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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第49話

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教育実習生の件が何事もなく解決し、実習期間が終わる前日、イギリスからチュンハが帰ってきた。
チェウォンは、チェヨンの家を管理を頼むとチュンハに住まいを提供した。そしてやっと重い腰を上げた。
翌日、チェウォンは、朝から大忙しだった。
秘密の通路から宮へ潜入し、慈慶殿へ向かうと、最高尚宮と打ち合わせをする。

「ウォン、隠れても無駄じゃ。何をチョンとコソコソしておる」
「あはは、パクおばさん、お邪魔しています。チョンちゃんに会いたくて来ちゃった♪」
「ウォン・・・2人して何を隠しておる?私に知られたくない事か?」
「・・・ゴメン。今は言えない。でも今日の夕方、チョンちゃんと宮を抜け出してほしいって頼みに来たんだ。ダメか?」
「抜け出して、どこに行くのじゃ?」
「親父の家。最近、管理人を置いたから、外観はイマイチだけど中は綺麗だぞ」
「それは構わぬが・・・」
「サンキュ。じゃチョンちゃん、あとお願い。俺、行くね」

用はすんだのか、一目散に慈慶殿を出ていった。

「チョン、一体、今日は何があるのじゃ?」
「それは、夜までのお楽しみでございます。では私も準備に入らせていただきます」

(ウォンめ、急に言いだしおって・・・尻拭いは今も変わらず私の役目とは・・・ウォンは変わらぬなぁ。そうだ、念のために気つけ薬も用意しておいた方が良いかもしれぬな)

宮を飛び出たチェウォンは、次は芸術高校の理事長室に向かった。

「親父、もう解決したのに今度はなに?」
「今晩、爺さんの家で教育実習無事終了の打ち上げをする。2人を連れてこい
「はぁ?何で打ち上げを親父が主催するんだ!?」
「したいから♪坊主にユル君を連れてくるように言っとけ。俺はチェギョンを連れていく」
「・・・話すの?」
「話す。乱暴かもしれないが、いつまでも黙ってられないだろ?昔からユル君は愛情に飢えた子だった。肉親がいるということはきっと精神的支えになると思う」
「分かった。協力するよ」
「サンキュ。じゃ俺、晩飯の用意しに一旦帰る。後でな」

嵐のように去って行ったチェウォンを 呆れた目でジフは見送った。
定刻で、教育実習過程がすべて終了した2人は、理事長室に最後の挨拶に向かった。

「「2週間、ありがとうございました。」いい勉強になりました」
「そ?じゃ、荷物持って。行くよ」
「「へ?」」
「俺のバカな叔父が、あんたらの打ち上げするって張り切ってる。行くよ」
「は、はい!」
「・・・あの、それはもしや・・・」
「当たり。あの変人。覚悟してて、かなり強烈キャラが集まるからさ」

ジフは、裏口の停めていた外車に2人を乗せると、車を発車させた。

「ハン先生は、理事長の叔父さまをご存じなんですか?」
「あ、うん。一度お会いして話をしたんだ」
「へぇ~。叔父様もイケメンでした?」
「タイプは違うけど、結構男前だったかな?」
「ブハッ・・・ちょっと事故るから、バカなこと言うの止めて!ただの変態顔だから・・・先に言っとく。叔母が父の妹で俺とは血が繋がってないから一緒にしないで」
「は、はい」
「あの、一つ質問して良いですか?あの時、韓国史の教授と聞いたのですが、本当ですか?」
「ホント。ソウル大の教授だったけど、今は神話学園大の教授してる。因みに爺さんは、王立学園大学の学長まで務めた儒教学者。でも爺さんも相当変わった人だった」
「ハァ、凄い人だったんですね」
「ハッキリ言っていいから、紙一重みたいな人だって・・・事実だし。ところでそっちの人に誰か教えた?」
「いえ・・・あのさ、今話してた人って、美術科のシン・チェギョンのお父さんなんだ」
「え~~!!!」
「あんた、煩い!ホントに事故るよ。家に着いても大きな声出さないで。閑静な住宅街だし。分かった?」
「はい、スイマセン」

