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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第40話

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パーティー終了まで居る気がなかったジフ達は、報道陣の作る花道を再び通ってホテルを後にした。
チェギョンは、緊張が解けた所為かしばらくすると、ジフに凭れかかってウトウトし出した。
その寝顔を見ながら微笑むジフの顔には、愛しさと寂しさが入り混じっていた。
しかしすぐに頭を切り替え、目の前に迫っている問題について今すべき事を考え始めた。
ク邸に着くと、ジフは寝ているチェギョンを抱き上げ、シンがいるだろう客用のリビングに足を向けた。
リビングには、本を読むチェジュンの横でグッタリしているシンの姿があった。

「ただいま」
「あ、ヒョン。ヌナ、また寝てるじゃん。そっちに寝かせれば?」

ジフは、ソファーにチェギョンを横たわらせると、メイドにブランケットを頼んだ。
シンがチェギョンの傍に移動するのを苦笑しながら、ジフはソファーに深く座った。

「ヒョン達は?」
「もうすぐイジョンとウビンは戻ってくると思う。でもジュンピョは微妙だな。で、何でシン君はそんなに疲れてんの?遊び疲れた?」
「クスッ、体力ないくせに俺に勝負してくるからさぁ。返り討ちにあっただけ・・・ホント負けず嫌いで参ったよ」
「クククッ・・・大変だったな。シン君、SPに混じって体力作りしてる奴に勝負を挑むのは無謀だから」
「ハァ、道理で歯がたたない筈だ。あの勝手にクローゼットから服借りたんですけど・・・」
「ん?ああ、それ俺のクローゼットのだし良いよ」
「へ?ジフさんの?」
「そ。ジュンピョ、俺らの部屋と服も用意してくれてるからさ」

邸自体も桁外れだったが、その住人もシンには考え及ばないセレブぶりで唖然としてしまった。

「シンヒョン、ジュンピョヒョンだけだから。ここまでの常識外れは・・・安心していい。大体、主不在の家で勝手に遊んでても使用人が大歓迎してくれるのはここだけだし・・・俺も他の家でやったことないから」
「アハハ・・・そうだよな」
「・・・チェジュン、親父から連絡あった?」
「いや、まだねぇな。そっちも心配だけど、ヌナは大丈夫だったわけ?」
「ん~、大丈夫だ・・・とは言いにくい。ちょっとトラブった」
「「はぁ?」またジャンディヌナが、絡まれたわけ?」
「まぁね。シン君、やってくれたよね。どうすんのさ?」
「えっ、言ってる意味が分かんないんだけど・・・」
「女性翊衛士・・・皇后さまに頼んだんだって?チェギョンがバカな女に手を上げられそうになってさ、その時突然現れて助けてくれたけど?ホントに知らないの?」
「俺、朝の挨拶の時にチェギョンがパーティーに行くから心配だって言っただけなんだけど・・・」
「じゃ、皇后さまが気を利かせてくれたわけだ。でも問題は、大勢のマスコミの前だったんだよね」
「はぁ~!?ヒョン、明日、大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃない。それにジュンピョが、その場で婚約を発表したんだよね。明日、きっと大騒ぎになると思う。で、さっきからどうしようか思案中!」
「ヒョン、もっと真剣に考えなよ!」
『おっ疲れ~♪おっ、チェギョン姫は寝てるのか?』

声がしたドアの方に目を向けると、にこやかに手を挙げるチェウォンとユルが立っていた。
チェウォンは、ジフからパーティーでのトラブルを聞くと、すぐさまスマホを手に取った。

「コンちゃん?俺、ウォン。今日のパーティーの事、もう連絡いった?うん。その後のことも聞いてる?そう。じゃ、至急、陛下の名前で通達出して!『神話グループの慶事に水をさしたくない。太子の件は、まだ期が熟していない。もう少し温かく見守っていただきたい。』こんな感じで・・・じゃ、頼むよ」
「それから・・・ジフ、カン・ヒスとソン・ガンホに連絡。マスコミに圧力をかけてもらえ。チェギョンの事は表に出すな!」
「了解!」
「ピュ~。親父、やるじゃん!」
「フフン・・・チェジュン、こう見えて、アッパはやればできる子だから♪ついでにお義父さんにも頼んでおこっと♪」

