選択 第55話
シンと皇后はしばらく唖然としていたが、すぐに気を取り直しコン内官に経緯を聞き出そうとした。イジョンもその場から少し離れて、携帯でウビンに連絡を入れる。「昨日の事でございます。突然、シン元内官が数人を引き連れてやって来て、チェギョン様の荷物を引き取っていきました」「アジョシは、何か言ってたか?」「はい。そろそろ潮時だから撤退すると。ただミン・ソオンだけは皇后さまのご出産が終わるまで宮に滞在させてほしい...
View Article心の扉 第16話
緊迫した居間の雰囲気を破ったのは、フラッと部屋に入ってきたチェジュンだった。「ヒョン、来てたの?道理でデジが張り切って、料理してる筈だわ」「チェジュン、いい加減にしないとその口縫うぞ」「親父こそ、いい加減諦めろって。恨むなら、祖父さんにデジの子守りをさせた自分を恨めよな」「あああ、クソッ。親父も先帝の親父に嵌められたんだよ。あの狸爺、いたいけな少女の言質まで取りやがって・・・お前たち、今なら引き返せ...
View Article選択 第56話
シンは、新しく作られたシン用の執務室にコン内官と向かった。部屋には、大きな執務用のデスクとソファーセット、それからがら空きの本棚があった。「コン内官、まず最初に何から始めたらいいんだ?」「はい。まずは王族会の面々を覚えていただきます。それと同時に今、陛下が取り組んでおられた案件や放置されていた案件の把握をお願いします」「・・・分かった。ところで、この机の上にあるボックス、チェギョンが100均で買った...
View Article選択 第57話
海外から帰国したチェギョンは、宮で過ごす前の生活に戻っていた。少し違うのは、チェジュンやカン・テジュンとの時間が増えたぐらいで、毎日点滴を受けながら各方面に指示を出していた。(チェジュンも頭の良い奴だけど、チェギョンはけた違いだ。でも毎日点滴って・・・ここまでしないと当主は務まらないってことなのか?周りの人間ももっと気遣うとか、少し休ませるとか、何でしないんだ?)テジュンが不満を抱えながら、ハギュン...
View Article選択 第59話
シンがコン内官と病院に戻ると、皇后の手術は終わっており、さっき仮眠した病室は集中治療室化していた。病室と控室の間にあるガラス窓から病室をしばらく見ていたシンだが、ソファーに座るとコン内官とハン尚宮にも座るように促した。「ハン尚宮、お疲れ。侍従用の休憩室で少し休んで」「いえ、私は大丈夫です」「ハン尚宮に倒れられたら、母上を任せられる人がいない。だから無理をするな。先は長いんだ」「ハン尚宮、人手が足らな...
View Article選択 第60話
指定した時間になり、チェギョンは心配するシンと一緒に待合室に向かった。待合室は、皇族を見舞う王族の為の部屋で、落ち着いた調度品で囲まれていた。チェギョンが『SC財団のシン・チェギョン』と名乗ると、明らかに社長と思われる男性は握手する手が震えていた。「はじめまして、キングダム社長のチュ・ジュンウォンです。こちらが妻のテ・ゴンシルです」「テ・ゴンシルです」「・・・テヤン(太陽)?」「「えっ!?」」「ご主...
View Article選択 第61話
それからのチェギョンは、ジュナの事はチェ尚宮とシンに任せ、寝るために病院に戻ってくる。皇后は術後3日目に目が覚めたが、面会はガラス窓越しでしかできず、そこからジュナを見せる毎日だった。シンとチェギョンは、ジュナが退院する前日、許可を取って皇后の病室に入った。「明日、ジュナはお先に退院します。母上、先に戻って宮で待っています」「おば様がお戻りになるまで、ジュナの事は任せてください」シンが止めたにも拘ら...
View Article選択 第62話
イジュン退院の翌日から、宮の雰囲気が一気に変わった。東宮殿に従事する女官・内官が、チェギョンの一言で集められた。「改めまして自己紹介いたします。こちらでイジュン親王様のお世話をしながら、居候することになりましたシン・チェギョンです。よろしくお願いします。イジュンさまのナニーとしてお願いがあります。イジュンさまに対して、同情したり不憫がらないでください」チェギョンの言葉に一同は、驚きを隠せなかった。「...
View Article選択 第63話
シンとチェギョンは、本当にイジュン中心の生活になった。思考錯誤しながらの育児は、時には泣きそうになりながらもシンとチェギョンは充実した日々を送りだした。勿論、頭の片隅には皇后の病状の事もあったが、2人には皇后を見舞う時間がなかった。ところが、突然、事態が急変した。皇后が、全ての治療を止め、宮に戻ってきたのだ。シンとチェギョンは、慌ててイジュンを連れて、皇后の寝室へと向かった。「母上、どうして・・・」...