家に着くと、ジフは何も言わず、2人お構いなしにどんどんと家の中に入って行く。
2人は、緊張しながらも家の中に入り、声のする部屋を目指した。

「「!!!」」

リビングには、ジフのほかにチェウォンとチュンハ、そしてシンとユル、チェギョンがいた。
2人は、別の意味で皇族がこの家にいることに驚いてしまった。

「いらっしゃい。2週間、お疲れさま~♪」
「お、お招き頂きありがとうございます」
「はじめまして、美術科で教生をしていたキム・ソヨンです」
「うん、ハン先生に聞いたんだ。チェギョン、向こうの家に色々用意しておいた」
「は?何を用意したって?」
「模造紙と墨と筆、それから特別に中学の時の体操服も用意しておいた」
「はぁ?何、それ?」
「キム先生が水墨画を描くコツを知りたいんだってさ。晩飯になったら呼ぶから、それまで向こうで一緒にお絵描きして来い」
「電気点けるから、ブレーカー上げといて」
「了解!」
「キム先生、ここにいたらバカが移りますよ。あっちに行きましょう」
「え、ええ」

キム・ソヨンは、チェギョンに手を引かれ、隣の棟へ続く廊下に消えていった。
それを見送ったジョンジェは、見知らぬ男性が自分をジッと見ている事に気づいた。

「ウォン、どういうことだ?説明してくれないか?」
「ん~、ちょっと待って。もう一人、客が来るんだ。その人が来たら話す。ジフ、五味茶(オミジャ)淹れて」
「ん」
「アジョシ、ひょっとしてユン・ソギョン元大統領が来るの?」
「爺さん、会合って言ってたから違う。あの人、医師会とか政治家の勉強会とか、結構忙しいからね」

ジョンジェは錚々たるメンバーに委縮していたが、ユルと目が合うとまた緊張度が増してしまった。

「ハン先生でしたっけ?美術科のイ・ユルです。宜しくお願いします」
「あ、うん。よろしく・・・」
「クスッ、シンがいると緊張しますか?チュンハ、おかえり。戻ってんだね」
「ユルさま、これから宜しくお願いします」
「うん、宜しくね。。。あの人に会った?」
「・・・いいえ。少し離れた所から家を見ましたが、支援者がいなくなった所為か少し寂れた感じがしました」
「そう・・・あの人は罪を冒し過ぎた。このまま一人で最期を迎えるのかもね。自業自得」

ジョンジェは、淡々と母親の死期について話しているユルに驚いてしまった。
その時、玄関から女性の声が聞こえてきたと思ったら、リビングの扉が開いた。
皇太后と最高尚宮だった。

「「皇太后さま!」」
「おや、シンもユルも来てたのね。私もチェウォンに呼ばれたのよ。一緒に夕食をしようって・・・あら?」

皇太后もまたジョンジェの顔を見て固まり、チェウォンに答えを求めるように顔を見た。

「パクおばさん、それにチュンハ、黙っててごめんな。2人の想像通りだよ」
「「!!!」」

チェウォンがそう告げると、皇太后はジョンジェに近づき、ポロポロ涙を流しながらギュッと抱きしめた。

「ユル君、ハン先生は君の兄だ」
「えっ!?」

予め用意していたアルバムを開くと、一人を指差した。

「この人が、2人の母親のミョンちゃん」
「・・・僕に似てる」
「うん。だからハン先生は、ユル君を見てたんだ。で、これが孝烈殿下。ユル君の父上。ユル君、彼の顔を見て」
「あっ・・・!」
「そういう事なんだ。どう説明したら良いか分からなかったから、今まで言えなかった。ゴメンな」
「・・・いいえ。お気持ちは分かりますから・・・すいません。まだ頭が真っ白で・・・」
「うん。真相は、2人ともいないから誰も分からない。でも2人は、間違いなく同じDNAを持つ兄弟だ。その事実だけは、受け止めてほしい」
「はい。教えていただいてありがとうございます」
「うん。パクおばさん、そろそろ離してあげなよ。彼、固まったままだよ」
「ああ、すまぬ。取り乱してしもうた。ウォン、どういうことか教えておくれ」
「うん。そのつもりで呼んだんだ。でもその前に言っておく。彼を絶対に宮に巻き込まないで。好きな道を選ばせてやって」
「ウォン・・・」
「良いじゃん。一人ぐらい自由に飛び回っている孫がいてもさぁ・・・今更、坊主のような生き方は、彼にはできないって。な?」
「アジョシ、悪かったな。窮屈な生き方で・・・」
「バ~カ。お前は、俺が窮屈な宮での楽しみ方を色々教えてやっただろ?だから大丈夫だ」
「ウォン、シンの事は良いから、早く話さぬか!」
「はい、はい」

