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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第46話

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その後、王族の圧力に負けた大学の学長や教授たちの解任、圧力をかけた王族の処罰が決定したが、宮は新学長の選任に頭を悩ますことになった。
陛下も最長老と毎日顔を突き合わせて相談するも 良い解決法は見つからなかった。

「陛下、こうなったらシン・チェウォンに相談するしかない」
「しかし・・・コン内官が学長を打診したら、即断されたようです」
「クククッ、当たり前じゃな。あやつはチェヨンと違う。豪快のようで繊細。蔭でコソコソする方が向いておるわ。あやつが信頼する奴を据えれば、放っておいても蔭からそやつを支えるじゃろうて」
「では、参内を促しましょう」
「陛下・・・一体、チェヨンから何を習いおった?チェウォンに命令するおつもりか?」
「えっ!?」
「それに普通に呼び出しても来んだろうの。幼き頃より出入りしていた故、出入りできる事を名誉だと思っておらぬからの」

陛下は、皇太后が呼び出す為に ホームページを使うという荒技を繰り出した事を思い出した。

「では最長老、どうすれば・・・」
「こちらがお願いする立場なのじゃ。『アポを取って、こちらからお願いに上がる』。これが人としての常識というものじゃ。チェヨンは、そう言った事をしっかり教えた筈じゃが?先帝は、いつも出向いてお願いされとったぞ。親しき間にも礼儀ありと言ってな」

ヒョンは、幼き頃より学んだ大事な教えや謙虚さ思い出し、己の未熟さを恥じ入るばかりだった。

「そうでした。父上のように皇帝らしく振舞わなければという想いが、シン先生の教えを忘れ、謙虚さを失くし、知らず知らず傲慢になっていたのかもしれません」
「分かればいいんじゃ。陛下が会いに行く時は、儂も同行しよう。決まったら、日時を教えておくれ」
「はい。色々とありがとうございました」

陛下は、コン内官を呼び出し、チェウォンと会えるようセッティングしてほしいと頼んだ。
コン内官が連絡を入れると、チェウォンはしばらく考えた後、渋々応じた。
陛下は、コン内官の案内で、最長老と共に シン・チェヨンの家に向かった。

「どうぞこちらでございます」
「すまぬ」
「ウォン!陛下のお越しだ。出迎えんか!」
「コンちゃん、煩い。いらっしゃい。何もお構いできませんが、どうぞ」

背後から声を掛けられて、陛下たちは驚いて振り向くと、チェウォンが立っていた。

(まったく気配を感じなかったぞ!?)

チェウォンに案内され、最長老と陛下はリビングに入ると、ソファーに座った。

「アジョシ、久しぶり~。まだ生きてたんだなぁ。憎まれっ子世に憚る、そのまんまだな」
「クククッ、お前のその毒舌も変わらんな。相変わらず、バカしとるそうじゃの」
「大きなお世話だっつうの!で、今日はなに?アジョシと陛下が一緒にお出ましって、俺、緊張するんだけど?」
「お前に頼みがあっての」
「俺に?誰の頼み?アジョシ?じゃ、何で陛下が来たわけ?」
「申し訳ない。私が、チェウォン氏に頼みたい事があって連れてきてもらったんだ」
「そうでしたか。では、どんな頼みですか?」
「実は、王立学園の学長を解任することになったのだが、後任人事に頭を悩ませている。誰か適任者を知っているなら教えていただきたい」
「あのさぁ・・・『すまぬ』じゃなくて『ありがとう』でしょ」
「えっ!?」
「来て最初の言葉。コンちゃんが『こちらでございます』って言ったら、『すまぬ』って言ったよね?世間一般では、『すまぬ』は『ごめんなさい』だから・・・・昔言葉を使うなら、『かたじけない』?」
「クククッ、確かに間違ってはおらぬな。チェウォンは相変わらずだのぉ」
「当たり前。俺、これでも大学教授だからね。特に神話に行ってからは、言葉遣いは気をつけて注意してる。バカな金持ちの学生が多くてね、礼儀もクソもないんだわ。まさか陛下に注意するとは思わなかったけどね」
「///・・・・」
「で、陛下、何で俺に頼むわけ?」
「それは・・・」
「どうせアジョシに言われたからとかでしょ?公務に行けば、色々な学者とも出会うでしょ?俺よりそういう人たちに相談すべきじゃないの?色んな学者の意見を聞いて、それを参考に決めればいいじゃん」
「・・・・・」
「ハァ・・・生い立ちもあるんだろうな。親父がね、皇族の二男は反抗期がなかったって心配してたんだ」
「おい、チェウォン。全く理解ができん。もっと分かりやすく話をしろ」
「陛下は、昔からソンジョおじさんや周りの人に言われた事をそのまま受け入れてきたよね?良く言えば、素直で従順。でも悪く言えば、自己主張のない、流されやすい性格でもある。多分ね、自分で考えて行動するのが苦手だと思う。何も言わなくてもアジョシや周りが動いてくれるからね。違う?」
「・・・・・」
「相変わらず手厳しいのぉ・・・」
「だから子どもの頃の反抗期は大事なんだよ。親からの自立の一歩だからさ」
「チェウォン、お前だって反抗期なかっただろ?」
「多感な時期、反抗するほど顔合わせてないから。て言うか、俺、自立しなきゃ生きてこれなかったしね。何よりチョンちゃんが悲しむようなことはしたくなかったと言うのが本音」
「ある意味、他人の顔色を見て育ってきたからのぉ、お前は・・・」
「フフ・・・話を戻すけどね、俺、ソンジョおじさんに陛下の暗行御吏にと頼まれたけど断わったのはそこだった。きっと俺が意見を言えば、陛下はすべてその通り動くんじゃないかと思った。これって危険だよね?蔭から、俺が宮を操ってる感じでさぁ」
「・・・多分、そうだったと思う。自分で考え、指示を出すより周りの意見に従う方が多かったように思う。でも今回は、切羽詰まっているんだ。どうか適任者を教えてもらえないだろうか?」
「無理!若輩者の俺が、王立の学長の指名なんてできるわけないでしょ・・・王立に嫌気をさして辞めてった教授を何人かお教えしますから、その人たちと相談して。ホントそれで勘弁して。ちょっと待ってて」

