中間テストの結果が、掲示板に張り出された。
シンは480点の3位で、満点を取ったイ・ガンヒョンとシン・チェギョンが同点一位だった。
「ひぇ~、シンもだけど、あの二人凄すぎ!」
「俺は英才教育、5歳から受けてたからな。ファンだって、10位に入ってる。大したもんだと思うけど?」
「僕だって、それなりに受けてた筈なんだけど・・・結局、どっちが幼馴染か分からなかったね」
「まぁな・・・二人ともどんな子なんだろうな?ファン、今度見かけたら教えてほしい」
「クスクス、シンも見たことあると思うよ。昼休みにいつも中庭で喋ってる元気な4人組がいるよね。その中の2人だよ」
「えっ!?あっ・・・あの元気娘4人組のことか?」
「クスクス、そう!眼鏡をかけた子がイ・ガンヒョンで、髪を丸めて鉛筆や絵筆で留めてる子がシン・チェギョン」
シンは、イメージしていた子と違ったので、驚いてしまった。
(国母に相応しいと言うから、もっと物静かなタイプだと思ってた。でも一体、どっちなんだろう?どっちも個性的だよな・・・)
「おい、シン、ファン、何コソコソ話してんだ?」
「お前たちか・・・別に大したことは話してない」
「それより、シン、新入生代表で挨拶したことだけはあるよな。あのテストで、480点って・・・凄すぎ」
「上には上がいるさ。俺の事よりギョン、お前はどうだったんだ?インは名前あったけど、お前の名前無かったぞ」
「入学できただけでも奇跡なのに・・・30位以内なんて、夢のまた夢だって・・・」
「そうか・・・折角、クラスメートになれたのに今年限りだな」
「えっ!?」
「ギョン、知らないの?ここ、2年から成績順でクラス分けになるんだよ。頑張らないと、チャングループの後継者はバカだって噂流れるよ。クスクス・・・」
「嘘っ・・・マジ?!イン、俺、どうしよ?」
「俺に聞くなって!俺だって、ギリギリラインなんだから・・・ヒョリン、お前はどうだった?」
「わ、私?私は・・・そこそこってとこかしら。でも女があまり勉強できても仕方ないと思わない?ガリ勉タイプの女性って、魅力ないと思うけど?」
「それもそうだな・・・」
「クスクス、ヒョリン、負け犬の遠吠えみたい。この同点一位の二人って、全然ガリ勉タイプじゃないよ」
「///・・・・」
「ファン、言い過ぎだ」
「イン、ゴメン。でも折角入学できたのにさぁ、努力しないとこの学校に来た意味がないと思うけど?」
ファンの言う事は、正論だとシンも思った。
「ギョン、ここの生徒たちの大半は、将来その分野で活躍できるよう留学を目指している。できれば、国費留学したいんだと思う。だから、皆、向上心が高いんだ。親に恥をかかせたくなかったら、死に物狂いで勉強するんだな」
「庶民はホント苦労が好きだよな・・・お付き合いしたくねぇ~」
「ギョン!!」
「シン、話しても無駄。余計に腹立つだけだって!相手にするな」
「ファン・・・」
「シン、私には頑張れって言ってくれないの?」
「・・・クスクス、ヒョリン、E組にならないよう頑張って♪知ってる?2-E、3ーEは、別名舞踊科クラスって言うんだって♪」
「ファン!!」
「クククッ・・・そういう事だ。ファン、教室に戻ろう」
シンとファンが立ち去った後、イン達も場所を移動したが、多くの生徒たちがギョンの『庶民は苦労好き』発言を聞いていたことにシン達は気づいてなかった。
それから数日経ったある日、シンとファンは課題の被写体を探すため、カメラを持って教室を出た。
「シン、美術コースは写生みたいだ。彼女たち、探してみない?」
「うん。。。でもどう話しかけるんだ?」
「シン・・・女性と話したことないだろ?今、手にしてるものは何?」
