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Channel: ゆうちゃんの日記
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改訂版 開眼 第27話

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週明けの月曜日、登校したシンは、久しぶりにファン、イン、ギョンの3人に出迎えられた。

「・・・・・」
「シン、おはよう。話があるんだけど、ちょっと良いかなぁ?」
「・・・俺もアジョシから伝言頼まれてる。だが、昼休みにしてくれ。場所は、俺の部屋だ」
「分かった。イン、ギョン、そういう事だから教室に行くね。シン、待ってよ」

ファンがシンの後を追いかけていくと、インとギョンは教室ではなく屋上へと向かった。
そしてインは、ファンと一緒に聞いたチェジュンの言葉を包み隠さずギョンに伝えた。
聞いたギョンは、自分の置かれている状況が想像以上に厳しいと知り、顔色を変えた。

「そう凹むな。俺も似たようなもんだ。俺の場合は、親子共々会社から放り出される。それも2つ年下の奴にだ」
「あの始業式の日にいた奴だろ?アイツ、そんなに凄いのか?」
「ああ・・・俺らとは、次元が違う。ファンに聞いたが、もう高校3年間のカリキュラムはすでに終了してるらしい。傘下の会社の内情も把握し、会長の補佐もしてる。正直、俺らは足元にも及ばない」
「・・・そんなヤツがいたんだ。親父、シン会長に会って凄く落ち込んでた。今までの自分が恥ずかしいってさ」
「うん。何か独特のオーラがあった。口調は柔らかいんだけど、言う事は厳しいんだ。『俺、このままじゃ任せられないんだよね。潰すよ?』って感じ・・・」
「ファンも崖っぷちなのか?」
「ああ。放り出されはしないけど、見込みがなければ生涯平社員として扱き使うってさ」
「・・・それもキツイな。はぁ、俺ら、どうなるんだ?」



昼休み、ファンの案内で、インとギョンは、初めて皇族専用の部屋を訪れた。
部屋には、シンとユルが優雅にソファーに座って、3人を待ち構えていた。

「座れ!で、お前たちの話って何だ?」
「うん。あの僕たち3人、夏休みにシン家にお世話になることになったんだ」
「知ってる」
「えっ、あ、そうだよね。それでね、心構えっていうか、何を準備したらいいのか、経験しているシンに聞こうと思ったんだ」
「・・・俺の意見は、参考にならないと思う。チェジュンが春より過酷だと言ってたし・・・あと夜明け前からの作業らしいから、今から生活態度も改めた方が良いかもな」
「「「!!!」」」
「何、驚いてるんだ?あのアジョシの考えることだぞ?!普通なわけがないだろうが・・・俺があそこで学んだことは、『恐るべしシン家の教育方針』ってことだな」

イン、ギョン、ファンは、驚きすぎて言葉が出なかった。やっと出た言葉が・・・

「た、例えば?」
「建設現場に放り込まれて、1日中背負子を背負ってブロックを運ばされた。後は漁船に乗ったり、大根の収穫」
「・・・なぁ、辛くなかったか?」
「辛いに決まってるだろ。筋肉痛で全身湿布貼ってた。でも宮という狭い世界しか知らなかった俺には、どれも新鮮だったし、考えさせられた。だから、いろんな世界を教えてくれたアジョシには感謝してる」
「・・・僕も彼女たちに出会わなければ、ダメ人間のままだったよ。感謝してるもん」
「・・・アジョシからの伝言だ。動きやすく汚れても簡単に水洗いできる服を用意することだそうだ。アジョシがインのお父さんに頼んで持って来てもらった服は、全部労働には適さなかった」
「えっ!?」
「恰好じゃなく、機能性に長けた服を持って来いってことだ。俺の経験上、薄手の長袖のTシャツは用意した方が良い。畑仕事の時、虫に刺されるからな」

3人は、まさか畑仕事をさせられるとは思いもしなかった。

「それから、シン家には家政婦はいない。夏休みまでに自分の事は自分でできるようにマスターしておくようにだそうだ。俺も洗濯機の使い方を教えてもらってチェジュンと交代でしたし、夕飯の手伝いや食器洗いも俺の仕事だった。チェジュンは、忙しいからな」
「「「えっ・・・」」」
「クスクス、何、驚いてるの?あんた達、アジョシはそんなに甘くないよ。情に篤い人だけど、ここ一番では恐ろしいぐらい冷酷になれる人だよ。この間、大統領の前で『どれにしようかな~』って指さしながら、笑って会社を潰したんだって。ホント鬼だよね~」
「その位、平気だろ。宮のど真ん中で、陛下に向かって『先帝の爺さん』『てめぇのクソ親父』って言える人だ。神話とイルシムも笑いながら脅して、まんまと手中に収めたんだろうな」

