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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第44話

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理事長室に戻った後、ジフは、映像科の3人に教室にある自分の写真、美術科の3人にはスケッチブックを持ってくるように指示した。
そしてコン内官には、チェギョンとガンヒョンの満点の答案を渡し、残りの採点を頼んだ。
チェギョン達が戻ってくると、ジフは理事長室の隣にある防音室に連れていった。

「チェギョン、指ならしね」
「へ?」
「面接時、音楽科志望の学生たちの前で弾いてもらう」
「何でよ」
「さっき最低ラインは、この6人って言っちゃったし・・・評価の基準になって。今度は、俺も付き合うしさぁ。ね?お願い」
「もう美術科の私が何で・・・オッパも趣味程度じゃん。本当に私達で評価の参考になるの?」
「うん。ちょっと甘々かもね」

仕方なく指ならしを始めたチェギョンの横で、ジフがバイオリンのチューニングを始めた。
初めは心配そうに見ていたシン達だったが、2人が演奏をし始めると思わず聞き入ってしまった。

「クスッ、これで音楽科志望の学生は全滅よね。あの2人に敵う人なんて、プロしかないじゃない」
「ガンヒョンは、知ってたのか?」
「カン・イン、何度言ったら分かるのかしら?私は、あの2人と親戚だって・・・オッパは、子どもの頃はコンクールに出る度に賞は総取りだったらしいわ。確か、ピアノも弾けるわよ。前に連弾見たことあるし」
「「・・・すごい」」
「チェギョンは、ちょっと可笑しな家の箱入り娘だしね。勉強の気分転換でオッパにピアノ習ったんだって
「凄いね。話さなければ、深窓の令嬢でも通用しそう・・・」
「ホント残念よね。シン家のDNAが邪魔しちゃうのよ」
「「「プッ・・・クククッ・・・・」」ガンヒョン、面白すぎ・・・」


面接の時間の少し前、理事長室に美術科・映像科・音楽科の主任教師が呼ばれた。

「お聞きになっていると思いますが、あまりにも教育実習の申し込みが殺到しましたので、午前中選抜テストを行いました。残念ですが、必修科目志望の学生は散々な結果でしたので不合格にしました。これから専門科目志望の学生を面接しますが、あなた方にも協力していただけます。テスト前に最低ラインは、映像科のイ・シン、カン・イン、リュ・ファン、美術科のイ・ユル、イ・ガンヒョン、シン・チェギョンだと言ってしまいましたので、評価の基準は彼らでお願いします。ここに6人のフォトアルバムとスケッチブックがあります。どうぞ参考にしてください」
「あの音楽科志望の学生の基準は、どうされますか?」
「美術科で申し訳ないですが、シン・チェギョンと僕が基準でお願いします。後で、演奏します」

生徒たちの実力を知っている映像科と美術科の主任教師は、苦笑するしかなかった。
音楽科の主任教師も チェギョンは未知数だが、噂でジフのバイオリンの腕前の事は聞いている。

「理事長、かなりハードルが高いですよね。ハハハ・・・」
「生徒より実力がないのに どうやって何を教えるんです?ここは、教育の場です。遊びじゃないですから・・・さっきの選抜テストの結果を見れば、僕の言っている理由が分かる筈です」

そう言って、採点した答案用紙を教師たちの目の前に置いた。

「因みに6人は、1人は95点でしたが、他の5人は満点でしたよ。良くて80点台、酷いのは20点ですからね

答案を見た教師たちは、唖然としてしまった。

「芸校を舐めているとしか思えないでしょ?これでも必修教科志望の学生は教職課程を取っている子限定に絞ったんですけどね」
「ホント酷いですね・・・」
「履歴書を見る限り、イ・シン君の妃か僕の妻の座狙いの学生たちが混ざっていると判断しました。おそらくこれから面接する学生にもいると思います。どうか厳しい目で面接してください。一人でも受け入れると、学校の風紀が乱れます。公私混同しそうな学生は、バッサリと切り捨ててください。もし学生の親から圧力が掛かったなら、即報告をしてください。僕が返り討ちにしてさしあげます」

