Quantcast
Channel: ゆうちゃんの日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 229

イ・シンの評価 第42話

$
0
0
賑やかな朝食が終わり、チェギョンは後片付けをすると、宿題があるからと車を呼んでさっさと帰ってしまった。
シンが寂しそうに見送っていると、チェウォン達は再び肩を震わせて笑っていた。

「お前ら、笑うな!今日は、1日中一緒にいられると思ったのに・・・」
「シン、どれだけ宮を空けるつもりだよ!?」
「///クククッ、坊主、諦めろ!もう少し家族で過ごす時間をくれって・・・」
「えっ!?」
「ああ、チュンハ。シンはチェギョンを妃に迎えようとしてるんだ。ある意味、チャレンジャーだろ?」
「クククッ、確かに・・・」

再び5人はリビングに戻ると、チェジュンが買ってきた新聞全紙をくまなく目を通しだした。

「ふぅ・・・流石だな。全紙、ジュンピョの婚約だけだ」
「クスッ、シン、ちょっと残念に思ってる?」
「・・・少しな」
「勘弁してくれ!俺は、大学教授なんだぞ。少しでも騒がれないよう配慮してくれよ」
「・・・親父、ならもう少しまともな講義しろよな。面白い教授がいるって噂、高等部まで広がってるぞ」
「クククッ、アジョシ、大学では少し大人しくしてるんですね」
「ユル君、どういう意味だ!まぁ、こっちはパクおばさんが騒がない限り、俺は関知しない」
「パクおばさん?」
「ああ、皇太后さまね。俺の母親みたいな人なんだ」
「は?」
「俺のことより、チュンハ、お前、これからどうするつもり?見てて、もう坊主を殺る気はなさそうだけど?」
「そんな気は失せたな・・・こんなに明るく笑っておられるユルさまをイギリスで見たことなかった。きっとあんたのお陰だな」
「俺じゃねぇよ。周りにいる友達や仲間だろ?まぁ、娘も入ってるだろうけどな」
「俺は・・・宮内警察に行こうと思う。行って、俺のしでかした事や知っている事を全部話す」
「・・・止めておけ」
「「「えっ!?」」」

シン、ユル、チュンハの3人は、チェウォンの言葉に驚いた。

「恵政宮さまの協力者は、ある程度社会的制裁を受けてる。それにお前の告発によって、全員検挙となれば宮が揺れるだけじゃない。財界も政界も混乱を来たす。正直、得策じゃないってことだ」
「しかし・・・」
「黙って聞けって!残るは、恵政宮さまとお前だ。ユル君が帰国した時点で、送金はストップされてるから、恵政宮さまは自活するしかない。もし帰国すれば、即皇籍から外れそのまま塀の中だ。放っておけばいい。」
「・・・・・」
「ユル君、よく聞いて。今、君がイギリスに戻っても 皇族の責務を放棄したと見なされ支援はストップされる。それに君は皇族で、外交官待遇でイギリスに滞在してたから、まともな戸籍がない。外国で働くなら身分証明が必要だ。だから、外国で仕事に就くのは正直難しいと思う。もし恵政宮さまに恩義を感じてるなら、仕送りする方が良い。でも調べたけど、あの人相当金遣い荒いぞ」
「えっ・・・」
「皇族は、それほど贅沢な暮しをしている訳じゃない。歳出の大半は、職員の給料と建築物の補修に消えていく。親父の講師料、20年以上しててもマジで雀の涙だったし・・・金じゃなく名誉なんだと。名誉で飯が食えるかっつうの。話を戻すけどな、宮は少ない予算の中からイギリスに送金してたわけ。でもな恵政宮さまは協力者からも相当仕送りしてもらってた。それこそ宮の5倍ぐらい?でも貯金はゼロだ」
「!!!」
「ユル君がいくら頑張って仕送りしても焼け石に水だと思う」
「・・・僕は、その協力者のお金で生活していたんですね」
「いや、ユル君が寄宿舎生活する事を知って、学費は送金とは別にすべて宮が出してたとコンちゃんが言ってた。いくら小遣いを貰ってたか知らないが、送金以上は貰ってないと思うぞ」
「ホッ、そうでしたか」
「だから、悪いけどあまり深く恵政宮さまの事は考えるな」
「ユルさま、ソ・ファヨンに恩義を感じる事はありません。ソ・ファヨンは、欲望に忠実な女です。ユルさまを皇位に就けようと画策してたのは、自分が皇太后として君臨したいためです。あの女にとって、ユルさまはコマの一つでしかありません」
「チュンハ、言い過ぎだ!」
「いやハッキリ言って、あの女の本性を知って、母親という想いを断ち切った方が良いんだ。多分、ユルさまには、愛するあの人の息子である貴方は皇帝に相応しいとか言ってたと思います。違いますか?」
「・・・違わない。そう言ってた」
「ソ・ファヨンは、その愛する孝烈陛下の目を盗んで、色々な男を連れ込んでました」
「えっ!?」
「チュンハ、知ってたのか・・・」
「チェ・ウォン、お前も知ってたんだな?先帝陛下には報告したのか?」
「できるかよ!だが俺がいるのに気づかず、逢引きしはじめちゃってさ。途中で目が合っちゃったわけよ。あの人、逆切れしちゃって、俺翊衛士に捕まったんだ。その時、ソンジョおじさんに助けを求めた訳よ。一番、手っ取り早いからさ。で、おじさんに尋問されて洗い浚いブチまけた。俺、あの人が放棄した仕事してる最中に汚いおっさんのケツ見せられてさ、その上罰せられたら割り合わないじゃん。それで即追放が決まったんだけどな。ユル君、俺が短気起こしたばっかりにゴメンな」
「いえ、アジョシは、何も悪くないです。話を聞いて、何だか母上を気遣ってる自分がバカらしくなってきました。僕、このまま宮に残り、シンを支えていきます」
「うん、そうしな。そこでだ!チュンハ、罪の償い方は色々あるってことだ。お前の忠誠心は、宮じゃなく、ユル君にあるんだろ?」
「・・・ああ」
「今更、翊衛士に戻る事も出来ないし、裏からユル君を支えてやれよ」
「ええっ・・・!?」
「ユル君は、宮廷には住めない。そこで私設秘書の役割をしてもよし、裏から色々調べて王族を監視してもいい。間違いなく王族は、大君妃を狙ってくるからな」
「チェ・ウォン、お前は良いのか?」
「俺?俺はソンジョおじさんが死んだ時に引退してるから・・・関係ない」
「そうじゃなくて・・・俺は・・・」
「さっきも言ったろ?俺たちは同じ穴の貉だ。お前は仕えてた相手が悪かっただけだって・・・支える奴が一緒なら別に問題はない」
「チェ・ウォン、お前は呆れるほどのお人好しなのか、大バカ者かのどっちかだな」
「ひっでぇ~、俺、小さい頃は神童と呼ばれ、学生時代はずっと天才君って呼ばれてたんだぞ!」
「親父、違うだろ。紙一重くんって言われてただろ?!」
「チェジュン、お前、バラすなよ!!」
「「「ブッ、アハハ・・・」」」
「分かった。お言葉に甘えて、そうさせてもらう。シン殿下、ユルさま、よろしいですか?」
「チュンハがいてくれると、僕は心強い。シン、どう思う?宮的に大丈夫?」
「俺は、ユルが望むなら反対はしない。俺を支えてくれたら、後は好きにすればいいさ。陛下たちは、俺も言うが、アジョシに任せればいい」
「ありがとうございます。では、一度イギリスに戻り、完全に引き払ってきます」
「・・・チュンハ、会うなよ」
「分かってる。心配するな」

