シンとチェギョンは、時間を見つけては皇后を見舞い、色々な話をした。
そして皇后とイジュンの姿をカメラやビデオで撮り、記録として残していった。
また延命措置を望まない皇后の為、正殿に皇后担当の医師が詰めることになった。
「ジフオッパ・・・何で?」
「皇后さまの主治医の補佐。シン、しばらく東宮殿で泊めてよ」
「えっ!?部屋は余るほどあるけど、ベッド俺のしかないよ。まさか3人で寝るつもり?」
「俺は、それでも構わないけど?クスクス・・・そんな表情もできるようになったんだ。勝手にベッドここに運んでもらうよう手配したから気にしないで。チェギョン、久しぶりに一緒に寝よ♪」
ジフに遊ばれていることに気づいたシンは、笑おうとした顔が引き攣っていた。
「クスクス、シン、面白い・・・」
「ジフヒョン、俺をからかって、そんなに面白いか?」
「うん♪今回は、アンタの事を思って、俺、志願してきたんだけど?」
「えっ、俺の為?」
「そう・・・チェギョン、ここに座りな」
「うん♪」
「俺の知らない内に 大人の女性の仲間入りしたんだってね。おめでとう」
「///うん・・・ありがとう」
「チェギョンが大人の女性になる年頃なら、当然シンも大人の男性になる年頃だって事は分かるだろ?」
「えっ、まぁ・・・言われてみれば、そうだよね。シン君は、もう大人になったの?」
「///俺に振るな!!ジフヒョン、一体何の話してんだよ」
「保健体育。チェギョンは学校に通ってなかったからね。この手の話に疎いんだ。だから教えに来た」
シンは、ポカンとしてしまった。
「男は、朝起きたら、男性器が大きくなってるのは教えたよね?」
「うん。オッパが、オシッコしたら戻るんだって言ってたじゃん。実際、オッパ、いっつもそうだったし・・・シン君もそうだよ」
「クスクス、シンもそうなんだ」
「///・・・・・」
(何なんだ、この会話は・・・恥ずかしすぎるだろうが!!)
「あのさ、男は大人になると、男性器から小便以外のものが出るんだ。その時も大きくなる」
「オシッコ以外のもの?」
「うん、精子。女性の卵子と結合すれば、赤ちゃんになるもの」
「へぇ~~」
「でさ、その精子を出すのが厄介でさ。男性器を刺激しないと出ないし、元の大きさに戻らないんだ。もっと厄介なのは、若いと特に所構わず大きくなるんだ」
「///えっ、うそ・・・」
「ホント。俺は、その辺りが欠落してるからかなり淡泊だけど、普通の10代なら毎日刺激しないとダメみたい。ウビンとイジョンなんて、毎晩女使って出してたし・・・」
「///チェギョン、俺をそんな目で見るな!!」
「クスクス、シンはそんなふしだらな事はしない。自分で慰めて出すさ。だからさ、シンがその行為をしててもチェギョンは知らんぷりしてやりな」
「///うん、よく分からないけど、分かった。シン君、私に遠慮なく出してね」
「///チェギョン!!」
「クスクス、チェギョン、俺にコーヒー貰ってきてよ」
「は~い」
チェギョンがリビングを出ていくと、ジフはお腹を抱えて笑い出した。
「///ジフヒョン、朝っぱらから何の話をしてんですか!?」
「ごめん、ごめん。でもシンも辛いだろうなって思ってさ。風呂、一緒に入ってんだろ?ベッドも一緒だし、気になってたんだよね」
「今のところ、大丈夫ですよ」
「今はね。でもその内、必ず辛くなる。皇太子だろうが男だしね。俺たちみたいにただの排泄行為として女を抱くわけにいかないしさ」
「えっ!?」
「俺だって男だし、それなりに性欲はあるよ。ただ他の人に比べたら少ないだけ・・・シン、良い?相当な覚悟がない限り、チェギョンに手は出さないで」
「・・・分かってます」
「多分、アイツは俺と一緒で、結婚とか子どもとか考えてない。でも意志に反して、結婚も出産もしないといけない立場だ。シンと一緒でね」
「・・・・・」
気まずい雰囲気を破るかのように チェギョンがジフのコーヒーを持ってきた。
「ジフオッパ、お待たせ♪」
「サンキュ」
「・・・ジフオッパ、他にも話したいことがあるんでしょ?」
「うん。最近、ウビンの事避けてる?」
シンは驚いて、チェギョンの顔を見た。
「言ってる意味が分かんないんだけど・・・何でウビンオッパを避けてるって思ったわけ?」
「アイツ、あれでも繊細だからさ。毎日あった連絡がないからさ、凹んでる」
「それは、宮から出ることないからで・・・」
「本当にそれだけ?じゃ、いいや。今度、パーティーに参加ね」
「はぁ?!ジュナはどうすんの?」
「数時間ぐらいシンに面倒見てもらいなよ。それから毎週金曜日、スケジュール空けろって伝言頼まれた」
「はぁ、その毎週金曜って、一体何なの?」
「有閑倶楽部のメンバーとの勉強会兼体力作りだってさ。皆、チェギョンに会いたがってる。ジュナ連れて、出てこいってさ」
「・・・分かった。オッパ達に宜しく言っといて」
「ジフヒョン、その勉強会兼体力作りって、俺も参加していいか?」
「良いんじゃない?ジュンピョんちで会って、バスケしたんでしょ?俺は参加難しいけど、アイツらに言っとく」
「ねぇ、場所や時間は?」
「知らない。。。また連絡あるんじゃないの?」
「ハァ・・・オッパって、ホント連絡役には不向きだよね。これから連絡役は、ウビンオッパにしてちょうだい」
「クスクス、了解♪・・・ねぇ、ここからマジな話なんだけど、シン、皇后さまの体力があるうちに思い出づくりしな」
「「えっ!?」」
「覚悟が必要だって事。多分、この冬は越せない」
「そんな・・・何とかならないの?」
「手術した時点で半年って感じだったし・・・おそらく皇后さまは、妊娠が分かった時点で覚悟してたと思う。俺たちがバックアップするから、思い出づくりしなよ」
シンは、グッと唇を噛みしめながら、スマホを手にするのだった。
「コン内官、キム内官と一緒に東宮殿まで来てくれ。できれば、すぐに・・・」