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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第36話

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宮は、公式ホームページで、皇太后の誕生日祝賀パーティーの様子を数枚の写真と共に公表した。
その写真の幾つかにチェギョンが映っており、国民は勿論、マスコミもチェギョンに話題が集中してしまった。
週刊誌には、『皇太子妃内定?』や『宮公認のイ・シン殿下の彼女か?』など、様々な見出しが付けられ、購買意欲を掻き立てた。
中には、パーティーの参加者がシンとチェギョンの様子を証言した記事もあり、宮は対応を迫られた。

「ハァ、何で写真載せるかなぁ?坊主の差し金か?」
「多分、皇太后さま辺りじゃない?コンちゃんに聞いてみれば?」
「宮に呼び出されそうでヤダ!坊主は、何か言ってるか?」
「最近、会ってないから知らない。チェギョンは?」
「普通・・・お前らの報道、見て育ったからな。そのうちに落ち着くだろうってさ」
「呑気だねぇ~、誰に似たんだか・・・」
「間違いなく、お前の血の繋がった叔母だよ!」

そんな会話をしている矢先、今度は、チェギョンの描いた先帝の絵がアップされた。

(パクおばさん、もう勘弁して・・・これ、絶対呼び出しだし。お願いだから、もっと普通に呼び出してよ)


チェウォンが重い腰を上げようとしている頃、ロンドンの片隅で、この報道を見て怒りを表している人物がいた。
ユルの母親、ソ・ファヨンである。
ユルが帰国して以来、宮からの送金はストップし、協力的だった知人達とも連絡がつかず、ファヨンは崖っぷちに立たされていた。

「チュンハ、協力者たちとも連絡が途絶えるし、一体どうなってるの?ユルとも連絡付かないし・・・」
「・・・協力者全員と途絶えたというのが気になります。我々の企てが、漏れているのかもしれません」
「誰かが、邪魔をしていると言うの?まさかユル?」
「ユルさまは、協力者全員をご存じありません。何か大きな力が働いているのではないでしょうか?」
「宮が気づいたということはない?」
「・・・憶測ですが、当時シン殿下の教育係をしていたチェ・ウォンが怪しい気がします。当時、あの男を調べましたが、大学の講師としか分かりませんでした。講師ごときが皇子の教育係を務めるのは異例なことです」
「あの忌々しい男が、またしても私の邪魔をしていると言うの?」
「あくまでも憶測です」
「チュンハ、どうすればいい?」
「残念ながら、異国からではもう手を打つことはできないでしょう」
「では、諦めろと?ユルが皇位に就くことを諦めろというわけ!?あの子は正当な皇位継承者なのよ!」

ヒステリックに叫ぶファヨンを チュンハは黙って見つめていた。

「チュンハ、あなたが韓国に戻れば、策はあるのね?」
「ユルさまを皇位に就ける方法は一つ。宮に潜入し、イ・シン殿下の御命を頂戴する。それしかありません」
「チュンハ、何とかして。貴方だけが頼りなの。私達を助けてちょうだい」
「ファヨンさまの仰せのままに・・・」
「チュンハ、貴方を信じるわ」

ペク・チュンハは、ファヨンに一礼をすると部屋を出て行った。



朝の挨拶の為、皇族が各々の殿閣から、侍従や女官を従えて正殿居間に向かう。
毎朝一番乗りは皇帝のヒョンと皇后のミンで、今日も2人揃って、居間に入った。

「「!!!」誰だ!」
「ん~、もう朝?相変わらず、このソファーは寝心地が悪すぎ。買い替えればいいのに・・・」
「「えっ!?」」
「年寄りは早起きなんだから一番に来ればいいのに・・・俺、ちょっと行って呼んできましょうか?」

