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Channel: ゆうちゃんの日記
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選択 第26話

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一夜明けた宮では、王族たちの処分と今後の宮に付いて話し合われていた。
昨日の警視総監の謝罪会見を受けて、急遽宮も最長老がコメントを出したが、今までの王族への不満も爆発して宮のHPは非難の嵐だった。
当然、報道陣も押しかけており、宮はその対応も余儀なくされた。
 
「コン内官、報告を頼む」
「はい。拘束しました王族たちは、余罪を追及する為宮内警察で取り調べを行っております。今朝、王族たちが関わっていた企業に検察の査察が入りました。またその家族も公安の力を借り、証拠隠滅阻止の為監視しております」
「・・・他は?」
「王族だと吹聴していた子ども達は宮内警察が拘束し、即日少年院に送致しました。彼らには矯正プログラムを受けさせ、事の善悪が分かるよう指導していくとのことです。あの・・・記者クラブの記者たちが、宮の正式コメントが出るのを待っております。どういたしましょうか?」
「・・・どこまで話せばいいのか・・・正直、悩んでいる。最長老、あなたはどう思われる?」
「王族関連の企業に大掛かりな捜査が入ったとなれば、マスコミを抑えることは無理でしょう。抑えれば、却って反発を招き、宮廃止が叫ばれるでしょう。事実を話すしかないでしょうな」
「兄上さま、ではファヨンの悪事も白日の下に晒すおつもりですか?ユルには、何も罪はないのですよ」
「皇太后さま・・・義誠君さまはお可哀想ですが、ソ・ファヨンを野放しにはしておけません」
「「・・・・・」」
 
皇太后の長男スの息子ユルの処遇で問題が行き詰っていると、最長老の携帯が突然鳴りだした。
最長老は着信者を確認すると、慌てて通話ボタンを押した。
 
「ソギョンか?一昨日は、色々と世話になった。礼を言う」
『礼?やはり王族は、どこかがずれておるな。礼ではなく謝罪だと儂は思うがな。ここまで王族会が腐敗した原因は、お前さんにもある筈だ』
「ソ、ソギョン・・・」
『お前さんと話すことはない。今後の宮について陛下と話がしたい。今、景福宮前にいる。会わせてくれ』
「ソギョン、一体、何を言うつもりだ?」
『・・・陛下に先帝と交流のあった同志を代表して、儂とイ・ギチョルが来たと伝えてくれ。会わなければ、後悔する事になると言ってくれてもいい』
「わ、分かった。今、門前にいる翊衛士に連絡する。そのままそこで待っていてくれ」
 
最長老は通話をオフにすると、コン内官に2人を正殿居間まで案内してくるように指示を出した。
しばらくすると、ユン・ソギョンとイ・ギチョルが正殿居間に現れた。
陛下は立ち上がり、2人を歓迎し、感謝の意を示した。
 
「ユン元大統領、イ・ギチョル会長、先日は色々と便宜を図っていただきありがとうございました」
「陛下、申し訳ないが、我々が便宜を図るのはこれからだと思います」
「えっ!?」
「単刀直入に聞きます。陛下は、宮をどうされるおつもりですか?」
「どうされるとは?」
「李王朝をあなたの代で終わらせるおつもりですかと聞いています」
「!!!それはあり得ない。私たちは、後世に伝統を引き継ぐ義務がある」
「・・・ここに ある計画書があります。一度、目を通してください」
 
