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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第55話

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ジフは朝からシン家の家に向かうと、キム・ソヨンの家族に挨拶をしたり、泊ったジョンジェと打ち合わせをしてから、芸術高校へと向かった。
その間もあちこちに電話をかけ、最後にガンヒョンに≪チェギョンに内緒で理事長室に来い≫とLINEを送った。
学校に着くと、不機嫌丸出しのガンヒョンが理事長室のソファーに座っていた。

「はよ。怒るのは、これを見てからにして」

ジフは、文句を言われる前にすぐにパソコンを立ち上げ、昨日見た書き込みを見せた。

「何なの、これ?」
「うん。その教生とその家族、家から出られない状態でさ。昨夜、チェギョンの爺さんの家に避難させた」
「ひどっ・・・で、私は何をすればいいの?」
「うん。ガンヒョンは、芸大志望だったよね?今日、チェギョンを連れて、ハン・ジョンジェに大学案内してもらって」
「・・・分かったわ」
「いいね。話が早くて・・・」
「で、書き込みの犯人は誰か分かったの?」
「当然。教育実習に応募したけど落ちた子たち5人。キム・ソヨンに名誉棄損で告訴するか、ついでに聞いてきて。手続きはうちの弁護士がするから心配しなくていいって伝えておいて」
「了解。で、チェギョンには何も言わずに連れていけばいいのね?」
「うん。あいつ、芝居できるタイプじゃないし、天然でいい仕事するしね。ガンヒョン、この5人のプロフィール、頭に入れておいて」
「は~い。げっ、これ、拙くない?」
「流石・・・もう気づいた?ウビンとは、打ち合わせ済み。後は、ガンヒョンにお任せ」
「何で私ばっかり・・・オッパは何するつもり?まさか高みの見物じゃないでしょうね?」
「こんな煩わしいの最後にしてほしいからさ。今回は、直談判する。それでもダメなら、他の手段に出る。面倒臭かったら、芸大乗っ取ってもいいしね」
「こわっ・・・」

ガンヒョンは、言葉巧みにチェギョンを誘い出し、学校を早退してジョンジェの車に乗り込んだ。

「チェギョン、久しぶりだね。こちらは、クラスメートかい?
「お久しぶりです。イ・ガンヒョンといってクラスメートで、親戚でもあります」
「はじめまして、イ・ガンヒョンです。教育実習に来られていた時に遠目でしたが、お姿は拝見していました。今日は、宜しくお願いします」
「突然、理事長から『ハトコに大学案内してくれないか?』と連絡を受けた時は驚いたけど、可愛い女子高生をエスコートできる機会はもうないもんな。今日は宜しくな」
「ハン先生、実はねキム先生に会いたいんだけど・・・ダメ?」
「ダメじゃないけど、何かあるの?」
「うん。先生がいた時に描いてた絵ができたの。できたら見せてねって言われたから、持って来たんだぁ」
「分かった。じゃ、着いたら、キム先生のところに一番に行こうな。で、4人でまわろう」

(本当にチェギョンには、何も話してないのか?理事長から聞いてたけど、何て誘導しやすい子なんだ・・・ガンヒョンって子は、理事長と同じ匂いがする。一癖ありそうだな)

大学に着くと、ジョンジェはソヨンから前もって聞いていた教室へ2人を案内することにした。
まだ講義中ではあったが実習の時間だったので、気にすることなくドアを開けて教室に入って行った。

「先生、申し訳ありません。教育実習に行った時の生徒なんですけど、この大学を見学したいと頼られてしまって・・・少し授業風景を見学させていただいていいですか?」
「良いわよ。集中している子もいるから静かにね」
「ありがとうございます」

ジョンジェは指でOKサインを出すと、チェギョンとガンヒョンを招き入れた。
2人は学生の真後ろに立って、学生の視点から描いている絵を見ていたが、徐々に微妙な顔つきになっていった。

「どうかしたか?」
「ハン先生、このクラスは何年生のクラスなの?
「えっ、キム先生がいるから3年生の筈だけど?それが、どうかしたか?」

あまりにも2人が不思議そうな顔をしているので、講師の先生が近づいてきた。

「先輩達の絵はどうかしら?」
「キム先生の絵は、色彩が綺麗だと思いました。あと何人かの方も凄いなぁと思いました」
「意味深な言い方ね。じゃ、その他の学生は?」
「・・・ハハ・・・」

その時、初めてキム・ソヨンは、チェギョン達が来ている事に気づいた。

「イ・ガンヒョン、シン・チェギョン!一体、どうしたの?」
「先生~!会いに来ちゃいました~♪約束の絵も持って来たんですぅ

その2人の声で、クラス中の学生が注目してしまった。

「先生、申し訳ありません。教育実習に行っていた時の生徒なんです。この2人、とても絵が上手かったんです。先生も良かったら、チェギョンの絵を見てあげてください」
「え、ええ」