不審な来訪者の理解不能な発言に陛下や皇后は勿論、キム内官やハン尚宮もただ唖然と立ち尽くしていた。

「おはよう。朝から立ち尽くして、幽霊でも出たのか?」
「パクおばさん、久しぶり。もう少し普通に呼び出してよ。いい加減にしてくれないと、俺、泣くよ」
「おお、やっと来おったか。お前は、こうでもしないと会いに来てくれんじゃろ?紹介しよう。息子のヒョンと嫁のミンじゃ」
「俺でも、陛下と皇后さまの顔ぐらい知ってるよ。ご挨拶が遅くなってすいません。シン・チェウォンです」
「「あっ!!」」
「おお~、チョンちゃんだ。宮仕えが辛くなったらいつでも言えよ。俺が面倒みてやる」
「ホホ・・・ウォンは、相変わらずだのぅ。お前と暮らせば余計に寿命が縮むわ。遠慮しておく」
「ひっでぇ~!」

チェウォンと最高尚宮は旧知の仲らしく、和気あいあいと話しだし、陛下たちは驚きっぱなしだった。

「おは・・アジョシ!!こんな朝っぱらからどうしたの?」
「おお、坊主か。そこの婆さんに嫌がらせを受けてさ。抗議に来た」
「へ?」
「ホホホ・・・ほれ、お前達、いい加減座ればどうじゃ?落ち着かぬわ」

訳も分からず、いつもの定位置に座った陛下、皇后、シンは、チェウォンを気にして、視線を向けた。

「ハァ・・・パクおばさん、俺を呼び出した件はなに?」
「決まっておるじゃろう?シンとチェギョンの婚約じゃ!」
「「「!!!」」」
「は?そんな事で、あれだけ派手にやったの?世間の騒ぎ、分かってる?ホント勘弁して・・・」
「国民は、宮の朗報を期待しておるぞ」
「そういう風に煽ったんでしょうが・・・で、坊主はどうしたいんだ?」
「俺?俺は、できれば早く一緒になりたい」
「陛下は、どうお考えですか?」
「恵政宮のこともある。できれば太子の18歳の誕生日に婚姻させたいと最長老に取り纏めを頼んだところだ」
「もう決まってるじゃん。坊主、チェギョンに了承を取って2人で決めて。でも騒がれるのは好きじゃない。婚約はいいけど、できたら内密にお願い」
「では、内輪で婚約式をして、公式発表は来年の春でどうじゃ?」
「もう好きにして。俺、何のために夜中に忍び込んだのさ。ハァ・・・」
「それだ!チェウォン殿、どこか抜け道があるのですか?」
「クスッ、企業秘密です。親父から俺、俺は次の人に教える筈だったが孝烈殿下が亡くなり、教える機会を失った。陛下はその職に誰も指名しなかったしね」
「えっ、では・・・」
「はい、そういう事です。もう少ししたら、後任を息子に託します。それで勘弁してください」
「・・・太子をお願いします」
「クスッ、殿下と息子は、きっとソンジョおじさんと親父のような関係になりますよ」
「俺、おじい様みたいに弄られるのイヤかも・・・」
「もう遅い。十分、弄られてると思うぞ。クククッ・・・それから恵政宮さまですが、パクおばさんが煽った所為で半狂乱だって情報が入ったから・・・」
「「「えっ!?」」」
「アジョシ、どこからそんな情報が入るのさ?」
「坊主、俺の事バカにしてる?俺、これでもソウル大学首席卒業で、最年少で教授まで上り詰めた天才君なんだけど?この国は学閥社会だから、大学の縦と横の繋がりを大事にしてると色々な情報が入るわけ。まぁ、皇族は関係ないか・・・」

