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シンとチェギョンの離婚騒動記 中編

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チェギョンを奪われた形になった男性は、唖然としながらシンとチェギョンを見つめた。

「クククッ、お前は相変わらずだなぁ。親父たちは?」
「一緒に連れて来たぜ。可愛いチェギョンが辛い目に遭ってるって聞いてどれだけ心配したか・・・やっぱり俺がって、普通思うだろ。でも何で殿下が俺から奪って、チェギョンを抱きしめるんだ?」
「よく聞け!チェギョンに辛い想いをさせてたのは、ジュヒョク、お前の妹だ」
「はぁ~~!?俺には、兄貴しかいねぇ!!ジェソク、お前も知ってるだろうが!!一体、誰だ?俺の妹を騙ってる奴はぁ?」
「ほれ、あそこにいるミン・ヒョリンって子」
「何だって~!!ヒョリン、これは一体どういった了見だ?この際だから聞くけど、休みがちなお前の母親に芸校に通わせるほどの給料は家では払っていない。寧ろ、入院費まで俺んちが出してるぐらいだ。誰の金で通ってるんだ?」
『!!!』
「・・・お兄様」
「お前、ふざけんなよ!何がお兄様だ!!家では、ジュヒョクさまって呼んでるだろうが!!ジェソク、こいつは俺んちの家政婦の娘。母親が具合悪くても母親の代わりに働こうともせず、毎日俺より遅くご帰宅だ。で、こいつが何だって?チェギョンを虐めてるってか?」
「ああ、殿下の恋人だって嘘を吐いて、チェギョンを庶民だ、貧乏人だと罵ってたらしい」
「・・・親父に連絡する。ヒョリン、今日中に家を出ていけ!」
「えっ、そんな・・・」
「何がそんなだ!ハァ、ガンヒョン、こんな大事になる前に俺に言ってくれよ」
「そんな事言われても・・・あれだけ偉そうにしてたら、本当にお嬢様だって思うじゃない。だからオッパの妹だと嘘吐いてるとは思わなかったのよ。あとの3人は有名だから、すぐに家で報告したわ」
「げっ、うちは無関係だ!ガンヒョン、絶対に家では話すなよ」
「フォフォフォ、ガンヒョンや、ちーっとばかし色付けして話してやれ!」
「ジジイ!!」
「お師匠様、先生!!」

ミン貿易の御曹司とハン講師の背後に立った老人に ガンヒョンは抱きついていった。
チェギョンも向かいたそうにしていたが、シンがギュッと抱きしめて行かせなかった。

「ジェソク、何なんだ、この人だかりは・・・私達は、ゆっくりと妃殿下と話がしたいんだがな」
「ああ、それが・・・校長室を借りたから、移動しよう。殿下、すいませんが、チェギョン妃をお貸しください」
「僕も同席します」
「・・・そうですか。では、そちらのご学友たちもご一緒にどうぞ」
「「「えっ!?」」」

ハン講師に声を掛けられ、イン達3人は驚いてしまった。

「気づかなかったの?周りの生徒達、動画撮ってたよ。多分、SNSにでもUPしてるんじゃない?その内、お偉いお父様たちから電話が来ると思うけど?」
「「「!!!」」」

顔面蒼白になったインたちを呆れた表情で見ていたシンだが、スマホから着信音がなると、顔色が変わった。
神妙な顔で通話していたシンだが、通話し終わるとハン・ソクジン達に頭を下げた。

「陛下からでした。もうすでに今の騒動は世間に流れているようです。申し訳ありませんが、校長室ではなく宮で話し合いをしてください。陛下も立ち会いたいそうです」
「それは、構わぬが・・・そちらのボン達もかな?」
「はい。陛下は、4人の親を宮に呼び出すので、必ず連れてこいとご立腹でした。お前達、覚悟しとけよ」
「「「シン・・・」」」
「ミン・ジュヒョクさん、すいませんがご同行いただけますか?」
「いいですよ。その前に親父に連絡だけはさせてください」
「どうぞ。それからイ・ガンヒョンさんですね?妃宮から常々話は聞いています。申し訳ないが、君も関係者として一緒に来てくれないか?」
「それは良いけど・・・授業は?」
「サボってくれ!マスコミが詰めかける前に学校を脱出したいんだ」
「えっ、分かったわ。チェギョン、鞄取りに戻るわよ」

チェギョンとガンヒョンが教室に戻っていくと、シンは翊衛士にすぐに来るように連絡した。
ものの数分でやってきた翊衛士たちにシンは、イン達に同行し帰る用意をしてきてほしいと頼み、特に逃亡の恐れのあるヒョリンに関しては、怪しい行動をすれば拘束してもいいと命じた。

