シン、ファン、ギョンの3人の笑いが治まると、チェウォンがニーッと笑った。
「坊主、今更なんだけどさ、あとの二人誰?」
「ブッ、ホント今さらだよね。リュ・ファンとチャン・ギョン。王立から一緒に入学してくれたんだ」
「おお、君がチャレンジャー君か・・・ん~、大器晩成型かな?多分ね、君は兵役を終えたら、一皮も二皮も剥けて大化けするんじゃないかな。モテると思うよ」
「え~、今はダメなんですか?」
チェウォンは、隣で肩を震わせて笑っているシンを無視して、ギョンに話しかけた。
「うん、ダメ。さっきから見てたけど、君、注意力散漫すぎる。俺とジフの掛け合いの中で、君だけ笑うテンポがちょっとズレてる。多分ね、人の意見に対して、理解力が悪いと思う。まぁ、御曹司に有りがちなんだけどね。間違ってた?俺、これでも教師?講師生活20数年なんだけど・・・リュ・ファン君、どう?」
「当たってると思います」
「だよね・・・リュ・ファン君、君も良いもの持ってそうなのにちょっと残念な気がする」
「えっ!?」
「ん~、何だろ?トップに立つよりどちらかと言うと参謀役っぽい?落ち着いて、周りをよく見てる感じがするもん。でもさぁ、他人の間違いをはっきり指摘するの苦手だったりしない?君も一皮剥けないと大成しないよ。頑張って」
「グホッ・・・一皮剥ける~、ダメ、ツボった・・・アハハハハ・・・お腹が・・ヒィ~・・・」
チェウォンやインたちは、お腹を抱えて笑いが止まらないシンを不思議そうに見つめたが、原因に気づいたジフはシンにミネラルウォーターを渡し、シンが口に含んだ途端シンの耳元で囁いた。
「君が会いたかったアジョシは、15でやっと剥けた包茎変態野郎だって知ってた?」
『ブーー』
「「ウワッ!!」」
「シン、吹き出すなって!汚いなぁ・・・」
「ゴメン、ゴメン」
4人が大騒ぎの中、今度はジフがシンの横でケラケラとお腹を抱えて笑っていた。
「ジフ、坊主を虐めたら不敬罪問われるぞ。程々にしとけよ」
「クソ親父に言われたくない!でもほら、笑い止まったじゃん」
「ふぅ、笑い死ぬかと思った。でもジフさん、あれマジですか?」
「クククッ、ホント。死んだ爺さんが暴露してたから、間違いないよ」
「さっきから、お前ら、何訳わかんない事言ってんだ?坊主、さっきの会話で笑う場所なかったと思うんだけどな」
「昨日、宮で殿下と陛下と3人の時に昔話をしたんだよ。チェギョンが4歳の時の話」
「ん?どんな話だ?」
「チェギョンに いつ初めて大人になったと思った?って聞かれて、アジョシが、『皮が剥けた時』って答えた時の事さ」
「「「ブハッ・・・」」」
今度は、イン、ギョン、ファンの3人が、吹き出した。
「ん?あーーー、あったね、そういうこと。しかしよく覚えてるね、そんな昔の事」
「忘れられるかよ。4歳児が、皇帝に向かって、無邪気に『ちゃんと勃ってる?奥さん気持ちいいって?ダメでしょ、今日絶対してね。約束よ』って言ったんだぞ。それも舌足らずの口調で・・・皇帝が『らめれしょ!』って怒られてんだよ!?間違いなく俺の生涯の中で、これ以上の衝撃を受ける言葉は耳にする事はないと思う」
「「「グハッ・・・・バンバンバン」」」
「ジフ・・・あんまり言い触らすなよ。チェギョンが、不敬罪で捕まったらどうすんだよ!?」
「あんたが、言わせたんだ!代わりにあんたが捕まったらいいんだ。そしたら俺の人生も穏やかになる」
「クククッ・・・でもよぉ、そんなこと言われても孫の嫁にって思えるの凄いよな。やっぱソンジョおじさんもどっかおかしい人だったんだな」
「そこは否定しない。ほんとソンジョおじ様の思考は謎だね」
「ああ、思い出した。その次の日、親父と俺、高麗人参とまむしドリンク持参で宮に乗り込んだんだ。親父、態々人払いして、頑張ったかどうか聞いたんだぜ」
シンを含む4人は、もう可笑しすぎて、声が出ないぐらい、お腹をおさえて笑い続けている。