学生時代、積極的に友人を作ろうともしなかった陛下には、耳の痛い話だった。

「話を戻すけど、恵政宮さまには、渡英直後から私設SPが付いてる。多分ね、孝烈殿下付きだった元翊衛士。彼が、渡航準備に入ったらしい」
「「「!!!」」」
「空港で抑えるつもりだけど、失敗した場合、坊主、十分に注意して」
「なぜ、太子が注意する必要があるのだ?」
「彼は、孝烈殿下のお気に入りの翊衛士で非常に優秀だった。もし恵政宮がユル君を皇位に就ける野望を諦めてなかったら、彼の取る方法は一つ。俺とシン君の命を狙う筈」
「・・・なぜ、チェウォンさんまで狙われるのだ?」
「恵政宮さまの協力者及び協力者らしき者は、全員残らず圧力を掛けたからもう動かない。きっと誰が協力者を特定し、圧力を掛けたか彼なら考える筈。彼、渡英前に俺の事調べてた節があるから、きっとバレてる。後々の事を考えたら、邪魔者は消す。それに当時、俺が学生時代、極秘で出入りしていた所を調べてたし、彼なら簡単に潜入できる。俺でも未だに簡単に出入りできるし・・・不安なら、ユル君ちのマンションに滞在させればいい。ジフに言えば、ベッド用意してくれる」
「アジョシ、ありがとう。陛下と相談して決めるね」
「うん、そうして」

陛下は、時代遅れだと思っていた暗行御吏の重要性や必要性を痛感してしまった。

(シン先生は、皇帝になったら身軽に動けなくなる。だから自分の手足になる暗行御吏を使って王族を見張れ。暗行御吏は、自分が最も信頼する人物に依頼し、任命しなさいと仰ってたな・・・)

「コンちゃん、恵政宮さまへの送金はストップしたの?」
「ああ、ユルさまの帰国を知った翌日に手続きした」
「じゃ、最後の足掻きで、絶対に動くね。例え悲願の成就が無理と分かっていてもあの人ならやる。坊主、俺が誰にも見せるなって書いたやつ、まだそのまま?」
「あ、うん」
「じゃ、ちょっと拝借していく。あと陛下、孝烈殿下の覚書、コピーさせて。俺も死にたくないから、最善の準備をしたい」
「分かった。すぐにコピーさせよう。キム内官、頼む」
「かしこまりました」
「チョンちゃん、腹減った。メシ、食わせて」
「ウォンは、昔から最高尚宮にベッタリだのぉ。チョンや、もう1人分追加で朝食の用意を頼んでおくれ」
「かしこまりました」

最高尚宮が出て行くと、チェウォンは皇太后に詰め寄った。

「さっきも言ったけどさ、チョンちゃんが引退したら俺が引き取るからね。ソンジョおじさんの命令かもしれないけど、パクおばさんとチョンちゃんにはホント世話になってるから。恩返ししたい」
「恩があるのは我らの方じゃ。だがその時が来たら、チョンには私から話をしよう。ウォン、心から礼を言う」
「止めてよ。季節ごとに洋服を買いに連れて行ってもらったり、学校で必要なものも全部揃えてもらったし・・・緊急連絡先もチョンちゃんで、何回も学校に飛んできて頭下げてくれた。俺、足向けて寝られないぐらい感謝してるからね」
「クククッ、そうじゃった・・・それに何でもチョンに報告しておったなぁ。フフフ・・・」
「げっ、それ以上、言うのは止めて!」
「皇太后さま、聞きたい。アジョシは、何を最高尚宮に報告したのですか?」
「坊主、黙れ!!」
「クククッ、突然、私とチョンの前でパンツを脱いでな、『見て見て、毛が生えてきた♪』って自慢しにきおった」
「「ブハッ・・・アハハ・・・」」
「///俺、ピュアだったんだよ。今もだけどさ・・・」
「ピュ、ピュア?・・・ククク、アハハ・・・アジョシ、辞書を引け、辞書を!」
「スとヒョンもいつ見せに来てくれるかと楽しみにしておったが来んかったのぉ。心残りじゃ」
「///母上!普通、見せびらかすものではありませんから!!」

事態はひっ迫している筈なのに 正殿の間は朝から大騒ぎだった。

(昔からアジョシは俺のヒーローだったけど、やっぱアジョシは最高だなぁ~♪)

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