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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第38話

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チェギョンと言えば何時間もかけて全身エステを受け、すっかりリラックスしていた。
隣でエステを受けていたジュンピョの恋人ジャンディは、チェギョンがあまりにも呑気にしているので感心していた。

「流石、スアムの姫君だね」
「へ?オンニ、どういうこと?」
「だって今日のパーティーで、正式に社交界デビューするんでしょ?」
「は?何それ?」
「えっ、知らなかったの?今日、正式にスアム文化財団の令嬢として出席するって聞いたけど?」
「げっ、マジですか・・・急に何でだろ?」
「まぁ、あれだけマスコミに取り上げられたら仕方ないわよ。マスコミの騒ぎも一向に収まらないんだもん。もう隠しようがないって感じ?」
「ハァ、だよね。宮のホームページに載ったのがマズかったよね」
「クスクス・・・チェギョン、学校でも仲良くしてんでしょ?学校での仲睦まじい2ショットもPCで見たけど?」
「うっそ~!ヤラれた・・・」
「クスクス、気持ちは分かるけどね。で、殿下とどうなの?お付き合いしてるわけ?」
「ん~、分かんない。学校で会うぐらいだし・・・これってお付き合いしてるのかなぁ?」
「じゃあ、チェギョンは殿下の事どう思ってるの?」
「///好きだよ。実は、小さい頃からずっと好きだったの」
「えっ、そうなの?じゃ、じゃあ殿下は?チェギョンの事、どう言ってるの?」
「急がないけど、少しずつ心の準備をして受け入れてほしいって、言ってた」
「え~、それってプロポーズじゃん!じゃあチェギョンは、今、心の準備中ってわけだ」
「・・・シン君なら良いんだけど、皇太子妃となると飛び込めないって言うか、私には務まりそうにない」
「確かに勇気のいる事だろうけど、本当に好きなら飛び込めると思うけど?私のこと知ってるでしょ?一時、親が失業し、家も無くなって、ジフ先輩の家に居候するほど貧乏な家の子だって。だから私もアイツに相応しくないとか、別れた方が良いんじゃないかとか随分悩んだよ。でもバカで横暴な奴でも、やっぱり好きだし飛び込んだよ。自分らしく頑張れば、きっと周りも認めてくれる。今は、そんな心境かな?」
「オンニじゃなきゃ、あの猛獣は扱えないってば・・・皆、認めてるよ」
「ありがと。でも中身を知らない人は、そう思わないみたいね。アイツ、外見だけは良いからね。確かにチェギョンも認めないって言う輩は出てくると思う。でも好きで、諦められないなら、飛び込みな。でないと、絶対に後悔するよ」
「オンニ・・・ずっとね、結婚しようって約束した男の子と再会して結婚することが夢だったの。だからその男の子がシン君って知って、ショックだったの。それにもし飛び込んだら、家族が窮屈な想いをするんじゃないかって心配もある。だってアッパ、自由すぎるぐらい自由な人でしょ?可哀想じゃん」
「クスクス、確かに・・・チェギョンは優しいね。でも自分の幸せを一番に考えないとダメだよ。アッパの所為にして逃げたら、アッパ傷つくよ。よく考えて」
「そうだね。何かオンニと話して、モヤモヤが晴れてきたみたい。聞いてくれてありがとう」
「いえいえ、応援してるから、頑張って」
「うん。とりあえず、今日のパーティー頑張る!」

お茶を飲み終わった2人は、着替えとメイクアップのため、別々の部屋に入って行った。

時間になり、ジフが迎えにやってきた。

「おっ、綺麗じゃん。お姫さま、そろそろ行きますか」
「は~い。オンニは?」
「ジャンディ?多分、もう先に行ってるんじゃない?一応、主催者側のパートナーだしね」
「そっか。じゃ、行こう」

