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Channel: ゆうちゃんの日記
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イ・シンの評価 第50話

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亡くなった息子の隠し子との対面以降、皇太后はお忍びで忙しく動き回っていた。
まずハン尚宮の案内で、ハン流通グループ会長宅に訪れ感謝と謝罪をし、イ・ミョンイ元女官の墓参りに行った。
そしてユルが住んでいるマンションを見に行ったり、チェウォンが住んでるユン邸にもお邪魔し、噂の≪面白ネタ帳≫を読ませてもらった。挙句の果てにファヨンを皇籍から黙って抜いてしまった。
それまで何も聞かず、黙って見守っていた陛下と皇后は、慈慶殿に向かったがもぬけの殻だった。

「ハァ、母上は一体どうされたのだ?」
「ハン尚宮に聞いても何も答えてくれません。皇太后さまに口止めされているようです」
「そうだ。太子なら、何か知っておるかもしれん。聞きに行ってこよう」
「太子なら呼び出せばいいのでは?」
「いや、呼び出して教えろと言うより、出向いて教えてほしいと言う方が、相手は口は軽くなるものだ。昔、シン先生が人間の心理の話でされていた」
「言われてみれば、そうかもしれません。では、私もご一緒しましょう」

2人は、東宮殿にシンに会いに行った。
陛下と皇后の突然の訪問に驚いたのは、チェ尚宮だった。

「太子は、中か?」
「はい、コン内官と色々打ち合わせをされておられます」
「分かった。紅茶を頼む」
「かしこまりました」

「太子、コン内官、すまんな。少し邪魔していいか?」
「えっ、どうぞ。珍しいですね。お二人してここまでいらっしゃるなんて、初めてじゃないですか?」
「まぁな・・・少し聞きたいことがあって来たんだ。座ってもいいか?」
「どうぞ。今、お茶を持ってこさせましょう」
「いや、もうチェ尚宮に紅茶を頼んだ。ん?その図面は何だ?」
「ああ、これですか?皇太后さまが持ってこられたものです。ここの向かいの部屋を改装しようとお考えのようです」
「「えっ!?」」
「この間、ユン邸にお邪魔して楽しかったようで、3世代がわいわい騒ぎながら食事ができる空間が欲しいそうです。以前、チェギョンが来た時のような時間ですね」
「なるほど・・・では皇太后さまは、今日もユン邸に行かれているのか?」
「いえ、今日は、昔伯父上付きの侍従だったパク内官の家に行かれたと思いますよ。コン内官に住居を聞きに来られてましたから・・・」
「パク内官の家に?」

チェ尚宮が紅茶をもって現れ、テーブルにサーブしている間、シンは執務机の元に行き、古い日誌を数冊出してきた。

「太子、それは何だ?」
「以前、アジョシが誰にも見せるなと言っていた、パク内官の日誌です。良かったら、どうぞ」
「いいのか?」
「読めば、皇太后さまのされている事に納得いく筈ですから・・・あまり口にしたくないですので、どうぞお読みください。伯父上が婚姻したあたりからです」

陛下と皇后が読んでいる間、シンは再びコン内官と改装について話し合う事にした。
そして肝心な部分を読み終えた頃を見計らって、シンはスマホをタップして1枚の写メを2人に見せた。

「「えっ!?」」
「そういうことです」

シンは、この間の打ちあげで、ジョンジェの写メを撮っていたのだ。
そしてチェウォンのお宝写真集から1枚失敬してきたイ・ミョンイの写真も見せた。

「驚かれるのも無理ありませんよね。アジョシに聞いた話ですが・・・」

シンはそう言って、知っている全ての事を話した。
そして全て聞き終えた陛下と皇后は、皇太后の対応に納得したのだった。

「話は変わりますが、アジョシが宮の拝観を1日休みにしてもらえないかと言ってました」
「ん?」
「チェジュンやユル達に宮の歴史など色々教えたいそうです」
「分かった。コン内官、団体観光の予約が入っていない日を選んで、休観日をホームページで告示しなさい。宮の防火点検とか適当に理由を付けてな」
「かしこまりました」
「ありがとうございます。コン内官、俺の公務の入ってない日にしてくれよ」
「クスッ、そのつもりでございました」

