公用車に無理やり乗せられ膨れているチェギョンを見て、シンは心の中で大きな溜め息を吐いた。
(ハァ、チェギョン、男は俺みたいなヤツばっかじゃないんだぞ?!もう少し危機感、持とうぜ・・・)
チェギョンのマンション前で車を降りると、シンは公用車を帰してしまった。
「シン君、帰りはどうすんのよ?」
「隣のパン翊衛士に頼む。それより部屋に行くぞ」
シンはチェギョンの手を引っ張り、マンションに入ると、エレベーターを目指した。
機密性の高いマンションの玄関扉を開け、部屋に入ると、ムッとする熱された空気が体に纏わりつき、汗が噴き出してくる。
シンはすぐにベランダに出る窓を全開にし、空気の入れ替えをした。
(何なんだ?この暑さは・・・マンションって憧れてたけど、夏は勘弁だな・・・)
シンはソファーに上着を脱ぎ捨てると、振り返った。
「!!!チェギョン、お前、な、何やってんだ??!」
「えっ!?何って・・・暑いから、脱いだだけじゃん。私しかいないんだし、シン君も脱いだら?」
「・・・・・」
「ところで、シン君、何で帰ってきたのか、説明してくれるかなぁ?訳分かんないんだけど・・・」
スカートをパタパタさせながら、聞いてくるチェギョンにシンはマジで頭が痛くなった。
「・・・制服の上着を脱ぎたいなら、付けろ」
「付けろ?何を?」
「ブラだ!芸校は、女子高じゃないんだぞ!女なら、もう少し危機感を持て!!」
「へっ!?ケラケラ・・・お子ちゃま体型の私だよ?あり得ないって・・・ブラウス、汗で引っ付いて気持ち悪いから着替えてくるね」
チェギョンはブラウスのボタンを外しながら、クローゼットのある部屋へと入っていった。
扉を閉めることなく、スカートを脱ぎ、ショーツ一枚でウロウロする姿が目に入った瞬間、シンの中で何かが切れた。
部屋に入ると、チェギョンを背後から抱きしめ、両方の胸を手で覆った。
「///えっ!?シン君?」
「お前は、男という生き物が分かってない。ひょっとして、俺を誘ってるのか?」
「ち、違う・・・」
シンは、そのままチェギョンの胸を揉みしだきながら、指先で先端を摘まみ、弄っていく。
チェギョンは必死に逃れようとしたが、シンは容赦なく、感じて尖ってきた先端を刺激し続けた。
「シン君、やめて・・・あっ・・・」
「チェギョン、感じてんだろ?こっち、向けよ」
片方の手を胸から顎に移動させると、グイッと自分の方に振り向かせ、シンはチェギョンの唇を貪った。
息苦しさからチェギョンの口が開くと、シンは舌を潜りこませ、チェギョンのそれと絡めていく。
そして小さい布に覆われた秘所に手を伸ばし、布ごしから撫でだした。
「///!!!あっ・・・んっ・・・」
「気持ちいいか?チェギョン・・・胸が小さかろうが、こうして触られれば感じてしまうもうれっきとした女性の体なんだと自覚しろ」
シンが布の中に手を入れ直接触れると、秘所はすでに潤んでいる。
敏感な個所を円を描くように執拗に撫で続けていると、チェギョンは足をガクガク震わせ、目の前にあったベッドへと倒れ込んでいった。
シンは、グッタリとしているチェギョンの隣に寝転び、汗で額に張り付いている髪の毛を撫で上げ、梳いてやった。
「ちょっとお仕置きのつもりがスイッチ入っちまった。怖かったか?」
「・・・・・」
「女性も男性の好みが人それぞれのように 男も人それぞれだ。それに触れてみて思ったんだが、チェギョン、お前の胸、そんなに小さくないぞ。キレイな形だし、俺的にはストライクど真ん中の大きさだな。うん」
「・・・変態」
「クスクス、男って、こういう生きもんなんだ。チェギョン・・・いつか俺の許から飛び立っていくのは分かっている。それまではオッパとしてでもお前の傍にいたいと思ってる。だから、もうこんなことしないから、今日の事は忘れて、今まで通り接してほしい」
シンが言い終えた瞬間、向こうを向いていた顔をシンの方に向けると、ガバッっと上半身を起こした。
「ちょっと、待ってくれる?その私が、シン君の許から飛び立つって、どういうこと?」
「・・・・・」
「シン君、この前、俺の事を考えてくれって言ったよね?昔の約束を守ろうって・・・あれって、私の体の為を思って吐いた嘘だったの?」
「チェギョン・・・それは・・・違う」
「どう違うのよ?薄々感じてたけど、シン君にとって私は、手のかかる妹なんでしょ?あ~あ、真剣に悩んで損した」
「そんな訳ないだろ!俺がどれ程お前を愛してるか・・・本心は、今すぐにでもお前を俺のモノにしてしまいたい。でも俺がそれを望めば、あの窮屈な宮に縛り付けてしまうことになる。折角、自由を手に入れたお前をまた檻の中に入れてしまう事になるんだぞ。そしてお前は、俺の大好きな笑顔を失う。それが分かってて、手を伸ばせるか?」
「シン君・・・」
シンの悲痛な本心を聞いたチェギョンは、シンの体の上に跨った。
驚いてチェギョンを見上げたシンは、チェギョンが目を潤ませながら怒っていることに気づいた。
「誰が、宮は窮屈でイヤだと言った?シン君の目には、私が窮屈そうに映った?」
「チェギョン・・・」
「ストレスと緊張の連続の毎日の中で、心の支えはシン君との楽しい思い出とあの約束だった。行き場を失くした時、一目シン君に会いたくて、例えシン君が私の事を忘れていても同じ空気を吸えるだけで良いと思って帰国したのに・・・シン君に言われて、やっと私の夢が叶えられると思ったのに・・・」
そこまで言うと、チェギョンはポロポロと涙を流しだした。
「チェギョン・・・じゃあ・・・チェギョンの夢って・・・俺のお嫁さんだったのか?」
「もう、いい。アメリカのアッパとオンマの許に帰る。シン君、出てって!」
ベッドから降りようとしたチェギョンをシンは後ろから抱きしめ引き留めた。
「チェギョン・・・ゴメン。俺、臆病だった」
「もういいから、放して!」
「放さない!俺、自信がなかった。でもチェギョンの気持ちが俺にあると分かった以上、手放すことはできない。チェギョン、愛してる。もう我慢しない。このまま俺のモノになれ」
シンは、そう耳元で囁くと、そのままチェギョンの首筋に唇を這わせていくのだった。