさんのお母さん、失礼ですが、ヒョリンはブランドものの時計や指輪、ネックレスをしてましたよ」
「えっ!?」
「それに僕やイン達と一緒に乗馬クラブにも通ってました。入会金もですが、月会費も滞ることなく払っていたようでしたよ」
「嘘…」
「奥さん、貴女や殿下の話から推察しますと、お嬢さんはどこかに部屋を借りていたと思われます。ですが、未成年が保護者や保証人なしで部屋は借りられません。もしかしたら、実の父親が裕福で、そちらに行かれたという事はないですか?」
「それは・・・絶対にあり得ません。娘は、実の父親が誰か知りません」
「では、どういう関係かは分かりませんが、パトロンがいるのではないでしょうか?」
「まさか・・・」

ヒョリンの母親は、コン内官の話に頭がついてこず、呆然としてしまった。

「アジョシ、話を現実に戻そう。奥さん、しっかりしてください。俺が思うに学校よりお嬢さんの身の安全確保の方が大事です。警察に届けましょう」
「・・・はい」
「アジョシ、さっきから奥歯に物が挟まった言い方してるけど、宮はこの女生徒の事何か掴んでるんだろ?はっきり言えよ」
「・・・彼女は、携帯を2台使い分けてたようだ。通信記録を辿ると、1台はお母さん用だと思われる」
「えっ!?」
「・・・アジョシ、もう一台は?」
「カン・イン君のナンバーもあったが、大半が年齢が30~40代の不特定多数の男性からだった」
「「「!!!」」」

その話を聞いたヒョリンの母親は、ショックから気を失ってしまった。

「ヒョリンオンマ!!アッパ、おば様が・・・」
「チェギョン、分かってる。スンレ、今日はここに泊まってもらおう。これからの事は、また明日考えよう」
「ええ、そうしましょう」
「アジョシ、シン坊、この人はうちが責任もって預かる。だから娘さんの捜索に必要な情報を提供してほしい」
「明日、宮が調べた情報をここに持ってこよう」
「よろしく頼みます」

宮に戻るシンとコン内官を見送るため、チェギョンは2人の後ろを付いていった。

「チェギョン・・・明日、学校でインにもう一度聞いてみよう。聞けば、何か思い出すかもしれない」
「うん。。。ねぇ、シン君は思い出すことはないの?」
「はぁ・・・前も言ったけど、インの女だとずっと思ってたし、会話と言われても相槌を適当に打ってただけで聞いてなかったし・・・」
「その割には、仲良さげに見えたけど?」
「ん、チェギョン、嫉妬か?」
「///バ、バカな事言ってんじゃないわよ!」
「クスクス、ゴメン、ゴメン。はぁ、プロポーズを受けてくれた最高の日だったのに 最後にとんだケチがついてしまったな。今度、この埋め合わせをしような」
「うん♪シン君、お疲れさま。宮に帰って、ゆっくり休んで」
「チェギョンも。また明日、学校で会おう」

シンを乗せた公用車が見えなくなるまで見送ったチェギョンは、家を振り返り大きく息を吐いた。

「はぁ・・・」

(ミン・ヒョリン・・・お母さんがこんなに心配してるのに 一体どこで何してるのよ?!)















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