呑気そうにスマホで連絡をするチェウォンを見ながら、シンはユルに話しかけた。

「ユル、そっちはどうなった?」
「ん~、事実と証拠を見せて、こっちの言い分をアジョシが話しただけ。あとは、チュンハが分かってくれたら良いんだけど・・・」
「それで、そのまま野放しにしたのか?」
「チョン議員が、前に住んでたマンションに送ってった。その後は分からない」
「・・・そっか」
「大丈夫じゃねぇの?一応、マンションの管理人室に監視カメラ付いてるし、出かけたら連絡来るでしょ」
「へ?チェジュン、何て?」
「あそこ、元々ソングループ所有のマンションだったわけ。だから管理人にユルヒョンの今のマンションの住人を据えて、24時間あの部屋の出入りを監視してるよ」

完璧な包囲網を張られていたことに シンは感心してしまい、ユルは思わず笑いが漏れた。

「ユル、どうした?」
「いや、母上はホント無謀な事を考えてたなって思ってさ。長い間、祖国を離れていて勘が鈍ったのか、世間知らずなのか、どっちにしても愚かだなって思ってさ」
「クスッ、それはずっとここで暮らしてた俺も一緒だし・・・ホント何も知らなかった」
「坊主、お前はこんな事を詳しく知る必要はないし、後日簡単に報告を聞けばいいんだ」
「は?そういう訳に行かないでしょう。皆さんが、宮の為にこれだけの事をしてくれてるのに・・・」
「そんなの、ありがとうの一言で良いんだ。それに皆、無理な事はしてない。大体、電話一本だけだし・・・宮が荒れると、政財界もややこしくなるしね。半分はビジネスだから、気にするな。それに電話代をケチるような家か、これが?クスクス・・・」
「でも・・・」
「坊主は、皆から好かれてるからと思えばいい。もし嫌な性格だったら、放置されてただろうしな」
「アジョシは?」
「俺?俺はソンジョおじさんが大好きだったし、坊主は一番弟子だし?」
「親父、抜けてるぞ。溺愛する愛娘の想い人ってやつが・・・」
「バカ息子、お前は黙ってろ!!チェギョン姫~、可愛い顔で寝ちゃって・・・今日はアッパと一緒に寝ような?」
「アジョシ、キモい。俺のチェギョンが、汚れるから止めて!」
「坊主のじゃねぇ~~!!」

周りでギャーギャー言い合ってるのに熟睡しているチェギョンを見て、皆で爆笑してしまった。

「ジフも電話終わったみたいだし・・・これからどうする?」
「俺は、ジュンピョ達をここで待つよ。今日、一滴も飲めなかったしね。でもさ、宮に戻っても大丈夫なの?」
「多分な・・・でも少しでも不安は解消する。爺さんの家に連れて行く。あそこなら、部屋も結構あるしな」
「着替えは?」
「チェジュンが取りに行くさ」
「俺かよ!?ジフヒョン、勝手に服借りるぞ」
「いいよ。好きにして」
「チェジュン、着替えを取りに行ったら、朝まで番な。で、一緒に連れてこい」
「おい、中学生に寝ずの番を押し付けるなよ!ホント人使いの荒い親だぜ。じゃ、俺、先に行く」

