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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第28話

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眠ったままのチェギョンを宮に連れ帰ったシンは、東宮殿の自分のベッドにチェギョンを寝かせた。

(そろそろ1時間経つんだけどな・・・本当に薬の量、間違えてないか?)

制服から着替え終わったシンは、貰った服をクローゼットに整理することにした。

「殿下、お帰りなさいませ。あのこれは・・・」
「ん?チェギョン?それともこの服の事?」
「どちらのこともでございます」
「服は、ジュンピョさんとジフさんの。少しは若々しい恰好をしろってさ。チェギョンは、気持ち良さそうに寝てるから拉致してきた」
「ら、拉致でございますか・・・?」
「クスッ、ちゃんとジフさんに許可は貰ってる。再会して、一度もゆっくり2人で話した事ないんだ。だから距離を縮めるためにも話したくて、無理言って連れ帰ってきた。もし皇太后さまや陛か」
「分かりました。お二人が何か仰ってもお断りさせていただきます」
「夕食を摂ってから送って行くつもり。2人分、用意を」
「かしこまりました」

コン内官が部屋から出て行くと、チェ尚宮が入ってきて保温ポットに入った紅茶とカップを持ってきた。
そしてテーブルに置くと、あとは宜しくとばかりに一礼して出て行った。

(クスッ、ホントよくできた尚宮だよな。起こしたら起きるかな?)

「チェギョン、起きて」
「ん、ん~・・・」
「お茶の用意ができた。お茶して、散歩に行こう」
「へ?シ、シ、シン君、なんで?」
「ごめん。寝顔が可愛かったから、そのまま連れてきちゃった」
「連れてきたって・・・宮?」
「うん。俺が住んでる東宮殿で、それ俺のベッド」

その瞬間、チェギョンは飛びあがってベッドから降りた。

「クククッ、そんなに飛び起きなくても良いのに」
「いやいや、そんな訳にはいかないって・・・ここ、ホントにシン君の部屋なんだね。シン君の匂いがする」
「俺の?臭い匂いとか言うなよ」
「違う、違う。良い匂いだよ。何か、落ち着く」
「そうか?」
「チェジュンの部屋なんて、汗臭くてムッとする時あるもん」
「げっ、それは俺もヤダ」
「でしょう?」
「さっき紅茶持ってきてくれたから、飲もうか。で、飲み終わったら、昔遊んだ所まで散歩しよ」
「うん♪」

お茶の時間の間もチェギョンはシンの部屋が珍しいのかキョロキョロしていた。

「クスッ、そんなに俺の部屋が珍しいか?近くにジフさんやチェジュンがいるのにさ」
「う~ん、広いのもあるけど、色々物があるのに落ち着けてシックだよね。オッパの部屋はベッドとサイドチェストしかないし、チェジュンは鉄アレイとか筋トレグッズが散乱してる」
「どっちも極端だな」
「だよね~。私の部屋は・・・って、見たっけ?」
「見たな。可愛い小物がいっぱいあって、ザ・女の子の部屋って感じだった」
「ふふ・・・」

お茶が終わり、シンは恥ずかしそうにするチェギョンと手を繋いで、庭に出た。
あちこち説明をしていると、好奇心が芽生えたのか目を輝かせながら話を聞いてくれ、シンは嬉しかった。
そして気がかりな事をさりげなく聞いてみる事にした。

「どこも古臭くって、カビが生えそうな建物ばっかだろ?」
「はぁ?何言ってんのよ!先人が残してくれた偉大な遺産だよ!?こういう所に住んでる事は幸せな事だと思うよ?確かに広すぎて、住み心地は悪いかもしれないけどさ、それもまた風流だと思えば苦痛でもないって。まぁ、これを維持して、後世に残していくのは大変かもしれないけどさ」
「・・・ありがとな」
「何が、ありがとうなの?意味が分かんない」

正直、自分でも無駄が多すぎると思っている場所に 最大の賛辞を送ってくれたことにシンは嬉しくて仕方なかった。

(やっぱ良い、チェギョン・・・)

