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Channel: ゆうちゃんの日記
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心の扉 15

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授業中、ずっと悩んでいたインが、昼休みになるとすぐにどこかに電話を掛けだした。
しばらく話していたインは通話を終了すると、シンの所にやってきた。

「シン、ヒョリンの携帯のナンバー、教えてくれないか?俺がヒョリンに掛けてみる」
「えっ!?でも勘当されるんじゃ・・・」
「今、親父に許可取った。ヒョリンに酷い事されたチェギョンが親身になってるのに俺が見てるだけって、おかしいだろ?俺からの履歴だったら電話に出るかもしれない。だから・・・」
「・・・分かった。コン内官にナンバーを聞いてみる」

シンがコン内官に電話を掛けようとすると、チェギョンからメールの着信が来た。
そのメールを確認すると、折り返し返信をし、シンはイン達を誘って皇族専用の部屋へと向かった。
シン達が部屋で待っていると、チェギョンがガンヒョンを伴って、やって来た。

「チェギョン、イン達に頼みたいことがあるって何だ?」
「うん。まずお父さんたちに了解を貰えたらの話なんだけど、ヒョリンを見つけて保護してほしいの」
「どういう事だ?」
「えっとね・・・アッパから連絡があってね。アッパの携帯からヒョリンに繋がったらしいの」
「「「「何だって~!?」」」」
「こ、怖い・・・」
「ちょっとあんた達、チェギョンに怒鳴らないで!チェギョン、大丈夫だからね。私から話そうか?」
「・・・うん。ガンヒョン、ゴメンね」
「気にしないで。ヒョリン、アジョシからの電話を援交希望のエロ親父と思ったみたいね。すぐに金額交渉しだしたそうよ」
「「「!!!」」」

薄々とは感じていたが、ハッキリ言われると、やはりショックを受けた。

「まさかそんな話が飛び出ると思ってなかったアジョシは、携帯をスピーカーにしてヒョリンのお母さんに会話を聞かせていたの。お母さん、パニック寸前で電話に出る余裕がなくて、仕方なくアジョシは客の振りをして待ち合わせの場所と時間を決めたんだって。でもアジョシ、肝心のヒョリンの顔を知らないのよ」
「で、俺らに待ち合わせ場所に行けって事か?」
「ええ。ヒョリンが最後に登校した日、私とチェギョンはヒョリンとトラブってるのよ。だから二人が行っても逆効果だと思うの。お願いできないかしら?」
「トラぶった?チェギョン、コン内官が迎えに行った日か?」
「うん。コン爺が仲裁に入ってくれたの。シン君は警護があるから無理だろうけど、イン君たち、お父さんにお願いしてくれないかなぁ?これで失敗したら警察に届けるって事で、おば様が了承してくれたそうなの」

イン、ギョン、ファンは、顔を見合わせ頷くとすぐに父親に連絡を取りだした。

「ヒョリンのお袋さんは?」
「オンマが病院に連れていってるみたい。病院から帰ってきたら、連絡が来ると思う」

シンは、ヒョリンの身勝手さにほとほと愛想が尽きた。

(あの女は、どこまで堕ちれば気が済むんだ?たった一人の母親の職を奪い、心配をかけて・・・身勝手にも程があるだろうが・・・)




その日の夕方、父親の了解を取ったイン達3人は、新村(シンチョン)のデパート前に向かった。
そしてヒョリンが自分たちを見て逃げないよう、バラバラになり、物陰からヒョリンの姿を探すことにした。
宮もシンからの報告で、ヒョリンを知っている翊衛士2人を新村に向かわせた。
前もって紹介を受けたチェギョンの父親の周りを探していたが、インが少し離れた所でヒョリンが様子を窺っている事に気づいた。
インは、そっと気づかれないように移動すると、ヒョリンの肩を叩いた。

「えっ、イ、イン!」
「探したぞ。お前、お袋さんに心配かけて何やってんだ?」
「放っておいてよ。あの人は、私を捨てたのよ。だから私も捨ててやったの」
「はぁ?ヒョリン、また妄想か?お前、携帯2台使い分けてたらしいな。お袋さんは、連絡のつけようがなかったんだ」
「あっ・・・」
「お袋さん、お前の電話の会話を聞いてショックで倒れて、入院したそうだ」
「えっ!?ちょ、ちょっと待って。私の電話の会話って、何の事?」
「この待ち合わせの電話の事だよ。アジョシは、ただお袋さんを預かってるって連絡したのに お前は突然値段交渉しだしたらしいな。お袋さんは、それを聞いてたんだよ」
「えっ、嘘・・・イン、貴方があのエロ親父に私のナンバーを教えたの?」
「俺たちは、親の前でナンバーを消去させられた。だから連絡先は知らない。アジョシは、宮から聞いたようだ」
「宮から?ところで、そのアジョシって誰よ?」
「陛下の親友だってさ。お袋さん、お前がいなくなった翌日、学校まで来てて、その時偶々声を掛けたアジョシの娘さんに声を掛けたらしい。お前の所為で職と住まいを失い、1日中娘を探していて金が底をついたそうだ」
「私だけの所為じゃないわ。こんな境遇に産んだオンマが悪いのよ」
「ヒョリン、だからって見栄を張る為に嘘を吐くのか?俺らを騙し、援交までして、よく皇太子妃に相応しいと思ってたよな?その自信はどこから来るわけ?」
「///煩いわね!!」
「今、アジョシの奥さんが病院に付き添ってる。これ以上、全く関係のないシン家の人たちに迷惑を掛けるな」
「シン家?」
「ああ、お前が癇癪起こして壊した携帯の持ち主の家族だ。お前に携帯壊されたと言うのに 困っている人を見捨てることはできないってさ。ヒョリン、俺はそれを知って、今までの自分を恥じたよ。アジョシやチェギョンに謝罪して、母親の元に戻れ。たった一人の親なんだろ?」
「・・・嫌よ。あんな貧乏ったらしい生活なんて、もうウンザリなのよ」
「ヒョリン!!」
「放して!オンマには、私は死んだと思ってくれって伝えて」