「殿下、改めまして臨時講師のハン・ジェソクです。父が開いている絵画教室に妃殿下が通うようになって知り合いました。ガンヒョンも同じです」
「イ・シンです。妃宮がお世話になったようでありがとうございました。先程の話ですが、妃宮がそれ程絵が上手とは知らず驚きました」
「・・・婚姻前に妃殿下の身上調査書はなかったのですか?ご覧になれば、必ず載っていたと思いますが・・・」
「調べるのは簡単ですが、知らないなら聞けば良いと思っていたので・・・でも妃宮は自慢するような子ではないので、きっと今回の事がなければ僕は知らないままだったかもしれませんね」
「クスッ、殿下は妃殿下の事をよくご存じのようだ。では妃殿下の家族やガンヒョンの家のこともご存じないのではないですか?」
「はい、府院君さま達はお会いして人柄は存じていますが、それ以外は・・・とても穏やかで楽しいお義父さまとしっかり者のお義母さまという印象でした。ガンヒョンさんも妃宮からとても頼りがいがあって優しい人だと聞いていて、良い友人がいるんだなと思っていました」
「ジェソク、殿下はガンヒョンが言うほど悪い人ではないようだな。殿下、ガンヒョンはイコンツェルンの令嬢ですよ。ミン貿易は、イコンツェルンの傘下です。それにイコンツェルンの社長秘書は妃殿下の母親で、蔭の会長とまで言われている程敏腕秘書なんですよ」
「えっ、では、なぜ借金を・・・」
「それが不思議なんですよ。チェウォンが経営していた料亭も順調でしたし・・・どんなトラブルに巻き込まれたのかと皆が首を傾げたものです」
「殿下、俺も失礼して早退届を出してきます」
「ジェソク、退職届でも良いぞ。今日一日で解決しそうだしな」
「ハラボジ、幾らなんでもそれは悪いって・・・もう少し続けるよ」

シンは、講師がチェギョンの為に赴任してきたことを知った。


コン内官が手配したワゴン車にイン達御曹司3人とヒョリンを乗せ、2台の公用車とミン・ジュヒョクが乗って来た車の計4台で、宮へと戻った。
景福宮の正面玄関に降りたったガンヒョンは、出迎えた職員に質問した。

「すいません、殿下と妃殿下が乗った車はどこに行ったのですか?」
「皇太子ご夫妻は、景福宮の中にある東宮殿にお住まいですので、お着替えの為に一旦戻られました。では皆さま、陛下がお待ちです。ご案内いたします」

職員の案内で通された部屋には、陛下だけでなく皇太后や皇后までおり、また対面する形で各自の両親が揃っていた。
そして職員が指定した椅子に座ると、最初の口火は老画家が切った。

「流石、宮はする事が早いのぉ・・・」
「ハン・ソクジン画伯、春の園遊会以来ですね。先日は公務でお会いできず、申し訳なかったですね」
「いやいや、皇太后さまとはお話しできましたので・・・しかし今回の事は、宮の不手際ではありませんか?」
「言い訳ですが、宮で太子と妃宮は我々が危惧する必要がないほど仲睦まじい様子でしたので、まさか学校で妃宮が辛い想いをしているとは露にも思っておりませんでした。本当に妃宮には可哀想な事をしたと思っています」
「本当に腹立たしい。そもそも妃宮の実家の窮状を知った太子が、婚姻を早めてほしいと直訴してきたのですよ」
「「「えっ!?」」」

イン達は信じられないという風に驚きの声を上げたが、ヒョリンだけは悔しそうに唇を噛んでいた。

「ほぉ、全く反省していない輩がおるようだ。我々は見たが、巷に流れている動画をここで一緒に見ようではないか。キム内官」
「御意」

大型のプロジェクターが用意され、生徒が撮ったであろう玄関前での騒動が流れ始めた。
流れ出した途端、御曹司3人とその父親は顔色を失っていった。

「これを見て、父親としてご自分の息子たちの所業をどう思う?」
「大変申し訳なく・・・居た堪れない想いでございます」
「陛下、妃殿下の親友でイ・ガンヒョンと申します。そちらのお父様方に少しお話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「構わぬ、申せ」
「ありがとうございます。4人は殿下が公務で休みの日は必ず美術科の教室に妃殿下を罵倒しに来ていました。私が庇うと、『泥棒猫を庇うなら、お前の父親も一緒にこの国にいられなくしてやるぞ』と脅されましたので、父に報告しましたら、『できるものならどうぞ』と言っておりました」
「クククッ、ガンウクを敵に回したか・・・」
「「「えっ!?」」」
「我が国からイコンツェルンを撤退させられぬ。それに私も大事な友人を失う事になる。悪いが、それは止めてもらえぬか?因みにガンウクの片腕である敏腕秘書は、妃宮の母君だ。故にシン家にも手を出さないでくれると有り難い」
「「「申し訳ありません!!」」」

父親たちは、息子の頭を押さえつけて一緒に頭を下げ続けた。
その時、シンとチェギョンが謁見の間に入室して来て、2人は目の前の光景に固まってしまった。
その中で一人我関せずの様子でいたヒョリンに 陛下は怒鳴った。