「ん?手にしてるもの?・・・カメラ?」
「そ、カメラ!話しかけるきっかけぐらいにはなるんじゃない?今回の課題のモデル、頼みなよ」
「///あっ・・・うん・・・」
「クスクス、ホント大丈夫?とりあえず、探しに行こ♪」
美術コースの生徒たちが花壇に向かって写生しているが、その中にお目当ての二人はおらず、シンとファンは首を傾げた。
校内を散策しながら、二人を探していると、巨木の下でボーっとしているシン・チェギョンを見つけた。
シンとファンがチェギョンに話しかけようと巨木に向かって歩き出した時、突然現れたイ・ガンヒョンに呼び止められた。
「ちょっとあなた達、何をしようとしているわけ?」
「えっ!?あっ、ゴメン。彼女にお願いがあって話しかけようとしたんだけど・・・丁度、絵も描いてないようだし、大丈夫だよね?」
「あの子、ああ見えて、今、凄く集中してるの。ダメね。それにお願い?知らない人のお願いを聞くほど、あの子は暇じゃないの」
「知らないって・・・シンは、皇太子殿下だよ?!」
「知ってるわ。だから?ひょっとしてお願いと言いつつ、実は皇太子の命令じゃないでしょうね?」
「それは、違う。イ・シンとして、彼女と君の二人と話がしたかったし、お願いしたいと思ってる」
「・・・信じられない。苦労好きな庶民とは付き合いたくないんじゃなかったの?あなた方の言う庶民の基準がいまいち分からないけれど、あなた方のお願いを聞いて、周りからバカなお坊ちゃま達と同じと思われたくないの」
ガンヒョンの言葉を聞いて、掲示板の前での会話を思い出したシンとファンは、慌てた。
「それは、僕たちが言ったんじゃない!シンは、ギョンをその場で窘めてた」
「知ってるわ。でもその後も行動を共にしてるわよね?生徒たちは、皆、何も言わないだけであなた達に反感を持ってるわ」
「・・・・・」
「・・・彼女もそう思ってるのか?」
「彼女?チェギョン?あの子は何も知らない。多分、この学校にあなたがいることも知らないかも・・・」
「うそ・・・」
「ガンヒョ~ン、イメージ沸かない。どうしよう・・・」
「・・・チェギョン、あんた、イメージ沸かないって一体どうするつもりよ?!」
「ハァ・・・まだ時間はあるから、何とかなるでしょ。ところで、そちらのお二人は誰?」
「さぁ?私も今、出会ったばかりだから、よく知らないわ。チェギョン、ヒスン達が暇そうにしてたわよ。行って来たら?」
「うん、そうするね」
シンとファンは、全く自分たちに見向きもしなかったチェギョンを唖然としながら後ろ姿を見送った。
そんな二人をガンヒョンは、ジッと見つめていた。
「クスッ、言った通り、殿下の顔も知らなかったでしょ?殿下・・・もう私たちに関わらないでもらえます?お互いの為にもその方が良いと思うから・・・」
「・・・なぜだ?やっぱり君じゃなく彼女が俺の・・・」
「殿下!もう終わった話でしょ」
「始まってもいないのに終わらせて堪るか!やっと思い出したんだ。。。」
「そう・・・で、どうしたいわけ?あなたの我が儘で、友達ができたって喜んでいるあの子の翼をまた折るつもり?私は10年で十分だと思うけど?」
「・・・なぜ、それを知っている?イ・ガンヒョン、お前は何者なんだ?」
「チェギョンの幼馴染よ。だから、あの子の苦労をずっと見てきたわ。分かったら、あの子から手を引いてちょうだい。じゃあ、私もこれで失礼するわ」
ファンは、聞きたいことが山のようにあったが、シンの辛そうな顔を見ると聞くことができなかった。
(シン、一体、シン・チェギョンとどういう関係なの?ただの幼馴染じゃないよね?それにあのイ・ガンヒョンのオーラ・・・ただ者じゃないよね)