View Article選択 第64話
シンとチェギョンは、時間を見つけては皇后を見舞い、色々な話をした。そして皇后とイジュンの姿をカメラやビデオで撮り、記録として残していった。また延命措置を望まない皇后の為、正殿に皇后担当の医師が詰めることになった。「ジフオッパ・・・何で?」「皇后さまの主治医の補佐。シン、しばらく東宮殿で泊めてよ」「えっ!?部屋は余るほどあるけど、ベッド俺のしかないよ。まさか3人で寝るつもり?」「俺は、それでも構わない...
View Article選択 第65話
シンは、コン内官とキム内官と共に皇族のスケジュールを見直し、全員がオフの日を作った。そしてアドバイザーとしてジフを伴って、皇太后の許へ向かった。「シンや、急にどうしたのです?ジフさんも一緒という事は、ミンに何かあったのですか?」「いえ、そういう訳では・・・ただジフヒョンから、母上の調子がいい間に皆でどこかに行ってはどうかとアドバイスされたので、お誘いに来ました。皇太后さま、ご一緒にどこかに行きません...
View Article選択 第66話
引継ぎが終わったユン尚宮は、チェギョンの身の回りの世話をする私設秘書として東宮殿に放り込まれた。「はぁ?シン君、ただの居候に尚宮って・・・いいわよ」「キム内官の代わりだ。キム内官程期待できないが、扱き使ってやれ」「キムオッパも私にしたら役立たずだったわよ!!オンニ、適当で構いません。よろしくお願いします」「こ、こちらこそ宜しくお願い致します」有能なキム内官を無能呼ばわりするチェギョンが、ユン尚宮は信...
View Article選択 第67話
皇族一行が出発してすぐ、宮にはチェギョンが呼んだと思われる男たちがやって来た。キム内官とユン尚宮は、彼らを出迎えるとチェギョンの許に連れていった。「誰もいないから、徹底的にお願いします。キムオッパは正殿、オンニは慈恵殿に案内してあげて」「姫さま、一体何を・・・」「キムオッパ、姫さまは止めてって言ってるでしょ。皆さんがいない内に徹底的に盗聴器、隠しカメラの捜索をするのよ。そうでないと安心して、住めない...
View Article選択 第68話
事実は、コン内官とチョン最高尚宮だけに知らされ、皇族たちにはイム女官は実家の都合で急遽退官したと報告された。指示していた王族も表向きは健康上の理由として王族会を脱退し、ソウルを離れていった。キム内官が内密に王族の土地家屋を調べたら、当然のようにSC財団の所有に代わっていた。(恐るべしSC財団・・・チェギョンさまを怒らせたら、ソウルでは暮らせないということか・・・)チェギョンの尽力で風通しがよくなって...
View Article選択 第61話
それからのチェギョンは、ジュナの事はチェ尚宮とシンに任せ、寝るために病院に戻ってくる。皇后は術後3日目に目が覚めたが、面会はガラス窓越しでしかできず、そこからジュナを見せる毎日だった。シンとチェギョンは、ジュナが退院する前日、許可を取って皇后の病室に入った。「明日、ジュナはお先に退院します。母上、先に戻って宮で待っています」「おば様がお戻りになるまで、ジュナの事は任せてください」シンが止めたにも拘ら...
View Article選択 第62話
イジュン退院の翌日から、宮の雰囲気が一気に変わった。東宮殿に従事する女官・内官が、チェギョンの一言で集められた。「改めまして自己紹介いたします。こちらでイジュン親王様のお世話をしながら、居候することになりましたシン・チェギョンです。よろしくお願いします。イジュンさまのナニーとしてお願いがあります。イジュンさまに対して、同情したり不憫がらないでください」チェギョンの言葉に一同は、驚きを隠せなかった。「...
View Article選択 第63話
シンとチェギョンは、本当にイジュン中心の生活になった。思考錯誤しながらの育児は、時には泣きそうになりながらもシンとチェギョンは充実した日々を送りだした。勿論、頭の片隅には皇后の病状の事もあったが、2人には皇后を見舞う時間がなかった。ところが、突然、事態が急変した。皇后が、全ての治療を止め、宮に戻ってきたのだ。シンとチェギョンは、慌ててイジュンを連れて、皇后の寝室へと向かった。「母上、どうして・・・」...
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シンとチェギョンは、時間を見つけては皇后を見舞い、色々な話をした。そして皇后とイジュンの姿をカメラやビデオで撮り、記録として残していった。また延命措置を望まない皇后の為、正殿に皇后担当の医師が詰めることになった。「ジフオッパ・・・何で?」「皇后さまの主治医の補佐。シン、しばらく東宮殿で泊めてよ」「えっ!?部屋は余るほどあるけど、ベッド俺のしかないよ。まさか3人で寝るつもり?」「俺は、それでも構わない...
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