ソギョンが提出した書類に目を通しだした陛下は、ワナワナと震えだし怒りを露わにした。
 
「これは、どういう意味だ?」
「陛下・・・中身の伴わない形だけを残しても意味がないのではないでしょうか?その証拠に公務が激減していませんか?はっきり言って、国民は宮に何も期待していない」
「「「!!!」」」
「その提案書は、チェギョンを中心に私たちが発掘してきた優秀な子どもたちが考えたものです。李王朝を終わらせることによって、歳出が大幅にカットできます。そして宮を観光スポットにし広く海外にアピールすれば、外貨も稼げる。一石二鳥だと思いますが?」
「・・・皇族には公式行事が多々ある。それすらも廃止にせよと言うのか?」
「クククッ・・・五穀豊穣祈願、新嘗祭、あと蚕の何とか・・・宮に変わって、すべてチェギョン率いるシン宗家が取り仕切っているのに今更公式行事とは・・・聞いて呆れる」
「「・・・・」」
「ん?イ・ギチョル会長、今、シン宗家と仰いましたね?チェヨンさんは、シン宗家の方だったのですか?」
「はい、皇太后さま。チェヨン亡きあと、チェギョンが当主として立派に宗家を率いております。因みに宮が公式行事で依頼している楽師たちは、シン宗家のお抱え楽師なのをご存知ですかな?」
「「「えっ!?」」」
「今の宮があるのは、すべてシン宗家のお蔭だと思った方がよろしいのでは?」
「・・・シン宗家が長老職に就けば、宮を乗っ取るのではとあらぬ疑いを掛けられる恐れがある。だから先帝の長老就任の申し出をチェヨンは固辞し続けたのです」
「「「・・・・・」」」
「陛下、皇太后さま、話を戻しますよ。宮を存続させたいのなら、このまま沈黙を続けるのは得策ではありません。公表できるものは公表し、国民に対して謝罪すべきです。それから処罰ですが、国際外交に支障をきたすので国外追放はなさらないでください。それとソ・ファヨンについてです。彼女に関することは、すべてこちらで処理します」
「・・・どういう事ですか?」
「ユルさまを守るためです。孝烈殿下の最後の言葉は、『ユルを頼む』でした。その遺志をハギュンは孤独に耐えながら必死に守っています。彼の苦労を踏みにじるようなことは止めていただきたい」
「では、どうされるおつもりですか?」
「ハギュンとソングループ会長のソン・スンホを渡英させ、ソ・ファヨンに引導を渡してもらいます。そしてユルさまは寄宿舎に入っていただき、今以上の学力を付けていただいてから帰国させます。宮がユルさまを受け入れられないなら、チェギョンの右腕として我々が育てます」
「あのチェギョンの右腕とは、一体・・・?」
「チェギョン率いるSCグループは、利益の大半を経営している施設や契約農家及び漁業関係者へ還元して、困っている国民に手を差しのべている非営利目的の慈善団体です。皇族が活動していても非難されることはない筈です」
「ユン殿、ユルはスの大事な忘れ形見です。絶対に見放すことはしません」
「皇太后さまのご意志は理解しました。陛下、あなたもそうお思いですか?」
「も、勿論だ。行く行くは呼び戻し、太子と宮を盛り立ててもらうつもりだった(汗)」
「・・・そのお言葉、信じることにしましょう。では、ソ・ファヨンに関わった政界、財界の者たちは、こちらで処分することにします。。。イ・ソンジェよ、一つ聞こう。私利私欲にまみれた王族会は必要か?」
「・・・全員ではない」
「だが、同志の愚行を知っていても誰も苦言を呈することはなかった。儂たちから言わせれば、同罪だな。序でにもう一つ言わせてもらうが、全てを知っていて何の策も弄さず、チェギョンに丸投げしたお前が一番最悪だ。これ以上、付き合いきれん」
「ソギョン・・・」
「ユン殿、イ殿、すべて私が不甲斐無いのが原因です。ですが、これ以上、宮に傷をつける事はできません。終焉を迎えるなんてあってはならない事です。そこであなた方を見込んで、お願いがあります。上手く事を収める知恵を拝借したい」
「「「!!!」」」
 
陛下の必死さが分かり、ソギョンとギチョルは息を呑んだ。
 
「ユン殿、イ殿、私からもお願いします。宮を再生させ、堂々と国民の前に立てるチャンスを与えてくれませんか?」
「・・・皇后さま。私は事業家で、ソギョンは元政治家の医師でしかありません。正直、情報操作はできても伝統・歴史を守る術は管轄外です。ソギョン、スンホに連絡してチェギョンを呼び戻すよう頼んでやれ」
「儂がか?」
「宮を立て直すなら、チェギョンほど適任はおらぬ。違うか?」
「この週末は大法要で、扶余に戻ったはず。それを呼び戻せと?」
「事態は急を要する。チェギョンは皇后さまの為にひと肌脱いだ。これで潰してしまったらあの子は苦しむ。仕方がなかろう」
「・・・分かった。だが、ハギュンの説得はお前がしろ」
 
ソギョンは、溜め息を吐くと携帯を取りだした。
居間にいる皇族たちは、事の成り行きを息をひそめて見守るしかなかった。
何本かの電話の後、ソギョンはフゥ~と大きく息を吐いた。
 
「チェギョンは、シン宗家の本邸に戻っているそうです。皇后さま、殿下とユ・ジテ殿がチェギョンと行動を共にしていることをご存知でしたね?」
「えっ!?シンは知っておりましたが、兄上も一緒だったのですか?」
「はい、チェギョンが誘ったようです。ユ教授は書庫に籠っているようですが、チェギョンと殿下は山菜採りのため山に行ったそうです。戻り次第、ソウルに戻ってくるよう伝言を頼みました。私ができるのは、ここまでです。あとはチェギョン次第でしょう」
「お手数をおかけしました。。。つかぬことをお伺いしますが、チェギョンが適任と仰いましたが、何を根拠にそう仰るのでしょうか?」
「・・・シン宗家は、李王朝より古い歴史のある家柄です」
「「「えっ!?」」」
「扶余宮を再建はシン宗家の悲願で、再建後は管理もシン宗家がしています。もうお分かりになりましたかな?」
「「「あっ!!!」」」
「ギチョル、無駄話は止せ。いい加減にしないと、お前のその口を縫うぞ」
「クククッ、すまん。我らの姫を独占しない様、ちと釘を刺しただけじゃ。あの子は国の宝だからの。用は済んだようだし、帰るとするか。では、陛下、皇太后さま、皇后さま、失礼いたします」
 
ユン・ソギョンとイ・ギチョルが帰っていくと、正殿は重苦しい空気に包まれた。
 
(昨日の会話を思い起こせば・・・そうか、あの子は百済王朝の末裔ということか・・・たった13の小娘の方が私よりしっかりしているとは・・・ハァ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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