「ミン・ヒョリン!そなたの嘘の所為で、大の大人が頭を下げているというのに・・・その態度は何だ!!」
「・・・ごめんなさい」
「ごめんなさいだと!?ハァ、聞いた私がバカだったようだ。戯言を信じた愚か者たちに聞くことにしよう。なぜ太子に確認することなく、あの女生徒を信じたのだ?」
「チャン・ギョン、答えろ!」
「シン・・・殿下とヒョリンの噂が流れだした時、ヒョリンに真相を聞いたら『誰にも内緒よ』って笑ったので信じました。実際、殿下の傍にはヒョリンしかいなかったし、結婚後も2人の関係は変わらなかったので・・・殿下は無理やり結婚させられて可哀想だと泣くヒョリンが不憫で、妃殿下にあんなことを・・・本当にすいませんでした」
「・・・あり得ない。学校でも言ったが、ミン・ヒョリンはインが連れてきた子だ。やけに馴れ馴れしい子だとは思ったが、友人の交友関係に口出しするのは傲慢だと思ったから黙認していただけだ。それに初めから友人としか思っていないのに関係が変わるわけがない。でも今は、迂闊だったと反省している。照れずにもっとチェギョンの話をお前たちにするべきだった」
「シン・・・本当にゴメン。一つだけ聞いていい?」
「何だ、ファン?」
「ヒョリンを抱いた事は?」
「ハァ!?あるわけないだろ!!」
「「え~~!」」
「えっ、ひょっとして偶にヒョリンが付けていたキスマーク、俺が付けてたと思ってたのか?」

インとギョンは、無言で何度も首を縦に振った。

「ミン・ヒョリンとやらは、頭がおかしいのか?聞いていて頭が痛くなってきたわ。ヒョン、私は先に慈恵殿に戻ることにしよう。皇后、妃宮、それからガンヒョンさん、女子会を催すぞ。妃宮に聞いて一度してみたかったのじゃ」
「クスクス、皇太后さま、お供いたします。ガンヒョン、行こう♪」

女性皇族とガンヒョンが部屋を出ていくと、皆の視線がヒョリンに集まった。

「ヒョリン、大概にしろよ!大それた嘘を吐いて、お前は何がしたかったんだ?私生児のお前が、皇太子妃になれると本当に思っていたのか?」
「・・・ジュヒョクさま、あの女より私の方がシンには相応しいと言ってくださる方がいらっしゃるんです。だから・・・」
「ハァ?そんなの嘘に決まってるだろうが!揶揄われたのを信じたのか?どれだけ愚かなんだよ」
「だって、皇族は嘘を吐かないって・・・」
「なら嘘吐きのお前は、皇族にはなれないだろうが!!」

激昂していたジュヒョクは気づかなかったが、他の人間はヒョリンの発言に注目した。

「先帝がお決めになった妃宮を蔑む皇族は、処分しなければならぬ。ミン・ヒョリン、お前を唆した皇族は誰だ?」
「えっ!?」
「そもそも太子の我が儘で妃宮は許嫁になったのだ。先帝の遺志を無視するような発言許しておけぬ。誰だ!?」
『陛下~、イ・ガンウク氏、ミン・ジファン氏がお越しです』
「通せ!」

先触れがされ、イコンツェルンの総帥とミン貿易の社長が部屋に入って来た。

「遅れてすまない。色々調べてたら、遅くなった」
「構わない。それよりお前にも迷惑を掛けたな、ガンウク」
「娘の親友の一大事でもあり、信頼する秘書殿が退職してもらっても困るしな。ヒョン、この女生徒を見て、嫌な女を思い出さないか?」
「まさか・・・」
「ああ。この娘が通っているバレエ教室の講師は後輩で、今も連絡を取り合っているようだ。この娘のスマホの通信履歴を調べたら、本人の名前があった。因みにカン社長、この娘のスマホの名義は貴方のご子息でした」
「えっ!?」
「もうお二方の社長もご子息の金銭の流れを確認した方が良い。殿下やご子息たちと同じ乗馬クラブの会員になっていましたよ。家政婦の母親に乗馬クラブにまで通わせる甲斐性はないんじゃないかな?僕は、正直芸校も怪しいと思ってますがね」

イコンツェルンの総帥に指摘され、三社の社長はデキの悪い息子を信じられない想いで見つめた。

「・・・ミン・ヒョリン、そなたを唆したのはソ・ファヨンか?」
「は、はい。先の皇太子妃であるファヨン妃です」
「「「!!!」」」

陛下は、コン内官と顔を見合わせると深い溜め息を吐き、重い口を開いた。

「すまぬが、今から話すことは生涯口外禁止で頼む。事実を知っているのは、皇族と王族、そして一部の宮職員のみ。本人も知らない事だ。噂が流れた時点で、誰が流したか調べ国外追放になると思ってくれていい」

陛下が何を話し始めるのか分からない者達は、生唾をゴクリと飲み下した。




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