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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第10話

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翌日、学校には寝不足で疲れた様子の御曹司3人の姿があった。

「はよ。大丈夫だった?」
「んな、訳ないだろうが・・・親父は何とかソンヒョンの総帥に連絡を取ろうとしたけど繋がらなくて、俺に怒鳴り散らすし、お袋は包み隠さず話すべきだったって泣きだすし・・・マジ、大変だった。ハァ」
「僕とギョンも一緒。何時間も床に正座させられ、父さんに懇々と説教された。話聞いててさぁ、ホント僕らって王立にいた奴らと変わらないんだって反省した。アイツらより自覚がない分、性質が悪いかもって思った」
「そこまで、俺ら酷かったか?」
「うん。ここの他の生徒たちから見たら、僕らはお高くとまってる王立の奴らと変わらないってことさ。いつも4人でかたまって、クラスに馴染もうとしなかったろ?だから、浮いて当たり前だったんだ。垣根を取っ払って皆に歩み寄ってたら、変な噂もすぐに耳に入った筈だよ」
「そうだな・・・他の奴らは、気軽にシンに話しかける事なんてできないだろうしな」
「あれ?ギョン、相当落ち込んでるのか?深刻な顔をしてっけど・・・」
「まさか、能天気ギョンだよ!?絶対、どうしたらハクチョウと仲良くなれるか、必死で考えてる筈」
「だな。アイツの好みが、気の強い女とは知らなかったぜ」
「強すぎるでしょ。でも足して2で割れば丁度いいかも・・・ねぇ、シンは大丈夫だったかなぁ?かなり険しい顔で昨日帰ったから心配だよね」
「ああ・・・俺、今更だけど、チェギョンに謝ろうと思ってる。悪いけど、ファン、付いてきてくれないか?」
「良いけど・・・ギョンには黙ってた方がいいよね?ギョンが付いて行ったら、謝罪しても逆効果のような気がする」
「確かに・・・悪いけど、今日はパスだな」

ファンとインが心配していたにもかかわらず、シンはにこやかに登校してきた。

「「シン?」」
「おう、今日は暑くなりそうだな♪」
「シン、どうしたの?変な物でも食べた?」
「は?」
「何かおかしいよ。昨日、あんなに深刻な顔して帰ったのに そのご機嫌の理由は何?もう解決したの?」
「ああ、ほぼ解決したと思う」
「流石、宮だね。仕事が早い。でも納得。煩わしい事が解決して、ご機嫌なんだね」
「ああ。まぁ、それだけじゃないけどな」
「「へ?」」

ファンとインが顔を見合わせていると、一人のクラスメートが教室に飛び込んできて、シン達の前に走ってきた。

「ハァ、ハァ、殿下、おはようございます」
「ああ、おはよう」
「殿下、ウォン先生と知り合いなんですか?」
「えっ!?ウォン先生、知ってるの?」

クラスメートとシンの会話に 何人かが反応を見せて、会話の続きを気にしている。

「はい。俺、小学生の時、『ウォンアジョシと歴史探検しよう』に何度も参加したんです」
「『ウォンアジョシと歴史探検しよう』?何、それ?」
「え~~!知らないんですか?不定期で行われる子ども講座ですごく楽しくて、すぐに定員いっぱいになるんで競争率めちゃくちゃ高いんですよ」
「アジョシ、そんなことしてたんだ。で、何で急に?」
「今、玄関で会ったんです。ウォン先生ですよね?って聞いたら、『ハイ、君は何科?』って言われて、映像科ですと答えたら、『じゃあ、皇太子殿下と一緒だね。彼、僕の一番弟子なんだ。ああ見えて、寂しがりでね。仲良くしてあげてくれると嬉しいな。冷たそうに見えるけど本当は優しくて良い子なんだ。お願いね』って言われたんです」

シンは、椅子を倒す勢いで立ち上がると、そのクラスメートの両肩を掴んだ。

「!!アジョシはどこに行った?」
「さ、さぁ?校舎の中に入って行きましたけど分からないです?」
「教えてくれてありがとうな。8年近く会ってないんだ。俺、今から会いに行ってくる」
「「お、おい、シン!!」」

一瞬、唖然としたファンとインだが、ギョンを引き連れて、慌てて飛び出していったシンの後を追うのだった。
イン達がシンに追いついたのは、職員室の手前、学生用の玄関前だった。

「ちょっと待てよ。そのウォン先生が、どこにいるのか分かってるのか?」
「・・・多分、理事長室。いや、絶対にそこにいる」
「お、おい・・・」

訳分からずシンの後ろを付いてきたが、理事長室を前にして、御曹司3人は昨日のことを思い出し、尻込みしてしまった。
シンが理事長室のドアをノックしたが、中からは何の反応もなく、首を傾げていると、背後から声が聞こえた。

