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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第47話

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教育実習が始まり、映像科に一人、美術科に一人、実習生がやってきた。
2人とも明るく、熱心に指導するので、生徒たちの間では兄や姉のように慕われるようになっていた。
ジフは、それでも気になるのか、今までしなかった校内の見回りを頻繁にしていた。

(う~ん、大きい問題はなさそうだよね。でも2人とも何か気になるんだよねぇ~・・・何なんだろう?)

訝しく思っているのは、ジフだけではなかった。
シンとユル、そしてガンヒョンも実習生を少し不審に思っていた。

「ユル君、教育実習のキム先生、どう思う?」
「どうって・・・やっぱりガンヒョンも気づいてたんだ?やけにチェギョンを見てるよね」
「やっぱりそうよね。チェギョンは、鈍感だから気づいてないけど、気になるのよ。たまに食い入るように見てるでしょ?」
「でもそれ以外、何の問題もないよね。優しいし、分かりやすく丁寧に指導もしてくれるしさ。良い先生だよ」
「そうなのよ。だから悩んじゃって・・・」
「ジフさんに相談する?そうかシンに頼んで調べてもらうか・・・」
「殿下に頼まなくても オッパが採用前にしっかり身辺調査してると思うけど?」
「だよね。問題なかったから採用されたんだろうしね。今日さ、アジョシの講義の日なんだ。アジョシにそれとなく言ってみるよ」
「お願いできる?」
「うん、任せといて」

学校が終わり、ユルが帰宅してすぐ、マンションのコンシェルジュから連絡が入った。
ユルは、そのまま通してもらうよう伝えると、数分後にシンが部屋に訪問してきた。

「シン、いきなりどうしたの?」
「お前がどんな部屋に住んでるのか気になってたから、見学しにきた。それと今日、アジョシが来る日だろ?ちょっと会いたかったんだ」
「そっか。じゃコーヒー淹れるからさ、適当に座ってて」
「サンキュ」

2人並んでコーヒーを飲んでいると、チェウォンが講義の為やってきた。

「おっ、坊主。どうしたんだ?ひょっとして俺が恋しかったか?」
「それは、まったくない!でも話があったから、待ってた」
「シンもなの?実は、僕もなんだよね」
「・・・嫌な予感しかしない。とりあえず、俺にもコーヒーちょうだい。それから話を聞く」

ユルに淹れてもらったコーヒーを飲みながら、チェウォンは2人の話を聞いた。

「何で俺に相談すんだよ。学校の事はジフに言えって!」
「ジフさんなら、徹底的に調査してから採用してますよね?でも気になるから、とりあえずアジョシに相談しようとガンヒョンと相談して決めたんです」
「げっ、ガンヒョンが噛んでんの?じゃ、真面目に取り組む。今、ジフ、呼び出すから待って。で、坊主も同じ教生?」
「いや、俺は、もう一人の映像科の先生」
「ふ~ん。2人とも怪しいって・・・アイツ、勘鈍ったのか?ちょっと待ってろ」

チェウォンから連絡を受けたジフは、30分もしないうちにマンションにやってきた。
シンとユルの2人を見た瞬間、ジフは勘は当たってたと確信した。

「お待たせ。話って、映像科の教生の先生の事だよね?」
「何だ、分かってたのか?実は、美術科の先生も気になるみたいだぜ」
「えっ、そっちは想定外。マジ?」
「ガンヒョンも気にしてるらしいんだ。おじ様として良いところ見せたいから協力する。履歴書とか持ってきたか?お前なら報告書もあるんだろ?見せろ」
「報告書は、ハン・ジョンジェのしかないよ。面接の時、気になってすぐに調べてもらった。はい、これ」