話がまとまり、シンとユルは安心して宮と自宅マンションに戻って行った。
そしてチュンハは、チェジュンが言っていたチェヨンの日記を チェウォンに読ませてもらえるよう頼んだ。
チェウォンは快諾し、態々チェヨンの部屋に案内してそこで読むように言い、自分は部屋を出ていった。
チュンハは、自分が載っている個所を探した。

≪ス殿下の翊衛士で良い目をした青年が配属された。ス殿下に聞けば、ペク・チュンハという名で、一番のお気に入りの翊衛士らしい。きっと彼は、ス殿下を命を掛けてお守りすることだろう。ただ少し気になるのは、ス殿下を神聖視し過ぎるのような気がする。万が一、ス殿下に良からぬ事が起これば、彼は暴走するのではないかと危惧するのは、私の老婆心なのかもしれない。まぁ、そうそう悪いことが起こる訳はないのだが・・・ス殿下が皇帝になった時、彼は陛下の真後ろで凛々しく立っている事だろう。そんなス殿下とペク翊衛士の姿が見たいと思う反面、やはり見たくないなとも思う。それは、大事な親友がこの世を去った事を意味するからな。これは、想像するだけにしておこう≫

≪残念だが、ユルさまを守る事が出来なかった。母親の所為で、全てを失ったユルさまが不憫で仕方がない。せめて手元に引き取り、私が育てたかった。しかし今の状況では不可能なのも十分理解できる。ソンジョが苦渋の決断を下したことに私が異議を申し出る権利はない。ス殿下の結婚をもっと反対すれば良かった。今更ながら、後悔がつのる≫

≪あのペク翊衛士が、突然辞職した。きっとユルさまを追って、イギリスへ行くつもりなのだろう。ペク・チュンハ、どうかユルさまをあの母親から守ってくれ。そして正しい道に導いてやってほしい。そう願うしか、今の私にはできない≫

チュンハは、日記を読みながら涙を流していた。
どのくらい涙を流して、ボーッとしていただろう。突然、ドアが開き、チェウォンが顔を出した。
そしてなにも言わず、もう一冊ノートを差し出し、部屋を出ていった。
何も考えず、ノートを開き、読んだ瞬間・・・吹き出した。それは、面白ネタ帳だった。

(やっぱりシン先生は、あの男の父親に間違いない!)

ふと机の上に置いてあるノートに目がいった。
チュンハは、気づくと目の色を変え、一心不乱にそのノートを読み出したのだった。







Viewing all articles
Browse latest Browse all 229

Trending Articles