ヒョリンはインの脛を思い切り蹴ると、掴まれていた手を振りほどき、人混みを掻き分けて走っていった。

ヒョリン、逃げるな!!

インの叫び声を聞きつけたギョンとファンが駆け付けたが、もうそこにはヒョリンの姿も影もなかった。

「イン!!」
「すまねぇ。少し話して、アジョシの所に連れていこうとしたら、思い切り脛を蹴られた」
「イン、大丈夫か?」
「ああ。それよりアジョシに逃げられたこと言わないと・・・」

ギョンの肩を借りて、インはチェギョンの父親の元に向かい、見失った事を話した。

「・・・少しは話したんだろ?彼女は、何て言ってた?」
「それが・・・あんな貧乏ったらしい暮らしは嫌だ。死んだものと思ってくれって・・・」

インの話を聞いたチェウォンは、グッと拳を握りしめ、怒りを抑えているようだった。

「アジョシ・・・アジュマにどう説明したら良いんでしょう?」
「・・・娘さんは現れなかったと言うしかないだろうな。奥さんの事は、俺に任せておきなさい。君たち、時間を作ってもらって悪かったね。うちで一緒に食事でもして帰りなさい」
「ありがとうございます」

チェウォンに連れられて、イン、ギョン、ファンはシン家のお宅を訪問した。
小さな家だが、家に入るとその温かさに驚いた。
気温ではなく、人柄からくる温かい雰囲気が、家中から溢れている。

「いらっしゃい。今日は、お疲れさまでした。アッパ、どうだった?」
「現れなかったみたいだ」

3人は驚いたが、チェギョンに気づかないようにチェウォンが目配せしたので、黙って頷いた。

「そっか・・・アジュマに何て伝えればいいんだろうね」
「チェギョン、アッパに任せておけばいい」
「うん、お願いね。あっ、さっきシン君から電話があって、もうすぐ来るって」
「はぁ?何しにシン坊は来るんだ?」
「もうすぐアッパが3人を連れて帰ってくるって言ったら、『俺も行く』って・・・もうすぐご飯の用意できるから、もう少し待っててね」
「アッパも手伝うよ」
「良いわよ。疲れたでしょ?・・・・アッパ、アッパまで巻き込んじゃってゴメンね」
「気にするな。早く飯作ってこい」
「は~い♪」

チェギョンがキッチンに消えると、チェウォンはリビングのソファーに座るよう3人に勧めた。
そしておもむろに携帯を取りだすと、どこかに掛けだした。

「ヒョンか?俺だ。今日の話、どこまで聞いてる?」
『・・・・・』
「えっ、そうなのか?それって、俺らが押しかけていってもいいのか?」
『・・・・・』
「分かった。お前に任すわ。それより奥さん、入院しちゃったんだよ。今日は嫁が仕事休んで付き添ってるが、俺も嫁も仕事しないと生活できない。人一人、貸してくれ」
『・・・・・』
「はぁ?俺らは、もっと関係ねぇっつうの!!頼んだぞ。それからお前の息子、もうじきここに来るそうだ。飯、食わせるぞ。じゃあな」

通話中から気にはなったが、『お前の息子が来る』と言うフレーズで、チェウォンの通話相手が皇帝陛下だと確信してしまった。
チェギョンが、朝のホームルームで、祖父同志、父親同士が友人だと告白したのは噂で聞いていたが、いざ目の前でやり取りされると実感が湧いた。

「ヒョンが、翊衛士を出してくれてたみたいだ。運よく尾行に成功したらしいが、高級マンションに入っていったらしい」
「「「えっ!?」」」
「警察に通報するより宮が探った方が早そうだから、ヒョンに任せることにした。まぁ、すぐに解決するさ」
「「「・・・・・」」」
「ん?どうした?」
「いえ、噂で陛下と友人だとは聞いていたんですけど、事実だったんだなぁと思って・・・」
「ああ、ヒョン?親父同士が戦友兼親友だったんで、幼馴染なんだ。ス兄貴が死ぬまで、いつも3人でいつもつるんでた」
「だから、許嫁になったんですか?」
「・・・それ、俺の前では禁句だから」
「「「えっ!?」」」

急に機嫌が悪くなったチェウォンに緊張していると、シンが現れ、イン達はホッとした。

「「「シン!!」」」
「何で、お前たちがここに招待されてるんだ!?」
「「「えっ!?」」」

救世主に思われたシンにも睨まれ、イン達は完全に委縮してしまったのだった。

(シン、俺らは誘われたから来ただけだ。だから頼むから、俺らにその氷の視線を向けるな!)









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