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Channel: ゆうちゃんの日記
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四獣神 第3話

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チェギョンの連れの男性がイン達と対峙しているとき、シンにはチェギョンの肩から連れの男性に移動し、耳打ちしているモノが見えた。

(うわっ、小さいけど青龍か?初めて見た)

「チャングループとカン電子の御曹司なんだって?悪いけど、そこの女の子はどこのお嬢さん?」
「「えっ!?」」
「そんなに驚かないでよ。チェギョンの友達が教えてくれたんだ。で、そこの彼女なんだけど、俺が見ても令嬢には思えないんだけど・・・」
「お、お前、一体、何者なんだ?」
「俺?通称ソン。基本、人でないモノ相手の仕事を生業としてる。浄化が専門だけど、やろうと思えば祟ることもできるよ。それでも良いなら、偉いお父様に言いなよ。俺から2人の父親に話通しても良いけどさ」
「オッパ、それって脅迫だから・・・ゴメンね。でも親の立場を利用して、脅すようなことは止めた方が良いよ。いつか痛いしっぺ返しに遭うからね」
「・・・で、彼女の親って誰なの?さっきから気になるんだけど・・・ジュンスの息子、その女の子誰?」
「えっ!?」
「ああ、チェギョンの友達のピー助が教えてくれたんだ。ピー助曰く、ス殿下の学友の中で一番賢明な子だったってさ。で、あの子、誰の娘?」
「あっ、はい。ミン製薬の令嬢でミン・ヒョリンです」
「ファン!!」

ヒョリンが悲痛な叫び声をあげ、チェギョンとソンは再び顔を見合わせた。

「あのヒョリンさん、ミン社長の右腕というか研究所のトップ、会ったことある?ユさんって言うんだけど・・・」
「・・・・・」
「だんまり?今から10年ほど前、俺とチェギョンはアパートの住人であるユさんに連れられて、ミン社長宅に行ったことがある。でも君はいなかったし、奥さんは子宝に恵まれないんだと悩んでた」
「「「!!!」」」
「俺らの訪問後すぐに奥さんは妊娠して、礼状が来たし、今もユさん経由で便りをもらうが、君の事は一切書かれていない。ミン家のご令嬢は、小学生のソヨンちゃん只一人。俺らはそう認識している」
「ミン家の庭の片隅に小さな祠があるよね?あの祠の管理を任されているのが私の家で、オッパはミン家に何度もお邪魔してるんだ」
「で、自称ミン製薬のお嬢さん、あんた誰?」
「・・・・・」
「・・・ミン・ヒョリンさん、人を守る為の嘘なら仕方ない場合もあるけど、自分の為の嘘は吐いちゃ駄目だよ。そんな嘘は、心が醜く穢れていくんだって。ハラボジが言ってた」
「///・・・・・」

ヒョリンはチェギョンをキッと睨むと、踵を返して走り去ってしまった。

「あ~あ、皇太子に相応しいお嬢さんが走って行ったけど、そこの2人はどうする?これは忠告だけど、負の感情を持っちゃダメだ。負の感情は、悪いものを引き寄せてしまう。すでに君たちは、かなり毒されてる。このままじゃ、家族から死人が出るよ」
「だからオッパ、脅したらダメだってば・・・」
「クスクス、さっき走り去った自称お嬢様にも教えてあげて。行きな」

インとギョンは、何度も振り返りながら去って行った。

「ふぅ、チェギョン、何で今まであんなの放置してたんだ?あれじゃ、校舎内も空気悪かった筈だよ」
「だから校舎が違うから知らなかったのよ。でもあの女の人、ちょっとマズイよね?」
「マズイというよりヤバいね。一応、ユさんに連絡入れてみる。ミン社長の関係者なら放ってはおけないからね」
「うん、お願い。それより頼んだもの、ちょうだい」

ソンがチェギョンに小さな紙袋を渡すと、チェギョンは中身を確認した。

「えっ!?お酒ってマッコリだったの?で、このタッパの中身はフエ(エイの刺身)?!ヨンちゃん、生臭さすぎ。おいで」

チェギョンが少し離れた所でしゃがんで、器にマッコリを注ぎ、タッパの蓋を空けたのをファンは、不思議そうに見ていた。
連絡し終わったソンは、その光景を見てクスクスと笑った。