店の前に停められていたリムジンに乗り込むと、中にはイジョンとウビンが乗っていた。

「へ?オッパ達、どうして乗ってるの?」
「お姫さまの晴れの社交界デビューに華を添えてやろうと思ってな・・・」
「アハハ、そんな大袈裟な・・・」
「チェギョン、顔引き攣ってる。大丈夫?」
「大丈夫じゃないかも・・・」
「大丈夫だって、ジュンピョにお祝い言うだけだし、俺たちが付いてる」
「そうだよ。いつも通り、俺たちの隣で笑ってたらいいだけ。分かった?」
「わかっらから、手はなひて」

ジフに両頬を抓まれたチェギョンは、上手く話す事ができなかった。

「クスクス、いつものチェギョンだ。さぁ、もうすぐ着くからね」

神話ホテルの正面玄関前からホテルロビーを抜け、入口正面にある大階段までレッドカーペットが敷かれ、その両サイドにはパーティー参加者を取材しようと大勢の報道陣が詰めかけていた。
記者達の目玉は、神話グループの御曹司の親友3人と親友の一人ユン・ジフの従兄妹チェギョンだ。
大きな白いリムジンが車止めに停まると、皆が一斉に注目した。
イジョンとウビンが続けて降りると、もの凄いシャッターが切られ始め、ジフがエスコートしてチェギョンを降ろすと、目を開けていられないほどのフラッシュが光った。

(ウゲッ、前見えないし・・・)

そんな中、チェギョンはジフ達3人にしっかりガードされ、顔を引き攣りながらも笑顔でその場を乗り切った。

「ハァ、凄かったね」
「今日はちょっと多かったけど、いつもあんなだよな?」
「へ?そうなの?」
「うん。いつもチェギョンは先にホテルで準備して、俺が迎えに行ってたからね」
「俺ら、芸能人じゃねぇって思うけどな、アイツらも仕事だからさ。それに今日は、プライベートじゃないしな。仕方ねぇって・・・そのうち慣れるさ」
「そのうち慣れるのかぁ・・・私もその心境にいつなれるのやら・・・ハァ」
「クスクス、この間、オペラ鑑賞の時もあんな感じだったけど?気づいてなかったの?」
「へ?うそ・・・」
「ホント。何かに集中してたら、チェギョンは大丈夫だよ」

話をしている4人はすでに会場入りしていた人たちの注目の的なのに それに気づかないチェギョンをジフ達は可笑しくて仕方なかった。
そしていつもより穏やかな笑顔のイジョンとウビン、普段笑わないジフの笑顔、その3人に囲まれ満面の笑みのチェギョンは、いつも以上に目立っていた。
パーティーが始まると、チェギョンのエスコートはジフ、イジョン、ウビンと変わっていき、その都度色々な人とにこやかに挨拶を交わした。
3人の挨拶が一通り終わったのを見計らって合流し、ジュンピョの元に向かった。

「「「ジュンピョ、お疲れ&おめでと」」」
「オッパ、おめでとうございます。それから素敵なドレス、ありがとう」
「おぅ・・・チェギョン、来てくれてありがとな。ドレス、似合ってるぞ」

ジュンピョは3人と次々にハグし、最後にチェギョンにもギュッとハグした途端、周りの女性達から悲鳴のような声が上がった。

「へ?何、何?」
「何でもねぇよ。無視しとけ。相手にすんな」
「そう、そう。それよりジュンピョ、社長にも挨拶したいんだけど・・・どこだ?」
「あ”、さっきまで居たぞ。居なかったら知らねぇ~。チェギョン、ジャンディが緊張からちょっと顔色悪いんだわ」
「あー、はいはい。一緒に外の空気、吸ってくるね」
「すまねぇ。まだ挨拶が残ってて、身動き取れねぇんだわ。頼む」
「任せといて。オンニ、行こう」

チェギョンは、ジャンディと一緒に会場を出ると、目の前にあったソファーに座った。

「チェギョン、ゴメンね」
「ううん。私も挨拶ばっかりで顔の筋肉攣りそうだったし・・・ちょっとゆっくりしよ」
「ハァ、何度経験してもやっぱ慣れないわ、この雰囲気・・・」
「クスクス、オンニがジュンピョオッパの小母さまみたいになったら怖いから・・・そのままでいて」
「アハハ・・・なりたくてもなれないから