チェウォンがリビングを出ていくと、最長老はクスッと笑った。

「流石じゃのう。あやつは、しっかり陛下に苦言を呈しおった。皇族に遠慮なくハッキリと間違いを正せる一般人は、あの父子だけじゃろうの。チェヨンなんぞ、先帝の頭を叩いて叱っておったわい。王族でもあそこまではよう出来ぬし言わぬ。度胸が据わっておるのか、ただのバカなのか、クククッ・・・」
「・・・目が覚める想いをしました。ずっと己が思っていた事を指摘された気分です」
「そうか・・・あやつに会って、開眼できるとは陛下は奇特なお方じゃの。クククッ・・・」
「・・・最長老、太子が大学を卒業する頃、譲位したいと思います」
「陛下?それは早計ではないかの?」
「いえ、私は皇帝の器ではないのです。ただ父上の血を継いだだけ。皇族の意義を履き違え、義務を怠った結果、一部の王族が腐敗していったのでしょう」

最長老が渋い顔をしていると、チェウォンがリビングに戻ってきた。

「あれ?アジョシ、どうかした?」
「・・・お前の所為じゃ」
「は?何のこと?」
「陛下が、大きな決断をされようとしとる。お前が何とかせい!」
「大きな決断?・・・ひょっとして、皇帝を辞めたいとか?」
「「!!!」何で、それを!?」
「俺と陛下って、真逆のようで似てんだよね。学者肌で、どちらかと言うと裏から誰かを支えるタイプなんだよ。ただ同じ文献を読んでも陛下はなるほどとすぐに納得をしてしまうけど、俺は本当かどうか体験したり、試してからじゃないと納得しない。多分、その違いだけ」
「その違いが大きいんじゃないのか?」
「そうか?皇族が俺みたいに落ち着きがなかったらダメだろうが・・・それで良いんじゃないの?でも少しでも疑問に思えば、信頼できる侍従や人を使って調べさせればいい。ソンジョおじさんは、そんな感じだったよ。あのジジイ、ほんと人使い荒かったし・・・特別報酬くれよと言ったら、拳骨だしな」
「ゲンコツですか・・・私は貰ったことがないです」
「俺も欲しくなかったです!」
「グハッ・・・お前が、『王の女を一人まわせ』などと言ったからだろうが。先帝が、苦笑いしておったぞ」
「えっ?!」
「・・・俺、ホント遅いけどあれが初恋だったんだよね。で、どうしてもデートしたくてさぁ、明善堂で法度が書いてある文献を読んでたから、『宮で働く女性は、全員王の女なんだろ?一人俺に貸して』って言ったんだよね。親父と2人に殴られて終わりだったけど・・・ホント可愛かったんだ」
「その後、しばらく雲隠れしたと思ったら、突然結婚して戻ってきたではないか」
「よく覚えてるね。それに雲隠れじゃないし・・・親友が死んだからさ、親友の忘れ形見の世話をしてたんだ。で、どうしてもその子が放っておけなくて、妹のように思ってる親友の妹と結婚したんだ。あっ、誤解のないように言っとくけど、今は愛する奥さんだよ。可愛い子どもも2人授かったし幸せだよ」
「「・・・・・」」
「そんなマジな顔しないで2人とも。でもさ、女官は王の女じゃなく、皇族の女だったよね」
「「は?」何の話だ?」
「いや、こっちの話。はい、これ。王立を辞めてった教授や准教授の連絡先。後は、俺、ノータッチだからね。俺に振らないでね」

何か話をはぐらかされた気はしたが、当初の目的である解決の糸口を見つけたので、陛下と最長老は宮へと戻って行った。

(久しぶりに思い出しちゃったな。でもあの頃、本当に好きだったんだよなぁ・・・ミョンちゃん)



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