「坊主・・・頑張ったが、途中で萎えたらしい。良かったな、年下の叔父さんができなくて・・・因みに第3皇子懐妊未遂事件と俺と親父は呼んでいた」
「ブハッ・・・アジョシ、もう勘弁してください。笑い過ぎて死にそうです」
やっと落ち着き、笑いすぎて気だるい疲れが体を襲った。
「あのぉ、僕とギョンは評価してもらったんですが、インとシンの評価を聞かせてもらえませんか?」
「ん~、難しいな。小さい頃から知ってるしな。ただカン家のボンは、ちょっと悪ぶってるけど中途半端かな?親父の跡を継ぐけど、もう少し後でも良いかなって感じ?ジフとその友達の高校の頃は、そりゃあ悪かったよ。ここだけの話、金と権力でどれだけ握りつぶしたか・・・な?」
「まぁね」
「でもな、中等部の終わりには英才教育、全員終わってんだ。で、高等部卒業と共に全員、真っ当な生活を始めた。まぁ、切欠があったんだけどな。コイツらを見てたから、悪いけど3人とも小粒だなって印象が拭えない」
「「「・・・・・」」」
「あ~、坊主は・・・俺、坊主の苦労も努力も知ってるしな。3歳半から親父が倒れるまでの約5年か?何でこんな小さい子が苦しそうに笑うんだ?!って・・・俺の顔を見たら、パァ~と顔が綻ぶんだ。可愛いというよりホント愛しかった。だから俺が参内しなくなっても楽しい思い出が残るよう宮廷内隅々二人で探検したな・・・多分チェギョンより遊んだと思う。悪いが、客観的に坊主は評価はできない。国民がすればいい。強いて言えば、俺は坊主を認めているし、信じてる」
「「「・・・・・」」」
あまりにも心のこもった深い想いにシンは目頭を熱くし、他の者は感動した。
「アジョシ、ありがとう」
「クスッ、親父、じゃあ、殿下とチェギョンの事も認めるんだ。殿下、その気っぽいよ?」
「マジか?勘弁して・・・とりあえず友達から始めてくれる?俺にも心の準備があるし・・・すぐシちゃうとか止めて」
「ブッ・・・そう、そう。殿下、剥けた?」
「はぁ!?///ジフさん、急に何を言い出すんですか?」
「昨日、話したろ?チェギョン、ソンジョおじ様に『チン君、剥けたらおちえてね。大人になったら、気持ちいい事いっぱいちようねってちゅたえてね』って言ったって。で、もう剥けてる?クククッ・・・」
「「「ブハッ・・・」」」
「///ジフさん!!」
「ジフ・・・坊主は、お前と一緒で生まれつき大人だ。5歳のお前の見た時は、軽く嫉妬しただけだが、3歳の坊主のを見た時は、軽く殺意を覚えた。俺のちっぽけなプライドとガラスのハートが粉々に砕けるぐらい立派だった」
「///アジョシ!!俺は評価できないって言っておきながら、俺のアソコを評価するのは可笑しいでしょ!?さっきの感動を返せ!!」
「ブハッ、クククッ・・・クソ親父、病院行けよ。脳外科の紹介状、書いてやるからさ。殿下、もう一度、考え直したら?このクソ親父が、舅になるんだよ!?俺なら絶対嫌だね」
「ジフ、少しは叔父を敬え!・・・イン君、坊主に言ってやれ!男はサイズじゃない、膨張率と持続力だ。あとは、テクニックでカバーすれば、何の問題もないってな♪」
「アジョシ、俺はそんなに小さくないって!!」
「ふふん、俺、赤ん坊の時、風呂入れたことあるもん。俺の仲間だったじゃん♪」
「///アジョシ!!」
「ああ、親父のジェウクの前じゃちょっと猫被ってるから、素の俺の事は内緒ね♡」
ギョンとファンは、強烈なキャラのチェウォンに圧倒されっぱなしだった。
(凄ぇ~!ホント滅茶苦茶な人だけど、惹きつけられる。俺、この人、好きだな。ハクチョウの攻略方法教えてくれないかなぁ・・・)
(知り合ったばかりだけど、奥が深いって言うか・・・掴みどころのない人だよな。きっとこの人の周りの人って、かなり鍛えられてパワフルなんだろうなぁ・・・ガンヒョンさん、強かったもん)