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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第4話

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我に返ったシンは翊衛士の待つ玄関口に向かおうとしたが、ファンに引き留められてしまった。

「シン、今の話、どういうこと?ちゃんと説明して!」
「・・・・・」
「言えないなら、僕の質問にイエスかノーだけ答えて。シンは、インの幼馴染を知ってるの?」
「・・・ああ、知っている」
「じゃあ、陳君というのはシンの事なの?」
「・・・そうだと思う。察しの良いファンなら、もう説明する必要はないだろ。これ以上は、俺も答えられない。と言うか、俺も何も知らされていないんだ」
「そっか・・・無理やり聞き出してゴメン」
「構わない。イン、ミン・ヒョリンとは速やかに手を切れ!お前まで処分対象になるぞ」

シンは、そう言い捨てると、帰宮するため翊衛士の待つ玄関口に歩き出した。
シンの後姿を見送っていたファンは、顔色の悪いインに視線を移し話しかけた。

「イン、大丈夫?」
「ああ・・・でも俺、本当に何も知らなかったんだ。入学してすぐ、『久しぶり。元気だった?』って声かけられて・・・ホント、手なんか出してない。信じてくれよ」
「分かってる。でもシンの言うとおり、今すぐ携帯を着信拒否して手を切るんだ。で、即行家に帰って、違うな、会社に行って、親父さんに報告するんだ。対処を間違えると、親父さんの会社は潰れるぞ。下手したら、僕やギョンの家も被害が及ぶかも・・・」
「え~~!?俺んちも?何でだよ」
「ギョン・・・仮にも御曹司と言われる立場なんだから、経済紙ぐらい読もうよ。理事長の話、理解できなかったの?ガンヒョンさんのお爺さん、イ・ギチョル氏。経済界のドンと言われるソンヒョングループの創始者で会長。今、グループを取り仕切ってるのが、多分ガンヒョンさんの父親だと思う。理事長のお爺さんは、昔大統領だった人だ」
「げっ!イン、知ってたか?」
「ああ・・・ギョンお前の能天気が羨ましいぜ」
「・・・今、バカにしただろ?」
「ギョン、マジで頼むよ。今、見聞きしたこと、家に帰って親父さんにちゃんと話せる?何かあった時、迅速に対処できなかったら、チャングループで働く社員とその家族が路頭に迷うよ?!イン、ギョンの事は僕に任せて、早く帰れ」
「すまん、じゃ、帰るわ」

インが走って立ち去っていく後ろを ファンとギョンも歩き出した。

「なぁ、本当に俺んちもヤバいのか?悪いのは、嘘を吐いてたヒョリンだけだろうが!」
「ギョン、ホント頼むよ。さっきの会話、思い出してごらんよ。陳君=シンだ。なら、インの幼馴染のチェギョンさんは、シンと結婚の約束をしてたことになる。皇族は嘘を吐かない。だろ?」
「じゃ・・・チェギョンさんは、シンのフィアンセってことか?!」
「おそらく・・・で、ヒョリンは、王族から金を受け取って、そのチェギョンさんに集団暴行を働いている。そんなヒョリンを俺たちは安易に傍に置いてたんだ。世間知らずのバカ達と関わりたくないと言われても仕方ないよね」
「そんな・・・」
「初めて見たけどユン・ジフ・・・あの人も侮れない人だよ、ギョン。彼自身文化人だけど政界に太いパイプを持ってるって話だし、親友が神話とソングループの次期後継者なんだ。ソンヒョンと神話が組めば情報操作なんて簡単だし、ソングループは裏の世界にも通じてるって噂がある」
「・・・・・」
「はぁ、やっぱり心配だな。ギョン、父さん連れてチャンホテルに行くから、ギョンも親父さんに時間と場所を取ってもらって。僕から父さん達二人に説明する。分かった?」
「あ、ああ」
「じゃ、時間が分かったら、連絡して。絶対に今日中だよ。じゃ、後で」

お互い迎えの車に乗り込むと、すぐに父親に連絡をいれて、時間を空けてもらうよう頼んだ。

(ガンヒョンさんに一目惚れしたばかりに大変な事になっちまった。でもヒョリンの嘘が分かったんだから良しとするか・・・)
(ギョンは、ホントどこまで分かってるんだか・・・でも野生の勘というか、一目惚れの相手がソンヒョンの令嬢って・・・ギョン、このまま諦めるかなぁ?普通の人間なら絶対尻込みするような背景なんだけど、僕なら避けて通るよね、うん。はぁ、軽率だって、やっぱり父さん怒るよなぁ・・・)


一方、宮に戻るやいなやシンは、コン内官を呼び出し、皇太后さまや陛下に至急会えるよう指示を出した。
その他に驚くような依頼をされたコン内官は、コン内官は無表情で一礼をしたものの、心がざわついた。
陛下付きの内官と皇太后付きの尚宮に連絡を入れ、時間を空けさせると、コン内官はシンと一緒に戻ってきた翊衛士に何があったのか聞き出した。

「初めは、殿下とご学友たち4人が一人の女生徒とお話しされていたのですが、突然モデル風の青年が現れ、少し話された後、その青年は女生徒を裏門に停車していた外車に乗せて走り去って行きました。その直後、公用車に乗り込まれましたので、宮までお送りしてまいりました」
「モデル風の青年?教職員じゃないのか?」
「いいえ、違うと思います。服装もそうですが、雰囲気からして教職員には見えませんでした」
「分かった。その相手の女生徒は、誰だかわかるか?」
「いえ、可愛いというより知的美人という感じで、一方的に殿下たちが責められてるように見受けました」
「えっ!?・・・分かった。殿下の命令である。今すぐ慈慶殿の接見室に盗聴器が取り付けられていないか、翊衛士長と共に内密に調べよ。翊衛士長には、私から連絡しておく」

(一体、殿下は誰と何の話をされたんだ?)