「クスクス、殿下は見えるみたいだね」
「はい、先程初めて姿を見ました。彼女は小さい頃から彼らを知っているのですか?」
「先帝がいつも連れて遊びに来てたからね。その頃からの友達らしいよ。師匠は、戦友だって言ってたよ。先帝を守る為に彼らは戦地にも付いて行ってたみたいだね。白くん、そうなんだろ?」
『ああ。付いて行ったが、当たり前だが戦地は気が良くない。チェヨンは己の霊力を我らに分けてくれ、一緒にソンジョを守ってくれた。本当にいい奴だ』
「そうだったのですか・・・何も知らず申し訳ありませんでした」
「あのシン、一体誰と話しているの?」
「クスクス、君は分からないよね。知りたいなら、殿下にアパートに連れてきてもらったら良いよ」
「えっ、僕ですか?住所、分からないですけど・・・」
「皇后さまは知ってるんじゃない?さっき言ってたユさんって、皇后さまの親戚だよ。皇太后さまも知ってるかもね。師匠、宮に出入りしてたし・・・」
「えっ・・・」
「それにね、もう少しチェギョンに預けた方が良い。君の周り、本当に良くない気ばかりだね。あそこにいる翊衛士2人、見てごらんよ」

ソンが指差したシンの護衛を見ると、全身に靄が掛っていて、シンは絶句した。
そしてソンの依頼を受けて、シンは2人を自分の傍に呼び、ソンはチェギョンを連れてきた。
チェギョンの頭や肩に三獣神が乗っているのが、シンには見えた。

「呼んでゴメンね。僕は胡散臭いだろうけど、普段人には見えないモノの声を聞く仕事をしているんだけど」
「「は?」」
「クスッ、突然言われても驚くよね。でもチェギョンの肩に赤い鳥がいるんだけど、君を睨んでるんだ。」
「あ、あのね、私には意味が全く分からないから、そのまま伝えます。『異国に渡った元翊衛士とは縁を切れ。例え元同僚であろうが今は一般人。悪気はなくともシンゴンペンを胸にしている限り、宮の事を話すとは言語道断。そやつは、ソンジョの死んだ息子の女と繋がっておる。おそらくお前から情報を取り、皇位奪還を狙っておるのだろう』だそうです」
「「「!!!」」」
「クスッ、急に言われても信じられないよね?男性皇族の守護神は知ってる?宮の屋根の上に乗っているヤツね」

ソンはそう言うと、印を結びだし、その翊衛士の眉間に念を送った。
その瞬間、シンは驚いて尻もちをつき、翊衛士はガタガタと震え土下座しだした。

「何で白くんまで大きくなってるのかなぁ?殿下、本当はもっと大きいからね。普段は、チェギョンの邪魔にならないようにミニマムサイズなんだ。君の龍が言うには、彼のような者はまだ宮に居る」
『玄は、ソ尚宮は黒だと言っておった。スの阿呆の存命中、東宮殿にいた女官を全て調べた方が良い。コンにさせろ。あやつの得意分野だ』
「俺付きのコン内官か?」
『そうだ。それからミンへの伝言だ。玄は、質より量だ。椀かコップにしてやれ』
「へ?椀かコップ?よく分からないが、そう伝える」
『・・・チェギョン、嫌な予感がする。荷物を取って来い。帰るぞ。祠を見に行こう』
「分かった。タイちゃん、ちょっと待ってて」

チェギョンが校舎の方に走って行くと、ソンは白虎に頷いた。

「実は、僕はキム・ヨンスさんの息子である貴方に会いに来たんです。ご両親から何か聞いていませんか、キム翊衛士?」
「えっ!?あの・・・」
「ご両親の住み込み先のことです。ここ最近、従業員が行方不明になったり、事故死していますね?」
「は、はい。父も不安に思っているようです」
「僕は、次はキム・ヨンスさんの番だと思っています。最近、ある人物と親密になるよう主に命令されたようです」
「は、はい。ウォンさんという酒飲み友達ができたと聞いています」
「昨夜、チンピラがうちのアパートにキム・ヨンスさん名義の借用書をもって、連帯保証人であるウォンさんに借金返済を求めてきました」
「「「!!!」」」
「勿論、すべて偽造です。その際、ここにいるピー助が怒って、借用書に向かって火を吹いちゃったんです。あと事務所にも・・・ニュース見ませんでした?」