チェジュンが出て行くと、チェウォンはシンとユルに顔を向けた。

「今からソンジョおじさんが、よく遊びに来てた家に行くぞ。結構写真も残ってるし、見に来いよ」
「「はい!」」

ク邸の人に車を出してもらい、チェギョンはシンが抱き上げて車に乗り込んだ。

「クスッ、シン、いい加減チェギョン降ろせば?」
「ヤダ。こんなチャンス、滅多にないんだぞ」
「クククッ、どんなチャンスだよ!?」
「坊主、親の目の前で寝込み襲おうとしてる?今晩、解禁しちゃうとか・・・?」
「///そんなこと思ってないって!ホントこのおっさん、なに考えてんだ?
「何って・・・娘の貞操危機を考えてるけど?禁欲皇子でいてほしいなっとか?」
「クククッ、アハハハ・・・ダメ、可笑し過ぎる・・・」
「///ホントこのエロ親父は・・・こんな立場だからデートもできないだろ。だから2人きりになる事もほとんどない。甘えさせてやりたいと思っててもできないわけよ。寝てて分かってないかもしれないけど、俺的には甘えてくれてるって思えてさ。///もういいだろ!」
「・・・本当は坊主が甘えたいんだろ?『チン君は甘えん坊でしゅねぇ。あたちがチン君のオンマになってあげゆね』って、今でも言われたいんだろ?」
「///このクソ親父!昔の話は止めろ!!」
「ブハッ・・・シン、笑える~~w」
「///ユル、笑うな!!」
「クスッ、俺は、話だけで見たことないんだよなぁ。でも話を聞いてるソンジョおじさんが、すっげぇ楽しそうに笑ってたのは知ってる。『玉ねぎのお爺ちゃんちにお嫁に来たら、毎日チン君といられるぞ』って、チェギョンに呪文のように言ってた。あの頃、首絞めてやりたいって何度思ったか・・・ハァ」
「ククク、皇帝の首を絞めるって・・・アジョシ、普通の思考じゃないから」
「ところでさ、さっき帰り際に貰ってた紙袋、何が入ってんの?」
「ああ、これか?明日っていうか、今日の朝飯。坊主がいるから、大張りきりでいっぱい作ったらしいんだけど、帰るからさ、『是非、殿下に召し上がってもらってください』だってさ」
「何か申し訳ないですね」
「良いんじゃねぇの。あの家さ、使用人だけで、家のもんはほとんど住んでねぇし・・・シェフも手持無沙汰なんだよ。おっ、着いたみたいだな」

チェウォンに促され車から降り立つと、閑静な住宅地で広そうな敷地っぽかった。
敷地に入ると、一部2階建ての大きな家があり、庭は少し荒れていた。

「掃除はマメにしてもらってるから綺麗だぞ。遠慮せず入れよ。ああ、チェギョンはこっちの部屋に寝かせて」

チェギョンを布団の上に寝かせ、広いリビングで寛いでいると、チェジュンが着替えを置いて、また出て行った。
ユルと交代でシャワーを浴び、再びリビングに戻ると、ユルが昔の写真を見ていた。

「昔のお爺さまの写真。こんな顔、見たことなかったな」
「こんな大爆笑してるような顔、俺もないさ。でもいつもここでは、こんな顔だったんだろうな」
「そんなことなかったぞ。苦しそうに顔を歪めてる方が多かった。実際、ス殿下が亡くなった直後は、毎回泣いてたし・・・」
「アジョシ・・・」
「ここは、ソンジョおじさんに報告する場でもあったしな。王族の不正や愚行を聞くことも多々あったわけだ。ソンジョおじさんがかなり厳しく王族をまとめてたし、安心してたんだけどな。たった10年やそこらで、ここまで落ちぶれるとは思わなかった。まぁ坊主が年頃になったのもあるけどな」
「・・・アジョシ、あそこの廊下はどこに繋がってるの?」
「ああ、隣の敷地。あっちが昔体験ができる家なんだ。向こうで学生が汗水たらしてるのを、こっちの2階から見てる。笑えるぞ」
「あんたは、サドか!!」

(どこまでが真面目で、どこからがいい加減なんだ?このアジョシを理解できる事は一生ない!いや、理解したくないかも・・・)




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