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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第37話

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いつものように昼休み、皆で中庭で弁当を食べていると、チェギョンのスマホにジフからのLINEが入った。

≪シン君とユル君と3人で来い!≫

「げっ、シン君、ユル君、召集が掛った。3人で来いって」

シンとユルは顔を見合わせると立ちあがり、チェギョンと共に理事長室に向かった。
いつもの部屋に入ると、すでに3人の鞄が置いてあるのを見て、このまま早退することが分かった。

「オッパ、早退って、家に帰るだけ?」
「いや、チェギョンは、このままエステに行ってもらう。ピカピカに磨いてもらっておいで」
「はぁ~、何で!?」
「今晩、パーティーに参加するから」
「聞いてない!」
「うん、言ってない」
「あ~イライラする。でもイヤって言っても無理やり行かせるつもりでしょ?」
「当然。今日は神話の創立記念パーティー。ジュンピョにドレス買ってもらってるし、欠席って訳にいかないでしょ」
「うぅぅ・・・汚いよ」
「どうとでも・・・今日は、玄関から堂々と入るからね。神話のパーティーだからマスコミ多いよ。いいの?」
「分かったわよ。行けば良いんでしょ」
「うん♪裏門の前に車が待ってるから、もう行って」
「はい、はい。シン君、ユル君、じゃまたね」

チェギョンが非常扉から出て行くと、ジフの雰囲気が一気に変わった。

「ユル君、もうすぐ親父が来る。悪いけど、一緒に行動して」
「えっ、はい?」
「撚りにもよって、今日動くなんて・・・恵政宮さまのSPが動いた」
「「!!!」」
「直行便だと踏んでたら刻んできた。香港経由・・・親父が何か考えてると思う。ユル君は親父に従って」
「はい」
「シン君、君はどこかに避難してほしい。宮は、どうするって言ってた?」
「アジョシがユルの所に行けって言ってたから、そのつもりだったけど・・・」
「うん、それが安全かも・・・でも一人でいて平静でいられる?」
「無理かも・・・今ですら平静じゃないし・・・」
「ハァ、だよね。ちょっと待って、チェジュンに電話する。一緒にジュンピョんちに行って」
「ジュンピョさんの家ですか?パーティーで留守なんじゃ・・・」
「あの邸は、主は留守でも使用人が大勢いるから大丈夫。それに宮以上にセキュリティーは完璧だから。パーティー終わったら合流するから、遊んで待ってて」
「遊んで・・・?意味分からないけど、そうします」
「うん。ちょっと待ってね」

ジフは断わりを入れると、続けさまに何本も電話を入れた。
3人で重苦しい時間を過ごしていると、先に着いたのがチェジュンだった。

「ジフヒョン、来たぞ」
「うん、ゴメンな。シン君を頼む」
「ああ、任せといて。ジュンピョヒョンには連絡してあんだろ?」
「うん、好きにしていいって。ただこの間買った新車だけは乗るなって言ってた」
「クク、良い事聞いた。絶対に乗ってやる。シンヒョン、行こうか」
「あ、ああ。じゃユル、気をつけて」
「うん、ありがと」

チェジュンとシンが揃って出て行くと、入れ替わりでチェウォンが入ってきた。

「待たせたね」
「えっ!?」
「ああ、ずっと前に来てたけど、坊主、最後にすると悶々としそうだったし出て行くの待ってた。ゴメンな」
「いえ・・・で、僕は何をしたらいいんでしょう?」
「あのさ差支えなかったら、孝烈殿下の手紙をペク・チュンハに見せてやってほしいんだ」
「えっ、父上の手紙ですか?」
「ああ。彼ね、孝烈殿下のお気に入りだったんだよね。俺から見たら、宮に忠誠を誓ってるのか、孝烈殿下に誓ってるのかどっちだ?って感じだったんだ。ホントいい翊衛士だった。渡英したのも恵政宮さまというより、ユルさまをお守りするって言う気持ちからだったと思う。だから、恵政宮さまの言葉にのめり込んだ可能性が高い」
「母上の言葉?」
「うん。『孝烈殿下の忘れ形見を皇位に就ける』とか『我が息子義誠君が正当な皇位継承者だ』とかね。聞いたことない?」
「・・・あります」
「だろうね。実は、俺もあるんだ。ハハハ・・・ソンジョおじさんの前で豪語してさ、おじさんの逆鱗に触れて、追放になったんだよね」
「そうだったんですか・・・」
「だからこそ、孝烈殿下の手紙を読めば、目が覚めると思うんだ。俺も宮から孝烈殿下の内官日誌を拝借してきた。読んでくれれば、良いんだけど・・・どうやって読んでくれるよう仕向けるかなんだ」
「・・・とりあえず、父上の手紙を取りにマンションに戻りましょう」
「頼めるか?巻き込んで、ホントごめんな」
「いえ、こちらこそ申し訳ないです。さぁ行きましょう。ジフさん、シンを頼みます」
「ああ、ユル君、アジョシ、十分気をつけるんだよ。何かあったら、連絡して。待ってるから」