チェウォンは、屋上でジョンジェに話したことを再び話して聞かせた。
皇太后とユルは、最後まで涙を流しながら話を聞いていた。

「そうか・・・イ・ミョンイ女官だったのか・・・」
「そっか、チュンハは、一番彼女を知ってるよな?パクおばさん、彼、ス殿下付きの翊衛士だったペク・チュンハ。ス殿下が亡くなった後、職を辞めてユル君に仕えてくれてたんだ」
「おお、そうだったのか。礼を言う。ファヨンは、きっと子育てなどできなかっただろうからの。そなたのお陰じゃ」
「いいえ、そんな畏れ多い・・・」
「チュンハ、2人はミョンちゃんの事を知らない。どんな人だったか教えてやってよ」
「ああ。イ・ミョンイ女官は、明るくて笑顔の可愛い女官だった。何をするのも一生懸命で、見てて微笑ましかった。東宮殿の癒しのような人だった。尚宮さまからも可愛がられ、正直、ファヨン妃とは対照的な存在だった。だからファヨン妃によく当たられていた。理不尽なことで罵倒され、可哀想に思ったほどだ。ある時、罵倒する声を殿下が耳にされた。それからだ、口喧嘩が絶えなくなったのは・・・一度だけ建物の物蔭で、殿下がイ女官を抱きしめていたのを見た。その時、慰めておられるんだなと思ったが、違ったのかもな・・・その現場を見た数ヵ月後だった。真っ青な顔をしてイ女官が倒れたんだ。そしてそのまま退官していった。その後、殿下の落ち込みはしばらく酷かったな。俺はそういうことに疎いから、癒しがいなくなって寂しいんだなって勝手に思ってた」
「ハン殿、先日、ハン尚宮と話をしました。孝烈殿下は、貴方の事をご存じだったそうです」
「えっ!?」
「ハン尚宮は、イ女官が殿下の御子を出産した事をコッソリ知らせたそうです。その際、殿下は『ジョンジェ』とポツリと呟いたそうです。ハン尚宮は、その事をすぐにイ女官に伝えたそうです。映画≪イルマーレ≫のビデオを2人で見たと、その主演の名が≪ジョンジェ≫だそうです。貴方は、間違いなく父に愛されていました。それだけは信じてあげてください」
「・・・ありがとうございます」

チュンハと最高尚宮の話で、ジョンジェの顔は涙でボロボロだった。

「パクおばさん、ハン流通の会長が養父になって、今まで彼を守ってくれてたんだ。礼ぐらい言いに行けよ。勿論、非公式でな」
「分かっておる!ウォン、お前は小姑か!?」
「はぁ?パクおばさん、俺、おばさんの可愛い息子のつもりなんだけど?」

その時、最高尚宮の手がチェウォンの頭を叩いた。

「ウォン、皇太后さまには、お前のような下品な息子はおらぬわ」
「チョン、よい、よい。実の息子より甘えてくれたではないか」
「ホホ、そうでした。初等部高学年になっても皇太后さまの胸を弄っておりましたなぁ・・・」
「「「ブハッ・・・」」」
「///チョンちゃん、坊主たちの前でこっぱずかしい事バラすんじゃねぇ~!坊主、笑うな!てめぇも4歳でチェギョンのペッタンコの乳吸ってただろうが!!」
「///アジョシ!!」
「「「グハッ・・・アハハハ・・・」」」

最初、緊張しまくっていたジョンジェだったが、皆と一緒にお腹を抱えて笑っていた。

(何だ、皇族も俺らと一緒の人間なんだな。泣いたり、笑ったり、今日は色々あって精神的に疲れたかも・・・)

「勘違いするなよ。あのバカがいる時だけだ。あの方たちが低俗に見えるのは・・・」
「ブハッ・・・クククッ・・・分かってます」
「俺は、お前の父親に忠誠を誓った人間だ。ユルさまと同じようにお前を守るから、覚えておいてくれ」
「・・・ありがとうございます。宜しくお願いします」




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