Quantcast
Channel: ゆうちゃんの日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 229

イ・シンの評価 第22話

$
0
0
話し合いが終わると、授業に戻るには中途半端な時間だったため、ユルは3時間目の実習から戻ることにした。
スケッチブックと筆箱を持つと、ユルはチェギョンの姿を探しに校舎を出た。

「ユッルく~ん、こっこ、こっこ」

大きな叫び声に目を向けると、チェギョンが手を振っていた。

(クスッ、ホント明るくて良い子だよなぁ~)

「探しちゃった。ガンヒョン、僕も一緒していい?」
「この子が呼んだんだもの。どうぞ」
「クスッ、ありがと」
「ユル君、1時間目と2時間目いなかったね。サボって寝てたの?」
「ううん。実は、従兄弟に会って、少し話をしてきたんだ」
「えっ、ホント?良かったね。案外フレンドリーな人だから、気軽に話せたでしょ」
「ちょ、ちょっと、チェギョン。ユル君の従兄弟、誰か知ってるの?」
「あ、うん。シン君だよ」
「は?あんた、シン君って、ひょっとして皇太子殿下のこと?いつから、そんな風に呼んでるのよ」
「えっ、えっと昨日?エヘ」
「誤魔化さないの!で、何でユル君のこと、知ってたのよ。あんた、そんな事一言も言ってなかったでしょ」
「あ、うん。昔、宮で会ったことがあるのよ。それに本人が公表してないのに私が言うのも何だかなぁって思ってね。自分もその気持ち分かるしさぁ」
「プッ、それってお父さんのこと?さっきシンと一緒に会ったよ。会って、話しした。面白いお父さんだね」
「うっそ~!また変なこと言ってたでしょ。ユル君、ハッキリ言っていいわよ。変人って・・・ハァ、私のテリトリーが浸食されてる気がする。もうホント最悪・・・」

今までおっとり話していたのに、突然早口になり毒舌を吐きだしたチェギョンを見て、ユルは目を丸くした。

「クスクス、ユル君、家族の事は黙っててあげて。チェギョン、本当に嫌がってるの」
「良いけど・・・ガンヒョンも知ってるんだね。チェギョンのお父さん」
「まぁね」
「まぁねって、親戚の癖に他人のフリしないでよ。裏切り者!」
「当たり前でしょ。あんたの父親と繋がりがあるって、絶対にバレたくないわよ!!」

ガンヒョンの剣幕に ユルは思わず笑い出してしまった。

「で、肝心なこと聞いてないけど?昨日、あんた休んでたのに何で殿下を≪シン君≫って呼ぶようになるのよ」
「何かね、家にお見舞いに来てくれて、友達から始めようって・・・名前で呼んでって言われた」
「ハァ・・・友達から始めようって・・・あんた、十分に注意しなさいよ」
「だよね。これ以上、目立つのは嫌だし・・・でもさぁ、昼休み一緒に過ごすこと約束しちゃったんだよね。ガンヒョン、付き合ってね」
「はぁ~!?」
「ガンヒョン、怖い・・・シン君もお友達連れてくるって言ってたし、私も連れて行くって言っちゃたんだもん。ね、お願い♡」
「・・・仕方ないわね。ユル君、貴方も一緒に行くわよ」
「えっ、僕も?」
「そうよ。従兄弟なんでしょ?あの4人好かれている訳じゃないけど、それでも特定の女生徒が一緒にいるとなると危険な気がするのよね。特に殿下でしょ?ボディガードだと思って、付き合ってよ」
「分かったよ」
「助かるわ。チェギョン、ヒスン達がどこまで描けてるか見てきて」
「うん、分かった~」

チェギョンが走って行く後姿を見ていると、ガンヒョンが口を開いた。

「チェギョンは分かってないけど、あの子ってかなり厄介な立場なのよね。元大統領の孫だし、あの変人だけど顔だけは良い理事長と従兄妹だし、その理事長のセレブな親友たちには可愛がられてるし・・・色んな意味で、羨望と嫉妬の対象ではあるわけよ。そこに殿下と幼馴染だってバレてみなさいよ!?考えただけでも恐ろしいわよ」
「言われてみれば、そうだよね」
「中学校の時もやっかみで暴行を受けて大怪我してるのよ、あの子。今回は、その比じゃない気がする。あの子を守るのは、多い方がいいわ。ユル君、よろしくね」
「分かった。とりあえず一緒にいるようにするよ」


昼休み、チェギョンは、ガンヒョンとユルと一緒に 理事長室の奥にあるリビングに向かった。
チェギョンは、電気ポットに水を足したり、コーヒーメーカーの準備をしたり、ちょこまかと動いている。