接見の時間より早めに、シンはコン内官を伴って皇太后の住まう慈慶殿へと向かった。
慈慶殿の接見の間の前には、東宮殿付きの翊衛士が緊張した面持ちで立っており、シンが来るのを待っていた。

「・・・あったか?」
「はい、殿下。こちらでございます」
「・・・うん。悪いが、他の部署の翊衛士は信用できない。話し合いが終わるまで、ここに誰も近づけさせるな」
「「御意」」

接見の間に入ると、ドスッとソファーに腰掛け、シンはコン内官に話しかけた。

「コン内官、こういう事だ。宮内にネズミがいる。ネズミは得た情報を王族に流しているらしい。ネズミとその飼い主を探すのは当たり前だが、その前に信頼できる者を選定し、宮内に取り付けられている盗聴器の類を一掃しろ」
「あの・・・この情報は、どなたからお聞きになられたのでしょうか?」
「その説明を皇太后さまと陛下にする為に接見する。最高尚宮と陛下付きのキム内官以外は、人払いしてほしい」
「かしこまりました」

約束の時間になり、皇太后と陛下が現れると、打ち合わせ通り人払いがされ、6人による密談が始まった。
シンがガンヒョンとジフから与えられた情報をすべて話し終えた時、シンを除く5名は苦悶の表情を浮かべていた。

「チェウォンが王立を頑として受け付けなかったのも頷ける。問題が王族たちとは・・・」
「はい、母上。王族がここまでするとは思ってもいませんでした。最近、王族達から太子の集団見合いのようなパーティーの開催を再三要請されるのだが、困ったものだ。しかし疑心暗鬼の中で暮らさねばならないとは・・・」
「申し訳ございません。わたくしの監督不行き届きでございます」
「最高尚宮だけの責任ではない。王族たちの野蛮な行動を見逃していた私の責任でもある。コン内官、キム内官、早急に手立てを考えないとならない。何か策はあるか?」
「恐れながら申し上げます。信頼できる者達で、怪しき者を見つけるしか・・・しかしこれではかなりの時間を要しますし、一網打尽には至らない気がいたします」
「・・・・・」
「ユン・ジフ氏の言葉を信じるなら、ソンヒョンのイ・ギチョル氏とユン・ソギョン元大統領が詳しい情報を知っている筈です。情報開示を求めてはいかがでしょうか?」
「太子の言うとおりだな。キム内官、至急二人の連絡先を調べよ」
「かしこまりました。少し失礼いたします」

キム内官が部屋から出ていくと、誰も口を開かず、最高尚宮はお茶を淹れかえるために席を立った。
新しく淹れたお茶を一口飲んだ皇太后は、シンに向かって話しかけた。

「シン、イ・ガンヒョンさんは、とてもしっかりしたお嬢さんのようじゃ。彼女に言われて、己の未熟さを少しは反省したかえ?」
「はい、何も言い返せませんでした。本当に軽率でした」
「で、問題の女生徒はどうするつもりだ?」
「チェギョン嬢への暴行に王族が関与しているか調べる必要があると思います。私への不敬罪で拘束し、取り調べを受けさせたいと思います」

突然、シンのスマホから着信音が鳴り、画面を見ると発信者不明。少し躊躇したが、シンは通話ボタンを押した。

「・・・・・」
「ヨボセヨ、イ・シン皇太子殿下の携帯で間違いないですか?先程はどうも。ユン・ジフです」
「えっ!?なぜ、僕のナンバーを?」
「クスッ、僕の情報網を舐めないで。さっき連絡してって言ったけど、どっちも登録番号以外着信拒否なんだよね。それと聞きたい事があって、ミン・ヒョリンどうするの?今、解雇が決定したんだけど、追い出して行方が分からなくなったら困ると思って連絡しました。どうしたら良い?」
「今すぐ宮内警察を差し向けて、拘束します。そうお伝え願えますか?」
「うん、分かった。それから今、うちが調べた情報を持った使いを出したから受け取ってくれる?あと15分ぐらいで東宮殿の門前に着くから、殿下が直接受け取って」
「えっ、僕が直接ですか?」
「うん。俺からのお詫びの印。礼は、その使いに飯でも食べさせてやって。食い物には目がない奴だからさ」
「はぁ・・・分かりました」
「じゃ、そういう事でよろしく。帰りは迎えに行くって伝えといて」

切れてしまったスマホを見て、シンは思わず苦笑を洩らしてしまった。

(ナチュラルすぎるだろ、この人・・・)

「コン内官、宮内警察にミン・ヒョリンを拘束するよう指示を。あと15分後に東宮殿にユン・ジフ氏の使いの者が来るそうです。東宮門に連絡を」
「かしこまりました」
「ユン・ジフさんから直接受け取るよう言われましたので、少し席をはずします」

東宮玄関前で使者を待っていると、いかにもな黒塗りのベンツがロータリーに入ってきた。
後部ドアが開くと、中からジフより物腰の柔らかそうな青年が降りてきた。

「殿下、はじめまして。ソングループのソン・ウビンです」
「イ・シンです。ユン・ジフさんは、態々貴方を使者にたてられたのですか」
「クスッ、いえ、僕はボディーガード兼情報開示者です。使者は、全く緊張感のないアイツです。おい、チェギョン、いい加減起きろ!着いたぞ」
「は~い」

(クククッ、詫びの印って許嫁本人かよ・・・あの人は、一体何を考えてるんだ?ホント一癖ある人だよな)








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