4人で穏やかな時間を過ごしていると、スーッとドアが開き、チェウォンが入ってきた。

「うわぁ、アジョシ!急に入って来たりしたら、ビックリするじゃないか」
「バ~カ、隠れて自慰行為してたわけじゃねぇだろ。このぐらいでビックリするな」
「「///・・・・」アジョシ!」
「クククッ、チェウォン殿、ここにはミンがおるから、お手柔らかに頼む」
「あっ、皇后さま、すいません」
「///いえ・・・」
「で、アジョシ、お忍びできたんだろ?何かあったか?」
「ああ、陛下、王立の後任人事が決まったらしいですね」
「うん、決まった。シン先生の教え子だった方に学長を務めてもらう事になった」
「ええ、それは聞きました。で、何で俺に王立の教授の打診が来るんですか?」
「「「えっ!?」」」
「は?宮は絡んでないの?じゃ、この話はもう良いです」
「・・・チェウォン殿、良かったら、その打診受けてもらえないか?太子が君の講義を受けたがっておるのだ。太子の父としてお願いしたい」
「・・・家のローンがあるんで無理です。でも客員教授として週1で講義するか、神話と合同でゼミを開くか、前向きに考えます。それで勘弁してください<(_ _)>」
「宜しく頼みます。それから太子から、拝観の休みの事を聞いた」
「ああ、はい。坊主、ジョンジェの話はしたか?」
「うん、今したとこ」
「そっか。パクおばさんが孫に会いたい時、いつでも会えるように簡単に宮に入る方法を教えようと思いまして・・・アハハ。それにチュンハも出入りする可能性も出てくると思います。俺の知りうることは、全部伝授しようと思います」
「・・・それは、秘密の抜け道ということか?」
「・・・ええ、そうです。歴代の皇帝と暗行御吏だけが知る通路ですね」
「えっ!?」
「ソンジョおじさんは、≪皇帝の子なら知っていて当然≫と言ってましたよ。子どもの頃、勉強が嫌でよくその通路で隠れて遊んでたそうです」
「・・・私は真面目だったので、訓育をサボったことがなかったな」
「クス、では良かったら、陛下もご一緒にどうぞ。その際は、動きやすい恰好でお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします」
「後ね・・・多分、明日以降に恵政宮さま死亡の知らせが来ると思う」
「「「!!!」」」
「チュンハが、見張りを頼んでた奴が報告してきたって言ってた。荼毘に付して遺骨を帰国させるか、向こうで埋葬するか、そして公表するのかとか、色々あると思うんだ。でもさ、ユル君は正直関わりたくなさそうなんだ。だから、ユル君に被害が出ないように配慮してやってほしい」
「・・・分かった。コン内官、ソ元王族の除籍後の足取りは?
「調べます」
「コンちゃん、これ。10年ほど前に調べた住所。そこから足取り辿れば?でもね、その時点でも渡英する経済力なかったしね。あちら任せは無理かもね」
「・・・ウォン、礼を言う」
「いや、皇帝が処罰した後の監視が、俺の仕事だったし・・・先日、処分した王族たちのフォローもした方が良いよ。逆恨みから皇室廃止論者になる輩もいるからさ」
「分かった。肝に銘じておこう」

陛下は、自分の認識の甘さ、暗行御吏の必要性を痛感していた。

「陛下、俺みたいな奴が必要だと思った?これね、宮の経費出ないからね。陛下のポケットマネーで雇わないとダメな訳。だから信頼がおけて、低賃金で動いてくれる人間に頼むしかないんだ。ホント、ソンジョおじさん、ケチだったよぉ。おれが独身の時は、公務の車中から見かけた看板を参考にしてたし、結婚したら、嫁へのプレゼントに代わったし。俺、ケーキで働かされてたからね」
「ブッ・・・アジョシ、悲惨だな。でも何の看板なんだ?」
「それ、聞く?折角、スルーしたのにさぁ・・・風俗の看板。≪2時間何万₩ポッキリ≫ってやつ。俺、風俗行くために頑張ってたみたいじゃん。行ったけどさぁ」
「「「ブハッ・・・クククッ・・・」」」

今度は、皇后も我慢しきれず、陛下やシンたちと一緒に笑ってしまった。

「坊主、お前にはチェジュン付けてやるけど、賃金もう少し上げてやって。せめてホテルの使用料金ぐらい。ああ休憩料金じゃなくて一泊料金ね」
「ラブホかよ!!」



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