先程、学生たちの絵の評価を濁した子が、どんな絵を描くか興味を持った講師は、一緒にチェギョンの絵を見る事にした。

「!!!これは・・・」
「描いている時から凄いと思ってたけど、流石チェギョンって作品ね」
「えへへ・・・」
「キム先生、オッパから伝言です。犯人が特定できたそうです。名誉棄損で告訴するなら、弁護士は手配するとのことでした」
「えっ、ガンヒョン、何のこと?犯人とか、告訴とか、穏やかじゃないんだけど?」
「あんた、オッパから聞いてないの?キム先生、教育実習でうちに来ただけなのに 義誠君さまに色目使ってたとか、義誠君さまを通して殿下を誑かしたとか世間で言われてるのよ
「ハァ?あり得ないでしょ。だって先生が学校に来てた時、ユル君皇族だって知らないもの。それにユル君とシン君、昼休みしか一緒にいないけど、その時先生いなかったじゃん。一体、誰がそんなふざけたデマ流したのよ!?
「教育実習の面接で落ちた人たちだって。自分が殿下にお近づきになれなかった腹いせなんじゃないの?」
「益々、あり得ない!ガンヒョンが満点取ったテスト、半分もできなかった人たちだよね?オッパに答案見せてもらったんだよね。李王朝変革前、王様が政治を司った宮の建築物の名前は?って問いあったでしょ?青瓦台って書いてた人いたし・・・」
「プッ、マジ?宮の中にないし・・・青瓦台にいるの大統領だし・・・」
「でしょ?で、その人、ユン某さんって名前だったのよ。で、オッパに『まさか親戚じゃないでしょうね?』って聞いたわよ。ケラケラ・・・」
「ホント、どっちが殿下やオッパ狙いだったのよって感じだったわよね」
「うん、うん。みんな、これ面接だよね?って聞きたいぐらい、お化粧すごかったもんね。香水でオッパ、顔色も機嫌も悪かったし・・・めちゃくちゃ怖かったよね」

黙って聞いていたジョンジェは、もう苦しくて体を二つ折りにして笑っていた。

「///黙って聞いていれば、一体何さまなの?」
「へ?」
「何さまって、芸術高校の生徒です。先輩、教育実習の選抜テスト受けに来られてましたよね?私、見覚えありますもん」
「えっ、うっそ~~!」
「貴女が、5人のうちの1人ですね。キム先生をディスるコメントを載せたのは・・・」
「な、何の証拠があって、そんな嘘を吐くのわけ?失礼にも程があるわ」
「うちの理事長を甘く見てませんか?書き込みのIDから、簡単に辿り着いたらしいですよ。すでに証拠書類も揃ってましたけど?」
「えっ・・・」
「誰でも閲覧できるHPで、故意に偽った情報で人を中傷する事は犯罪です。こんな事は、中学生でも知っていますよ。今回、宮も巻き込んでいます。覚悟した方が良いんじゃないですか?」
「・・・・・」
「え~!ガンヒョン、この人、何とかなんないの?」
「じゃあ、ユル君が義誠君だと知って近づいたっていう話は時期的に無理があるし、キム先生が殿下を誑かした方は事実にする?」
「・・・やだ。シン君は私のだもん」
『『『!!!!』』』

『ガラ・・・』

「プッ、相変わらず、うちのお姫様はぶっ飛び発言するなぁ・・・」
「あっ、ウビンオッパだ。どうしたの?」

教室にウビンが登場し、クラスの学生たちは驚愕の表情を見せた。

「講師の先生ですか?」
「は、はい」
「突然、すいません。ソングループで専務をしておりますソン・ウビンと申します。少しお時間を頂きます。ユン・ミジョン、どこだ?」
「は、はい!」
「お前、何してくれてるんだ?ジフからお前の試験結果と提出作品を見せてもらった。教師の仕事を舐めてんのか?で、受からなかった腹いせに受かった人を中傷する?バカか!これが警察沙汰になってみろ。ソングループに被害が出るだろうが・・・という訳でお前の親父、解雇だから」
「!!!」
「あとの4人もここにいると思う。でも皆、同じ運命だと思え。一社員のバカな娘と共倒れしたくないからな。お前たち5人の所為で、義誠君さまと皇太子殿下が急遽コメントを出されることになった。成人した大人が、高校生に尻拭いさせて、どれだけ迷惑をかけてると思ってんだ!今回、宮内警察が動くから覚悟しとけ」

クラスの中に真っ青になっている学生が、ポロポロと泣き出した。

「先生に一言。どういった経緯で推薦状をお書きになったかは分かりませんが、真剣に教師になりたいと思っている人に失礼です。この芸大の品位を著しく落としましたよ。ユン・ジフは、この大学からは一切求人を取らないし、生徒たちに進学も勧めたくないと憤っていましたから・・・」
「・・・・・」
「あなたが、キム・ソヨンさんですか?」
「は、はい」
「うちの子会社の社員の娘が、ご迷惑おかけしました。謹んでお詫び申し上げます」

ウビンは、ソヨンに謝罪すると、深々と頭を下げた。

「チェギョン、ガンヒョン、腹減った。メシ、奢ってやる。帰るぞ」
「え~、まだ見学してない!」
「チェギョン、ジフがここは絶対に受けさせないから、見学しなくていい」
「そうだね・・・3年でこの絵はヤバい。私、国立芸大一本にする。チェギョン、帰るわよ」
「だって、キム先生とハン先生に久しぶりに会ったのに・・・」
「じゃ、2人とも連れていく!だから一緒に帰るぞ!!」
「は~い。先生、一緒にご飯食べに行こう♪」

5人は何もなかったように楽しそうに話しながら、教室を出ていった。
残された学生たちは、今まで白い目で見られていたキム・ソヨンは潔白で、噂を流していた学生の実態を知り、冷めた目で5人を見つめた。
講師もまた、チェギョンの絵を見て自分の指導力不足を痛感し、己の人を見る目のなさを思い知った。
その講師の手には、選抜試験の答案のコピーが握られていた。

その日の出来事は、学生たちによってインターネットに書き込まれ、全国に拡散していった。

(これで、少しは落ち着くだろう・・・)

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