チェウォンとユルが外に出ると、ギョンが待っていた。

「シンから聞いた。親父に連絡して、チャン航空のVIPルームを1室確保してもらった。良かったら、使ってくれ」
「ありがとう、ギョン」
「サンキュ、ギョン君。すまないが、親父さん、紹介してほしい」
「分かりました。では仁川国際空港のチャン航空専用カウンターで、名前を言ってください。話が分かるようにしておきます」
「頼む。じゃ、急いでいるから・・・」

待機していた車に乗り込むと、急発進して学校から出て行った。

(行っちまったよ・・・いつものアジョシじゃなかったな。相当、切羽詰まった事態なのかもしれない。宮って、もっと優雅だと思ってたけど違うんだな・・・)


広いリムジンにチェジュンと乗り込んだシンは、ユルの心配から眉間にしわ寄せていた。

「シンヒョン、気持ちは分かる。だが、落ち着け。ヒョンが動けば、周りは迷惑するし、親父の危険が増すんだ!」
「・・・ああ、分かってる」
「状況から、ユルヒョンが命を落とす事はねぇよ。シンヒョンの安全は確定だろ?なら一番危険なのは、俺の親父だから・・・」
「チェジュン・・・お前・・・大丈夫か?」
「大丈夫だよ。全部、話は聞いてるから。親父は良いことも悪いことも俺には包み隠さず話すからな・・・『親父の子として生まれたのが俺の運命。俺の息子として生まれたお前には申し訳ないと思う。いつでも覚悟はしておけ』爺さんの死因聞いてから覚悟しきてた。それに親父は何の手だてもなくヤラれるような奴じゃない。信じようぜ」
「ああ・・・」
「で、何して遊ぶ?」
「は?遊ぶって?ジフさんも遊んで待ってろって言ってたけど・・・」
「ジュンピョヒョンの邸って、ザ・超セレブの家って感じで、何でも揃ってるんだ。田舎の遊園地より遊べるぜ」
「ゴメン、全く想像できない」
「だろうね。プール、サウナ、体育館、テニスコート、トレーニングジムにミニシアター。確か、図書館もあったな。外には滑走路があって、そこでなら無免許でも車やバイク乗り放題。車も男なら一度は乗ってみたいスポーツカーが勢揃いだな。それ以外ならバラ園や温室がお薦めかな」

チェジュンの言ったことをシンは信じられない思いで聞いていた。

「それ、本当に個人宅なのか?」
「言ったろ?普通の金持ちじゃないから、あの人たち。容姿、財力、地位は完璧。唯一残念なのが、性格なんだよね」
「プッ、それをチェジュンが言うか?」
「言うね。ヒョン達、マジで感覚おかしいし・・・シンヒョンに出会って、まともでホッとしたもん」
「・・・褒め言葉としてとっておく」
「クククッ、どうせヒョン達、戻ってくるの夜中だろうしのんびりしようぜ。ヤキモキしたって、俺らは何もできないんだしさ」
「そうだな。チェジュンがいて、俺、良かったよ。サンキュ」
「ユア ウエルカム♪」
「なぁ、チェジュン・・・ヌナ、俺が貰っていいか?」
「・・・・・それも覚悟してたさ。好きにしろよ」
「サンキュ」

この緊迫した時間を共有したことで、シンとチェジュンに絆ができ始めたようだ。

(ユルの事で忘れてたけど、チェギョンは大丈夫か?ジフさんの話では、社交界デビューみたいだったな。またマスコミに騒がれなければ良いんだけど・・・)








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