シンとファンは、『未明に消費者金融会社から謎の失火。事務所全焼』というニュースを思い出した。

「一応、ピー助も神ですから怪我くらいで殺生はしません。だから事務所関係者は無事です。彼らは、間違いなく依頼主に怒りの矛先を向けます。ご両親を早く保護した方が良い」

今一つ理解できていないキム翊衛士に代わって、シンがソンに問いかけた。

「何か手筈は考えているのか?ないなら、宮で匿う」
「大丈夫です。キム君、今すぐご両親に連絡して、2人を邸の外に連れ出してください。アパートで匿います」
「えっ!?」
「ウォンさんが折角できた普通の酒飲み友達を失いたくないって泣くんですよ。苦肉の策です。お母さんはウォンさんの奥さんとキッチンで食事作り、お父さんは趣味の畑仕事や雑用をしていただきます。最初は、ひっくり返るほどビックリすると思いますが、3食賄い付き、24時間風呂に入れ、毎日宴会です。楽しいですよ。さぁ急いで、連絡してください」

キム翊衛士が携帯で連絡を取る間、シンは更なる疑問をぶつけた。

「ウォンさんという方も住人なんですか?」
「住人というか、チェギョンの父親です」
「えっ!?なぜチェギョンの父親が狙われるのですか?」
「キムさんの住み込み先は、チョン王族の家です。チョン王族には、殿下より一つ下のお嬢さんがいます。チェギョンは、先帝が亡くなるまで師匠に連れられ宮で白くん達と遊んでましたしね。先帝も溺愛してました。だから皇太子妃の父親の座を狙う王族には、危険人物に見えるのでしょう。要するに勝手にチェギョンを皇太子妃候補筆頭だと思っているんでしょうね。王族による嫌がらせは、以前から絶えません。だから先帝の守護神だった白くんが、チェギョンに付いています。ご理解いただけましたか?」
「・・・はい」
『シッ、チェギョンが戻ってきた。あの娘はマズイ。護符をチェギョンに渡してくれ』
「了解」
『孫よ、青はしばらく我らが預かる。今のままでは役立たずだからな』

「タイちゃん、お待たせ~♪オッパ、ヤバいと思ったら連絡するね」
「うん、分かった。これ、護符ね。清めた後、これ貼ってきて」
「は~い。じゃ行ってきま~す」

自転車に乗ったチェギョンを見送ると、ソンもキム翊衛士を自分の車に乗せて、裏門を出ていってしまった。

「シン?大丈夫?」
「あ?ああ・・・ファンこそ大丈夫か?」
「うん。何も見えないから想像でしかないけど・・・今までここに神様がいたってことだろ?」
「ああ。3匹というか3柱いたな。昨夜、夢枕に立たれて説教されたんだ。で、目が覚めたら、見えるようになってた。今朝から阿呆だとか愚か者めと怒鳴られてばかりだ」
「そっか・・・だからシンは、いつもと違ったんだな。それより彼、どうする?宮に報告した方が良いんじゃないの?」
「だよな。運転・・・無理そうだよな。宮に連絡するしかないか・・・」
「・・・僕のSPに運転させて宮に戻ろう。王族が関わっていると聞けば、知らぬふりはできない。王族の端くれとしてはね」
「ファン・・・」
「それにシン・チェギョンの家にも興味がある。行く時は連れていってほしい」
「メインはそっちだろ?分かった。今回の事件、お前を巻き込むぞ。付き合え」
「了解。じゃ連絡するね」

ファンがSPに連絡を入れた後、シンはファンと共に土下座して泣いている翊衛士を立たせ、正面玄関へと向かうのだった。




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