チェウォンは、その報告書と添付してある写真を見て、頭を抱えた。

「ハァ、マジかよ」
「アジョシ、分かったの?」
「・・・坊主、チョンちゃんに連絡取れるか?繋いだら、俺に貸せ」
「あ、うん」

シンは、スマホで最高尚宮のナンバーをタップすると、チェウォンに手渡した。

「チョンちゃん、俺、ウォン。あのさ、俺が大好きだったミョンちゃん、覚えてる?」
「うん、それは知ってる。ミョンちゃんと仲の良かった子いたじゃん。確か、ハンちゃん。まだ宮にいるの?」
「へ~、凄い頑張りやだったんだ。悪いけど、ハンちゃんに会いたいんだけど、会わせてくんない?」
「うん・・・昔、放棄した案件なんだ」
「・・・じゃ、頼んだよ」

通話を切ると、シンとユルはチェウォンに詰め寄った。

「すまない。まだ言えない。とりあえずチョンちゃんに会ってから、映像科の教生と話す。こっちは俺に任せて」
「アジョシ!!」
「そんな大きな声、出さなくても聞こえてるって。これは、俺とチョンちゃんが解決する問題。だから口出し無用。ちゃんと時期が来たら話すから、賢く待ってな」
「・・・絶対だな?」
「俺は坊主には嘘吐かない。信じろ!」
「分かった。信じる」
「で、美術科の教生は、履歴書だけじゃ分かんないな。唯一、気になる個所は、ここだな」

チェウォンが指差した所は、履歴書の賞罰の欄だった。

「これ。チェギョンが特別賞もらったコンクールなんだよね。彼女、それで銀賞獲ってるね。チェギョンとの接点ってこれぐらいだと思うけど?」
「「!!!」」
「流石、アジョシですね。たったこれだけの情報で、接点を見つけるんですから・・・」
「ユル君、俺、これでもチェギョンのこと溺愛してんだけど?このぐらい知ってて当然!」
「じゃ、娘を溺愛している親父に聞く。娘は進学どうするつもり?」
「・・・ジフ、嫌い」
「やっぱり親父にも何も話してないんだ。アイツ、どうするつもりだろ?シン君、一度聞いてくれない?」
「何で、坊主に言うんだよ!?俺が聞く!絶対に一番に聞くからな!!」

凄くできる人なのに娘のことになったら、なんて大人げないんだと、ユルは苦笑してしまった。

「まぁ、心配はしてないんだ。ジフもそうだけど、器用貧乏ってやつで、ある程度は苦労せずに何でも器用にこなす奴だし。好きにすれば良いさ。俺的にはチェジュンの方が心配だし・・・」
「何で?アジョシに似ずにしっかりしてると思うけど?」
「アイツ、肩書きが多すぎんだよ。ジフでさえ、政治家になるのか?それとも医者か?と散々言われて育ったわけだ。何で他人が口出しするんだ?って話なんだが、マイペースなジフでさえイラッとしてたもんな。チェジュンはジフ以上の肩書きを持ってる。それが邪魔して、職業の選択に幅はない。アイツを雇う企業なんてきっとないだろうな」
「だね。俺は、紆余曲折の末、医者になったけど、学生の頃はホント嫌だったし。チェジュンも政治家、医者、大学教授、文化財団理事、この4つ以外は無理だね」
「まぁ、坊主やユル君には、4つもあれば贅沢だと思うだろうけどな。さぁ、俺、もう行くわ」

チェウォンは、3人を残してさっさとマンションを出ていった。

「クスッ、アジョシも道は一つしかなかったからね。息子には、好きな道を進ませたかったのかもね」
「「えっ!?」」
「でも何なんだろうね。ミョンちゃんて、親父の初恋の人らしいよ。ソンジョおじさんに『王の女を一人俺にくれ』って、直談判して殴られたって、昔、笑い話で聞いたことあるんだよね」
「はぁ?アジョシ、頭おかしいんじゃない?」
「シン君、今更・・・十分、おかしいから」

不安を隠すかのように 3人は笑いあい、冗談を言い合うのだった。



翌日、映像科の野外撮影の時間、校庭にチェウォンの姿があった。



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