主任教師たちは、教育者として不届きな考えを持つ学生を許せなく思い、厳しい目で審査しようと誓った。


数時間後、面接が終わった主任教師とジフは、グッタリとソファーに腰をおろしていた。

「本当に酷い学生が多かったですね」
「教育実習を受けさせて、育てたいと思われる学生はいましたか?」
「映像科は、この男子学生一人でしたね」
「美術科は、あの3人を基準にしてしまうと誰も合格にできません。強いて言うなら、この女生徒でしょうか?」
「音楽科は、見事全滅です。特にピアノ専攻の学生は酷かった・・・」
「ああ、あの子たちは全員、そこそこの会社の令嬢ですよ。家や大学で嗜み程度にピアノを習っていたって感じじゃないですか?まぁ、俺もチェギョンも同じですが・・・」
「あっ、それです。美術科のシン・チェギョンのピアノの腕前は凄かったです」
「チェギョンは、僕が時間のある時に教えただけで本格的に習った事はないですよ。一応、ご令嬢に配慮して、ピアノのハードルは下げたんですけどね。ホント最悪でしたね」

ジフは何気なく話したが、音大の学生が聞けば再起不能になるに違いないと内心思った3人だった。

「コンちゃん、お疲れ。これも報告して、対処してね」
「かしこまりました。報告し、至急王立学園の内部調査をいたします」
「・・・調査だけじゃないよね?」
「勿論でございます。王立学園大学学長は更迭することになると思います」
「そ、じゃあいい。大学の事なら、親父が何か掴んでるかもしれないよ。一度、聞いてみたら?」
「えっ!?」
「前にさぁ、チェギョンが大学の資料を見てた時、王立は金を溝に捨てるようなもんだから選ぶなって言ってたよ。シン君、本当に通わせる気?その辺りもちゃんと考えてあげなよ」
「・・・私の一存では何とも・・・ですが、貴重なご意見、陛下に必ずご報告させていただきます。では、私はこれで失礼いたします」

コン内官は一礼すると、勝手口の方から出ていった。

「理事長、あのコンちゃんという方は・・・?」
「ああ、宮の侍従。以前は、先帝の爺さんに付いてたけど、今はシン君の専属みたい」
「えっ!あ、あの・・・今、先帝の爺さんと仰いましたよね?」
「言ったけど?チェギョンの爺さんと親父、ソンジョおじさんと酒飲み友達でね。そこに俺と爺さんがよくお邪魔してたわけ。因みにシン家の死んだ爺さん、全盛期の王立学園大学学長だったけど、バカだったよ。親父はもっと輪をかけた変人だしね」
「輪をかけた変人とは・・・」
「ん?ソウル大学で最年少で教授になった天才らしいけど、ホント紙一重って言葉はあの人の為にあるような人。頭がキレるっていうけど、あの親父の場合は頭の線が何本も切れてるよね」

(シン・チェギョンは、普通の明るい子だと思ってたが、めちゃくちゃサラブレットじゃないか・・・しかし気になる、シン・チェギョンの変なお父さん)


主任教師が職員室の戻っていくと、ジフはスマホを手に取った。

「お疲れ様です。ユン・ジフです。お手数ですが、先日の創立記念パーティーにハン流通グループからは誰が出席したか調べてもらえませんか?それと2年前まで神話学園に在籍していたハン・ジョンジェの事も合わせてお願いします。はい、できれば至急。では、お待ちしています」
「ウビン?俺。悪いけど、ハン流通グループの二男調べて。性格、交友関係、素行、あらゆる角度で全部。今度、教育実習を受け入れることになった。不安材料は、潰しておきたい。至急、お願い」

ジュンピョの秘書とウビンに連絡し終えたジフは、一枚の履歴書をジッと見つめた。

(気のせいだといいんだけど、何か引っかかるんだよねぇ~・・・)


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