そんな2人を報道陣が見ていることも気づかず、他愛のない会話をしていると、目の前に美しく着飾った数人の女性が立ち塞がり、ジャンディに向かって暴言を吐きだした。

「あの、失礼じゃありませんか?」
「チェギョン、私は大丈夫だから・・・」
「私が大丈夫じゃない!オンニが、貴女がたに非難されるような何かをしたのでしょうか?オッパ達に相手にされないからって、八つ当たりは止めていただけませんか?」
「///ちょっとジフさまの親戚だからって、皆さまにチヤホヤされていい気にならないで。年上に生意気な口を利くなんて、親の躾どうなってるのかしら。ホント目障りだわ」
「確かに親の躾がなっていないと言われれば、返す言葉はありません。ですが、公衆の面前で、主催者側の者に罵詈雑言を並べることは常識外れだと言う事は分かります」
「何ですって!!」
「貴女方はオッパ達の傍若無人ぶりを知らないか、知ってても注意せずに害が及ばないよう蔭から見ていただけではないですか?」
「「「・・・・・」」」
「オンニは、そんなオッパ達を真正面から間違いを正し、戦って、真っ当にしてくれた恩人です。私は小さい頃、オッパの事で祖父や父が蔭で頭を抱えていた事を知っています。だから祖父はオンニに感謝してるし、父は一目置いています・・・オンニに対する暴言、訂正して謝罪してください」
「キィ~、黙って聞いていればいい気になって・・・」

一人の女性がチェギョンに手を上げようとした瞬間、どこからか現れた女性SPがその手を持ち、後ろ手に捻りあげた。

「チェギョンさま、大丈夫でございますか?」
「へ?は、はい、大丈夫です。あの・・・」
「私どもは、皇后さまにチェギョンさまをお守りするよう命を受けた女性翊衛士でございます」
「「「!!!」」」
「皇后さまがですか?」
「はい。心配された殿下が、皇后さまにお願いされたようでございます」
「アハハ、そうでしたか。ご迷惑おかけしました」
「この者たちをどういたしましょうか?このまま放置するのは危険かと・・・」

チェギョンとジャンディが顔を見合わせて困っていると、騒ぎを聞きつけた神話グループの社長カン・ヒスを筆頭に関係者がぞろぞろと会場から出てきた。
トラブルを起こしたチェギョンは申し訳なさそうな顔をしたが、話を翊衛士から聞いたヒスは、チェギョンに頭を下げた。

「ご迷惑をおかけしました。この者たちは、こちらで対処させていただきます」
「いえ、私こそ大事なパーティーで騒ぎを起こしてしまい申し訳ありません」
「いえ、礼を言います。ジャンディさん、貴女も何を言われても堂々としていなさい。そんな事では、ク家の嫁は務まりませんよ」
「は、はい!」
「ジュンピョ、貴方がいつまでもウダウダしているから、嫌な想いをさせるんです。いい加減、ケジメをつけなさい。今日は、良い機会じゃないのかしら?」
「・・・じゃ、良いんだな?後で、ナシは許さねぇからな」
「今更、言いませんよ」
「ジャンディ、行くぞ」

ジュンピョはジャンディを引きずるように会場に入って行くと、そのまま壇上に上がり、婚約発表をしたのだった。

「クククッ、ちょっとトラブったけど、却って良かったんじゃない?ジュンピョは、チェギョンに感謝だな。一生扱き使ってやんな」
「クスクス、は~い」
「シン君にお礼言わないとね。そろそろ帰ろう」
「うん♪」

チェギョンが助けてくれた女性翊衛士達に礼を言っているのを、少し離れた所からジフは見ていた。

(あ~あ、完全にマスコミの餌食になってるじゃん!明日の新聞の見出しは、ジュンピョの婚約とチェギョンの皇太子妃決定、どっちが第一面だろ?)



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