ユルとシンは何気ない一コマのように話しているが、イン達3人には衝撃すぎた。
そのラスボスのような人物の本拠地で生活をするなんて、想像するだけで足が震えてきそうだった。

「ふふ、脅かし過ぎた?まぁ、僕たちも公務の間にするみたいだから、宜しくね」
「「「えっ!?」」」
「そうだ。チェジュンから、頼まれてたんだ。靴のサイズを聞いてきてくれってさ」
「クククッ・・・安全靴と長靴の支給だ。ギョンは、間違いなくゴム長も支給されるだろうな」
「それって、シンがやった仕事をやらされるってことか?」
「当然だろ?アジョシ曰く、基本メニューだそうだ。俺の父上もしてるし、神話のジュンピョヒョンは半年したそうだ」

皇帝陛下や神話の御曹司もしたと聞き、絶対に拒否できないと観念してしまった3人は、ユルに聞かれるまま靴のサイズを教えた。
用が済んだとばかりに立ちあがったシンとユルは、3人に退室を促すように無言で見つめた。
その視線に仕方なく立ち上がり部屋を出たイン・ギョン・ファンに シンは声を掛けた。

「俺からの警告だ。アイツの部屋には、絶対に近づくな。足を踏み入れた瞬間、お前たちの未来は俺が潰す」
「クククッ、シンが制裁を加える前に アジョシがするって。アジョシのチェギョンへの溺愛振りは、半端ないからね。それに口には出さないけど、チェジュンも絶対にシスコンだと思うよ。チェギョンを殴ったのどっちか知らないけど、相当の覚悟はしておいた方が良いよ。じゃあね」

シンとユルが教室へと戻っていくと、ギョンはその場に座り込んでしまった。

「ギョン、大丈夫か?」
「・・・大丈夫じゃないかも・・・俺、とんでもない相手に怪我させちまったんだな」
「ギョン、今さらだけど、相手じゃなくて誰にも暴力を振るっちゃいけないんだ。今回、チェギョンが被害者だから、チャングループは潰れなかったと僕は思ってる。随分前にチャングループの資料を見せてもらったんだ。表向きは、神話とイルシムがチャングループに手を差しのべたように見えるけど、実質はシン会長だった」
「えっ!?」
「ギョン、僕らもお前と一緒で崖っぷちだから大きな事は言えないけど、心を入れ替えて頑張ろう」
「ああ、これ以上、親父を失望させられねぇ。。。」

ギョンは、PTA総会から帰った両親の変化を思い出していた。
父親がシン会長の触発されたのは分かるが、母親の変化には疑問だった。

「なぁ・・・土曜、学校で何があったか知ってるか?親父は分かるが、お袋の様子も変なんだ。ずっと家にいるんだぜ」
「・・・言っていいのか分からねぇが、シン会長がギョンのお袋さんにやんわりと釘を刺したみたいだ。それも太っとい釘をな」
「釘?」
「多分、インのお母さんもお父さんから注意されていたと思うよ。僕んちもだったし・・・ギョンのお母さん、派手に遊んでるのを咎められたそうだ。シンコンツェルンはほとんどの事業を網羅してる。勿論、信販会社もある。だから、お母さんの行動は、会長には筒抜けだったみたいだよ」
「そういう事か・・・」
「それだけなら良かったんだけどね。シン家は、奥さんは保険の外交をして稼いだ給料で生活してるらしい。で、会長が事業の側ら、専業主夫として家計を切り盛りしてる」
「う、嘘だろ!?」
「本当だよ。どう?自分ちの親と比べて全然違うでしょ。これ聞いても変わらないなら、チャン家はもう終わりだと思うよ」
「・・・・・」

シン家の在り方は、今までギョンが思っていた家族の在り方を全否定しているた。
ギョンにとって、シン家は未知の世界。
そこに入っていくことに、ギョンはより一層の恐怖を感じるのだった。

(やるしかないんだ・・・親父の為にも・・・)





















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