「ユル君、お弁当は?」
「持ってきてない。いつも売店で買ってるんだ」
「大変じゃない。ちょっと待っててね」

冷蔵庫や棚をガサゴソ物色していたかと思うと、徐にキッチンに立ち、調理をしはじめた。

「えっ!?チェギョン?」
「あの子に任せておきなさいって。ああ見えて、料理得意なの」
「えっ、そうなの?」
「ユン家に頼らず、できるだけシン家で生活する。それが家の方針でね。時間がある時は、アジョシが料理を作ってるわ。でも忙しい人だから、いない時はチェギョンとチェジュンが料理するわけ。だから上手なのよ」
「おばさんは?料理しないの?」
「うん、しない。おばさまは、根っからのお嬢様だから。掃除と洗濯は結婚して覚えたみたいだけど、料理は全くダメなんだって。カラッとしてて良いおばさまよ。何であんな変人掴んだのかしら?それが、謎だわ」
「クククッ・・・そんなこと言って、アジョシのこと好きなんでしょ?」
「ええ、好きね。ただ周りに親戚だとバレたくないだけで・・・同類と思われると嫌じゃない」
「クッ、ハハハ・・・・」

ユルが爆笑していると、ドアが開きシン達4人が入ってきた。

「ガ、ガンヒョンさんだ」
「ギョン、ハウス!絶対、飛びかかるんじゃないぞ。嫌われるからな」
「・・・分かってるよ」
「クスクス、ハウスって・・・いらっしゃい」
「チェギョン、何作ってんの?」
「ユル君の昼ご飯だよ。お弁当持ってきてないんだって・・・冷蔵庫見たら、トンチミがあったしね。冷麺でも作ろうと思って」
「チェギョン、俺のも作って」
「えっ、お弁当持ってきてるじゃん。残したら勿体ないじゃない」
「昨日食べて、美味かったから・・・また食べたい」
「じゃあ・・・ユル君とお弁当と冷麺半分ずつして食べたら?麺、少し多めに茹でるからさ」
「うん、そうする♪」

その二人の様子を見て、ガンヒョンが近くにいたファンに小声で話しかけた。

「ねぇ、あれ、誰?あんなキャラの人なの?」
「一応、世間では皇太子と呼ばれてるよね。僕もあの変わり身にちょっとビックリしてる」
「ガンヒョ~ン、冷麺できたからオッパに一緒に食べないか聞いてきて」
「オッケー」

ガンヒョンが理事長室に向かうと、チェギョンは3つの器をテーブルに運んだ。

「チェギョン、久しぶり」
「あっ、エ じゃなくてイン君、久しぶりだね。元気だった?」
「・・・お前、今、俺のことエム君って言いかけただろ?」
「えっ、エヘへ」
「笑って誤魔化すな!ホント、そういうとこ変わってねぇな。またお袋のケーキ、食いに来いよ。絶対に喜ぶからよ」
「うん♪」

インとチェギョンが仲良く話していると、ガンヒョンがジフを連れて戻ってきた。
その瞬間、御曹司の3人が、一斉に姿勢を正した。

「プッ、チェギョン、殿下の隣に座りな。またヘソ曲げてるからさ」
「ジフさん!」
「クスクス、は~い。シン君、お待たせ。一緒に食べよ」
「うん。お前らも緊張しないで食えば?ユル、俺の横来て、弁当食えよ。箸、使えるか?」
「あ、うん。大丈夫」

食事が終わると、ジフはチェギョンとガンヒョンに人数分のコーヒーと紅茶を淹れるように頼んだ。
2人が席を離れると、ジフは声を落として、シンに話しかけた。

「昨日、帰ってから調べた?」
「は?いえ、今日、帰ってから探そうと思ってます」
「違う!イン君用とは別に殿下も貰ってたじゃん。さっきジュンピョからメール来てさ。同じサイズだったら、自分の分けてやるってさ。アイツの特注だからさ」
「ジフさん!!」
「「「ブハッ・・・・」」」
「シン、大人が3歳児の見て、殺意を覚えるぐらい立派なのか?」
「ギョン、黙れ!そんなもん知るか!!」
「・・・チャレンジャー君、サイズじゃなくフォルムね。そっちが完璧だったみたいだよ」
「「「は?」」」
「クスクス、家にね、チェギョンの爺さんが書き残したネタ帳があるんだよね。俺の爺さん曰く、ソンジョおじさまを笑わせるネタだったらしいんだけどさ。イン君、小さい時、チェギョンと一緒にプール遊びしたことあるよね?」
「・・・はい、多分。うわっ、何か嫌な予感・・・」
「チェギョンがね、『イン君とチン君のだいじ、じぇんじぇん形がちなうのよ。どうちて?』って爺さんに聞いたみたい。『どう違うんだ?』って聞いたら、クククッ・・・『切る前のスンデとチイタケ』って答えたってさ」
「「「グハッ・・・あははは・・・」」」
「「///チェギョン!!」」

ガンヒョンとお茶の用意をしていたチェギョンは、名前を呼ばれてキョトンとした後、ニッコリとシン達に向かって微笑んだ。
その悪意のない無垢な笑みは、更なる爆笑を呼んだのだった。

(この学校、というかこの理事長、おかしいだろ・・・こんなイケメンなのに下ネタなんて・・・)



Viewing all articles
Browse latest Browse all 229

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>