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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第54話

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夏季休暇が終わり秋学期に入ると、宮はシンの公務にユルを同行させ、義誠君のお披露目を大々的に行った。
従兄弟が2人並び、笑いあって公務に励む姿は、報道も国民も一気に盛り上がった。
知的なイメージのシンに比べて、穏やかな笑顔を絶やさないユルは、多くの女性を惹きつけ、宮のファンを増やしていった。
宮は、新しい明るい宮を印象付ける事に成功したと、皆喜んでいた。
そんなある日、東宮殿にハン・ジョンジェが忍び込んできた。

「こんな時間に申し訳ない」
「いえ、それは良いんですが、急にどうしたんですか?」
「ちょっと困ったことが起こってて、助けてほしい」

宮の所為で、ハン家に何かあったのかとシンは緊張した。

「ハン家で何かあったのですか?」
「いや、俺じゃないんだ。美術科の教生だったキム・ソヨンなんだ。ちょっとパソコン貸してくれ」

ジョンジェがパソコンを開き、ある書き込みのホームページをシンに見せた。
そこには、キム・ソヨンを中傷する書き込みが大量に載せられていた。

「何なんですか、これ?」
「俺らの通う芸大から、芸校に教育実習に申し込んだ学生は大勢いる。大半が女学生だったがな。で、受かったのは、俺と2人だけだ。実習が終わって、大学に復帰した時は、そうでもなかったんだ。映像科がセキュリティーがしっかりしてる別棟だったから、美術科の教生では接触できないと分かってたんだと思う。実際、殿下も顔を見たこともないだろ?」
「ええ、あの打ち上げの時まで知りませんでしたね」
「それが、ユルのことが公表されて、風向きが変わった。ユルの事を最初から知っていたんだろうとか、色目使って誑かしてきたとか、噂になり出だした
「はぁ?公表って、つい先日でしたよ。学校でも知ってるのは、ごく一部で教師でさえ知らなかったのにあり得ない!」
「だろ?だから俺もキム・ソヨンもバカらしくて無視してた。そうしたら、書き込みされて、今じゃ家から出られない状況になっている」
「ハァ?何で??」
「書き込みを見た殿下やユルの熱烈なファンが、家にまで押し寄せてきて抗議していくらしい。危なくて、家族も家から出られないらしい。俺に助けを求めてきたんだ」

あまりにも理不尽な話に憤ったが、自分にも解決策は見つからなかった。

「とりあえず家族を安全な場所に避難させたい。俺んちも考えたが、探られるとマズいしな。当然、ユルのマンションなんか以ての外だし・・・何とかなんない?」
「・・・連絡してみます。それがヒョンの望みなんでしょ?」

ニヤリと笑うジョンジェを睨みながら、シンはジフに連絡した。
事情を説明しようとすると、とりあえず邸に来いと言われ、シンとジョンジェはユン邸に行くことになった。

「何なんだ、この家は?!」
「へ?ハン流通グループ会長の家もこんなもんでしょ?神話のジュンピョヒョンの家なんてもっと凄かったですよ?」
「は?殿下、比較する邸が間違ってるし、常識ずれてるから。世間一般の社長の家は、もっとちっせえし、SPなんて立ってねぇ」
「へぇ~。じゃあ今度ヒョンの家、お忍びでユルと行っていい?」
「バ、バカ!恐ろしいこと言うな!ダメ、絶対にダメ!!」
『クスクス、玄関前で、何騒いでるのさ?』
「あっ、ジフさん。この屋敷が異常だって言うから、ヒョンの家に遊びに行くって言ったら断わられたんだ。社長の家って、SP立ってないんだってさ」
「そうなの?ダチの中じゃ、俺んちが一番普通だけど?ウビンちのソン邸なんて、外壁は要塞なのに一歩入ればメルヘンだし・・・そういう事なら、ガンヒョンちに行けば?あそこは、SP立ってないよ。俺は落ち着かないけど、あそこは結構地味かも・・・頼んでみなよ」
「あっ、そうか・・・そうする」
「怖くて聞けないけど、ガンヒョンって?」
「俺の親戚で、美術科の生徒。ソンヒョングループ会長の家に住んでる。とりあえず入りなよ」

ジョンジェは、桁違いの家柄ばかりが出てきて、開いた口が塞がらなかった。
リビングに通されると、チェジュンがソファーでクッションを抱えて座っていた。

「チェジュン、久しぶり。アジョシは?」
「・・・狂った」
「はぁ、そんなの前からだろ」
「クククッ・・・俺ね、この歳で従姉妹ができるかも。シン君にとっては、義理の妹?」
「えっ!?///それって・・・」
「もう一人やっぱり欲しいって言いだしてさ。叔母さまが帰ってきたら、もうベッタリ。夜は呼びだすなと言明されてる」
「バカだろ・・・」
「今更・・・で、相談事ってなに?厄介事なの?」

