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イ・シンの評価 第2話

昼休みが終わり、ギョンが肩を落として映像科の教室に戻ってきた。

「クスクス、ギョン、玉砕した?」
「ファン・・・俺ら、何か悪いことしたか?俺達4人とは関わりたくないって、ハクチョウに言われた」
「「えっ!?」」
「ハクチョウ・・・ガンヒョンって呼ばれてた。隣にいた子が申し訳なさそうに『ガンヒョン、言い過ぎ。ゴメンね』って謝ってくれたんだけど、『チェギョン、あんたは黙ってなさい』って、その子を連れて教室戻っちゃって・・・これって美術科の総意なんだってさ」
「で、ギョンは尻尾丸めて戻ってきた訳だ。でも何で僕達嫌われてるんだろう?ちょっとショックかも・・・」
「俺、御曹司ってことでチヤホヤされるのはウンザリだけど、毛嫌いされるのはもっと納得いかない。毛嫌いされる理由が知りたい。そうでないと、諦めがつかないよ」
「僕も納得できないか も・・・ねぇ、明日、4人で理由を聞きに行こうよ」
「「えっ!?」」
「いや、4人で動くと目立つし、威嚇してるように思われても困る。とりあえず俺一人で聞きに行くよ」
「そっか・・・何か分かったら、報告してよね」
「おぅ・・・という事で、次の時間、俺サボるから・・・ハクチョウのクラス、次、写生らしいから」

ファン達と話して復活したギョンは、再び教室を飛び出していった。

「クスクス、ギョンって打たれ強かったんだ。でもさぁ、何でだと思う?イン、何か心当たりあるんじゃないの?」
「えっ!?」
「それとも美術科に知っている子がいたの?さっきの驚き方、普通じゃなかったよ」
「・・・・ファンの目は誤魔化せないな。確かに一人、知ってる子がいた。幼馴染だった子。親父同士が大学の同期で、家族ぐるみの付き合いだったんだけど途絶えた。近所に住んでたんだけど、引っ越して音信不通状態らしい。当時、親父も行方を探したんだけど、何も分からなかったらしい。だから芸校に通ってることも今日まで知らなかった」
「ちょっと待ってよ。インの親父さんの会社で、何の情報も掴めないって・・・強力な力で意図的に隠してたとしか思えないんだけど?一体、どんな家の子なのさ?」
「親父さんが大学教授って聞いたような気もするんだけど、詳しくは知らない。チェギョンは明るくて、良い子だったよ。お袋が娘のように可愛がってた」
「!!!」

(インがシン・チェギョンと幼馴染で、俺ら、敬遠されてるってか!?想定外にも程がある。一体、どうすれば・・・)

シンが茫然としていると、ファンが心配そうに声を掛けてきた。

「シン、大丈夫?シンもあの子たちの事、何か知ってるんでしょ?」
「・・・ああ、ちょっとな」
「クスッ、シンは相変わらず秘密主義だね。まぁ仕方ないけど、協力は惜しまないよ。それだけは覚えておいてね」
「サンキュ」

次の授業が始まってもギョンは戻ってこず、終了直後に血相を変えて戻ってきた。

「ギョン、何か進展があった?」
「シン、今日の予定、なんかある?できたら、帰る時間遅らせてもらえないか?」
「・・・何でだ?」
「ハクチョウがさ、俺達4人に関わりたくない理由を説明するってさ」
「ギョンだけじゃダメなの?」
「うん、4人揃ってってのが、条件なんだ。シン、頼む。帰宮の時間、遅らせてくれ」
「・・・分かった。宮に連絡する」


放課後、シン達が指定された場所に行くと、女生徒が一人待っていた。

「ガンヒョンさん、約束通り4人で来たよ。俺たちに関わりたくない理由を教えてくれないか?」
「分かったわ。美術科のイ・ガンヒョンです。殿下は分かるんだけど、悪いけどどっちがカン・インなのかしら?」