「何してんの?」
「「「 ウワァ!!」」」
「何?お化けでも見たような声出して・・・で、俺に何の用?」
「アジョシに会って喋ったってクラスメートが言ってて、ここに来たら会えると思ったんですけど、ノックしても何の反応もなくて・・・」
「ハァ・・・目立つ事するなよな、あのクソ親父。入って」

ジフがドアを開けると、一人の中年がだらしなくソファーに寝そべっていた。

「おい、起きろって!アジョシにお客さんだよ」
「はぁ、俺の?・・・ジフ・・・どっちバージョン?」
「はぁ~?自分で聞けよ!君は誰?」
「へ?イ・シンですが・・・」
「それは分かってる。公の皇太子として来てるのか、ソンジョおじ様の孫イ・シンとして来てるのか、どっち?それによって対応が変わる」
「ああ、玉ねぎ爺ちゃんの孫のただのイ・シンとして来ました」
「お~~~、坊主~~!元気だったかぁ~?俺の事、覚えてくれてたんだなぁ。ありがとうな」
「アジョシ、会いたかった~」

突然、突進してきたと思ったら、シンをギュッと抱きしめ、シンも一瞬驚いたもののすぐに抱きしめ返した。
その光景をジフは、楽しそうに眺め、御曹司3人はポカンと口を開けたまま固まった。

「でもホント、デカくなったなぁ。ジフよりデカいんじゃねぇか?十分、大人で通用するな」

『大人』というフレーズに昨夜のジフの話を思い出し、シンは吹き出し、お腹を抱えて笑いだした。

「えっ、坊主!?ジフ・・・こいつ、しばらく会わないうちに脳みそ溶け出したみたいだな」
「大丈夫。あんたは腐ってるから、まだマシ」
「ん?おっ、君は、カン家のエムくんじゃないか。久しぶりだね」
「お久しぶりです、アジョシ。カン・インです」
「いやぁ、今回、君もとんだ災難だったね、エムくん」
「だから、インですってば・・・何で、エムなんですか?!」
「クククッ、親父、昨日、ガンヒョンが言ってただろ。あの娘の狂言で、潔白のようだって・・・冤罪なんだから、M君は止めてやれよ。とりあえず、皆、落ち着かないから、座ったら?どうせ授業サボリでしょ?」

ジフに促され、チェウォンが寝そべっていたソファーにチェウォンとシンが座り、向かいのソファーに3人が座った。

「アジョシ、2年前はすいませんでした。俺、何も知らなくて・・・」
「君が悪い訳じゃないだろう。例え、君と関係があったとしてもチェギョンが暴力を振るわれたのは、君の所為じゃないさ。気にする事ない」
「それはそうですが・・・後でチェギョンにも謝りに行こうと思ってます」
「ああ、今日、娘休みだから、美術科に行ってもいないよ」
「えっ!?昨日、あれから何かあったんですか?」
「ああ、昨日、帰ったら、俺のベッドに潜って泣いててさ。朝、赤い顔してるなと思ったら熱出てた。母親は忙しいし、父親はこんなだろ?だからアイツ、昔から何かあった時は俺に泣きついてくるわけ」
「ふん・・・ああ、エムくん、昨日ジェウクが何度もソンヒョンのチェインにアポ取ろうとしてたけど、気にするなって言っといて」
「あっ、はい。ところで、何で俺、エムなんですか?」
「クスクス、俺から説明しようか?あの時、全身打撲に両足首捻挫と左腕骨折しててね、しばらく介護が必要だったんだ。で、俺ん家なら使用人いるし、俺ん家で静養してたんだ。そしたらね、少し動けるようになったと思ったら、俺の部屋に入って、ベッドの周りをガサゴソしてるわけ。その時、俺の親友たちも来てて、エロ本でも探してるのか?って冗談で言ったら、チェギョンね・・・ブッ・・・『ううん、避妊具探してる』って答えたんだよ」
「「「えっ!?」」」
「俺ら、ビックリしてさ、『お前が使うのか?』って聞いたら違うって・・・確かめたかっただけって言うんだ。聞けば、ミン・ヒョリンがね、避妊具の箱を見せて、『これ、何だか分かるでしょ?私達、こういう関係なの』って言ったらしいんだ。その時、その箱にMって書いてあって、避妊具にサイズがあるって知ったらしい。で、俺は何サイズだろうって気になったんだってさ。それ以来、君はМサイズのエムくんと俺らの中では呼ばれているってわけ」
「///なっ・・・!!」
「「「ブハッ・・・アハハ・・・・」」」

イン以外のシン、ファン、ギョンは、ソファーに倒れこんで涙を流しながら笑った。

(チェギョン、天然すぎるだろ!イン、謝る必要はない。むしろ謝ってもらえ・・・)




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