ジョンジェは、シンに話した事をもう一度ジフとチェジュンに話しだした。
聞き終えたジフは、席を外すと小さめの段ボールを持って戻ってきた。

「捨てなくて良かったよ。ウビンに借りばっかり増えるからさ、活用してもらおうと思って残してたんだ。チェジュン、探せ」
「了解!」
「ジョンジェ、キム・ソヨンに連絡して、家族全員避難させるから、とりあえず1週間分の着替えを詰めて待ってろって言って」
「は、はい」

ジョンジェがキム・ソヨンに連絡をしている間に ジフは渡されたキム・ソヨンの履歴書を手にし、どこかに電話を入れ始めた。

「シンヒョン、この中から同じ大学の学生の履歴書と答案用紙、探し出して」
「あ、うん」
「間違いなく元凶はそいつらだ。そういうバカには、お仕置きしてやらないとな」
「チェジュン、警察の手に委ねてもいいよ。悪質だからね」
「・・・その方が、ヒョン達がお仕置きするよりマシか?ヒョン達がすると、立ち直れないぐらいやるからね」
「クスッ、やっぱ俺が出る。来年、また面倒な試験や面接するのヤダし・・・」

ジョンジェとシンが少し強張った表情をすると、チェジュンが笑った。

「王立じゃないんだし、学長更迭まではならないんじゃない?学生の就職率の低下ぐらい?」
「ちょ、ちょっと俺、めちゃくちゃ困る!」
「ん?あんた、どこに就職するつもり?まさかマスコミじゃないよね?」
「えっ、教師の採用がなかったら、俺、出版社に就職希望出すつもりでしたけど?」
「ハァ、勘弁して。何で、そんなに頓珍漢なのさ。もっと技術と知識を詰め込んで、うちに来な」
「へ?」
「乗りかかった船だし、芸校で雇ってあげる。あんた、知ってる人が見たら父親そっくりなのにさ、それでマスコミ志望とか、ホント止めて!」
「あっ・・・すいません。考えが浅はかでした」
「ホントそうだし・・・で、連絡してくれた?」
「はい。すぐに用意すると言ってました」
「じゃ今からSP向かわせるから、安心させるためにジョンジェ一緒に乗って行って。あちらも見知らぬ強面に迎えに来たと言われても困るだろうしね」
「はい、分かりました」
「チェジュン、爺さんちの方の家、いい?」
「明日の朝、親父に言えば、大丈夫。チュンハに連絡しておくよ」
「いや、チェジュンが行って、家の説明した方が良い。シン君、連れて行ってやって」
「じゃ、俺、今晩向こうに泊って、向こうから登校する。朝、迎えに来てもらってくれる?」
「了解。ジョンジェも泊るなら、俺の着替え使っていいよ。でもシン君はちゃんと帰りなよ」
「・・・分かってる。ジフさん、俺ができることはないか?」
「ん~~、多分、大丈夫。チェギョン次第だと思って・・・?」
「ジフさん!チェギョンを担ぎあげるんですか?」
「うん♪まぁ、任せといてよ」

一抹の不安を抱えながら、シンはチェジュンを乗せて、シン家の旧宅に向かった。

「本当は、もう一軒の家の方が落ち着くとは思うんだけど、まだ安全が確認できないんだ」
「えっ!?」
「まだ時折、監視している奴がいる。王族か記者か、まだ不明・・・」
「・・・すまない」
「シンヒョンの所為じゃないさ。それに注目されるのは、慣れてる。あの家系だしね」
「確かに・・・宮ぐらい増えても痛くも痒くもないだろ?」
「まぁね。シンヒョン、ヌナが心配なんだろ?ジフヒョンじゃないけど、ヌナは良い仕事すると思うぜ」
「どういう事だ?」
「ヌナは、あの親父の娘だけあって、間違った事は嫌いだし、どんな相手にでもハッキリ正論を言える奴だ。それにヌナに危害を加えたら、ヒョン達が黙っていない。シンヒョンもだろ?」
「当然だ」
「サンキュ。多分、ガンヒョンヌナも付いていくだろうし、強力コンビに任せときなって」

ガンヒョンが行動を共にすると聞いて、シンは少し安心するのだった。
そして家の前でチェジュンを降ろすと、宮へと戻った。

(明日、いや今日の朝の挨拶で、一応報告をしておこう。でも芸大の学生は、ジフさん目当ての女学生だったような・・・いつから俺目当てに代わったんだ?)



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