ガンヒョンは、ファンとインに問いかけた。

「俺だけど・・・」
「そう。あんた、一体何を考えてるわけ?あの女に弱みでも握られてるの?」
「えっ!?」
「もっと言いましょうか?あの女と今も連るんでるの、ご両親は承知してるの?」
「ちょっと待って。話が見えないんだけど・・・ゴメン。僕、リュ・ファンと言います。あの女って、ヒョリンの事なのかなぁ?」
「そうよ。自分が手をつけた女を殿下に紹介するって、カン・イン、あんた、何考えてるの?」
「「「!!!」」」
「は?出鱈目言うんじゃねぇよ!そんな事するわけないだろうが!!」
「・・・それが事実なら、あの女が嘘を吐いてた事になるわね。あなた、何で突然あの女の母親が解雇されたのか知らないの?申家が、あなたの家と縁を切ったのも?」
「し、知らない。まさかヒョリンの所為か?」
「チェギョンとヒョリンが、同じ学校に通ってたことは分かるわよね?ご近所だったから・・・チェギョン、親の方針で公立の学校に通ってたから」
「ああ・・・」
「チェギョン、ヒョリンの彼氏なのに彼の両親に気にいられようと媚を売りに家まで押し掛けてきて図々しいって、ヒョリンのグループに虐められてたのよ。事実、あんたの家からシン家に婚約の打診があったのは確かよ。でもシン家は、はっきりと断わったわ。なのにその翌日、チェギョンは腕の骨を折る大怪我を負ったの。家政婦の娘が、主の客人に大怪我を負わせるってあり得ないでしょ」
「「「「!!!」」」」
「先に言っておくけど、チェギョンが言いふらした訳じゃないから。同じ中学に通ってた子達だから。『カン・コーポレーションの御曹司は、深い関係だった女を殿下に宛がうってマジでセレブって分かんないわ。殿下も女を見る目がないのね。社長令嬢かどうか知らないけど、あの暴力女をお姫様のように扱ってるなんてバカじゃないの』これが美術科の生徒のあなた達4人の評価。舞踊科は知らないけど、音楽家も多分同じ評価ね」

シン達は、予想もしなかった事実を教えられ、呆然としてしまった。
そんな中、一番最初に冷静になったのは、ファンだった。

「あまりにも衝撃的な話で混乱してるけど、ガンヒョンさん、腑に落ちない点があったから質問しても良いかな?」
「ええ、いいわ」
「ファン、先に俺に釈明させてほしい。それに俺もガンヒョンさんに聞きたい事がある」
「うん、そうだね。イン、どうぞ」
「俺とヒョリンは、そんな関係じゃ誓ってない。俺じゃない誰かじゃないのか?」
「カンコーポレーションの御曹司が他にいるなら、貴方じゃないわね。『私はカンコーポレーションの社長に認められて、一緒に暮らしてるのにムカつくのよ』ってチェギョンは殴られてたって、同じ学校の子たちが言ってたわよ。母親が住み込みの家政婦だから間違いじゃないけど、ムカつく理由にはならないわよね。そうそう。『ヒョリンの彼が皇太子殿下のご学友だから、彼を利用して殿下に近づくつもり?浅ましい子ね』ってのもあったらしいわよ。私たちからしたら、『どっちが?』って話よね」
「「「!!!」」」
「マジか・・・それと俺の親がシン家に婚約の打診って・・・俺、聞いてないんだけど?」
「私とチェギョン、祖母方の親戚に当たるのよ。だからシン家のおじさまが引越しの挨拶にみえた時、家の両親に話していたから間違いないわ。チェギョンを溺愛してるおじさまは、私に同じ学校に編入させるからチェギョンを守ってほしいって頼みに来られたの。ご理解いただけたかしら?」
「じゃあ、次は僕が質問するね。シンが女を見る目がないって、どういうこと?」
「秘密の恋人なんでしょ?全然、秘密になってないけど・・・」
「はぁ、何だ、それ!?誰がそんな噂を立ててるんだ?」
「皇太子がいつも同じ女性を傍に置いて、呼び捨てを許してたら、噂になっても仕方がないでしょ。本人もそのつもりになって舞踊科では女王様気どりらしいじゃない。知らなかったの?」
「・・・知らなかった。ただインに会いに来てるだけだと思ってた。俺には、そんなつもりは全くない」
「はぁ、自分達の立場をもっと理解しなさいよね。あの女が皇太子妃になったら、すぐに宮は崩壊するわよねって皆言ってるわよ」
「シン、すまない。安易にお前に紹介した俺の所為だ。ヒョリンは、確かに俺ん家の離れで住み込みの家政婦をしていたアジュマの娘だ。当時、面識はあったけど話した事はあまりなかったんだ」
「やっぱりね。ねぇ、あの子、令嬢ぶってるけど本当に母親がどこかの社長と再婚したの?私、一応特待生枠で通学してるんだけど、手続きの時、あの子、奨学金制度の申し込みに来てたもの。社長令嬢が返済義務のある奨学金を態々申し込む?」
「「「え~~!!」」」

シンは、他の3人のように声を上げなかったが、ただ驚きすぎて声が出なかっただけだった。






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