シンとチェギョンは、昔いつも遊んでいた小さめの楼閣がある庭に辿り着いた。

「そうだ、ここだった。懐かしいね~。でもこんなに静かだったっけ?」
「俺もユン邸の庭を見た時、懐かしいと思ったよ・・・ここは、どこに行っても静かだよ。子どもの俺にとっては、寂しい所だった。今はもう慣れたけどな・・・」
「シン君・・・」
「逃げ出したいと何度も思った。自分の子が同じ運命をたどるなら、要らないと思うほど辛かった」
「シン君の子だもの。皇族だから仕方ないと思う。でも少ない時間でも愛情のこもった言葉を掛け、自分の仕事の大切さを話せば、きっと子どもは自分は愛されていると分かってくれるし、仕事するアッパを尊敬してくれる筈よ。絶対、両親が不在でも笑顔で出迎えてあげようって思ってもらえるわ。私がそうだったから・・・だからシン君も自分の心掛け次第だと思うわよ」
「チェギョン!」

チェギョンは、シンに名前を呼ばれた直後、力いっぱい抱きしめられていた。

「シ、シ、シン君!?」
「やっぱりチェギョンがいい。こうやっていっぱい話して、2人でここで暮らして行こうよ。昔、ずっと一緒にいようねって約束しただろ?だから、もう俺を諦めるなんて思わないで。俺が子どもの頃の夢、諦めきれないから・・・」
「えっ!?それって・・・」
「うん。許嫁の話、断わらないでほしい」
「へ?この間も言ってたよね、許嫁って。何、それ?」
「ああ、分からなかったんだ。おじい様である先帝が、チェギョンを俺の結婚相手にするって遺言に遺してくれてるんだ。結婚相手っていうのが許嫁の意味」
「玉ねぎのお爺ちゃんが?私をシン君の結婚相手に!?」
「そう、玉ねぎの爺ちゃんが、俺たちの約束がちゃんと守れるようにしておいてくれたんだ。皇族は嘘を吐けないからな」
「うそ・・・」
「ホント。外野が煩く騒ぐだろうから、先手を打ってくれてたんだ。だから、堂々と俺の傍にいて?」
「いいのかなぁ・・・アッパ達、何て言うんだろう・・・」
「アジョシは、嫌々だろうけど認めてくれてる。チェギョン次第だってさ」
「シン君・・・」
「・・・分かった。返事は急がない。でもNOの返事は聞かないから。徐々に心の準備して、俺を受け入れて。分かった?」
「うん。クスクス、何か言い方は柔らかいけど、俺様的な言葉だったよね。シン君、ありがとう」

シンは、チェギョンを解放する前に 額に一つキスを落とした。
真っ赤になるチェギョンをクスリと笑うと、再び手を繋いで東宮殿に戻る道を目指した。

(可愛いなぁ・・・小さい時も可愛かったけど、今も半端なく可愛い。ホントおじい様に感謝だよな)

東宮殿に戻ると、二人で色々な話をした。
どちらかと言うと、チェギョンが話し、シンはゲラゲラ笑う方が多かったが、東宮殿に初めて響く声だった。
その声を聞いた東宮殿に配属されている職員たちは、皆顔を見合わせ、一様に驚いたのだった。
シンが、シン家でチェジュンだけ毛色が違う気がすると話すと、チェギョンが嫌そうな話をした。

「オンマがね、私の世話を爺ちゃんとアッパに任せたことは間違いだったって、チェジュンは物心ついた頃からユン家で働く退役直後のSPに世話を頼んだの。失礼だと思わない?」
「ブハッ・・・」
「でもさぁ、最初はアッパ譲りの性格だったみたいよ。チェジュン担当のSPさんがコロコロ変わってたし・・・」
「クククッ・・・その辺の事は、今度、ジフさんにでも聞いてみるよ。あのさ、お母さんってどんな人なの?チラッと見ただけで話したことないんだ」
「ん~、一見まともそうに見えるけど、シン家で一番変わってるかも・・・」
「えっ!?信じられない」
「とにかく感覚が違う。お嬢育ちだから仕方ないけどね・・・私達の事は愛してるけど、この国の文化や芸術を守るのは自分の使命だって言って頑張ってる」
「色々、やり手だって噂を聞いたことあるよ」
「じゃあ今度、やり手ババアって言ってやりなよ。私達が大爆笑してあげるから・・・」
「言えるか!!」



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