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Channel: ゆうちゃんの日記
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ショックⅡ

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御曹司の3人カン・イン、リュ・ファン、チャン・ギョンは、皇太子であるイ・シンの友人だ。
皇太子の親友と豪語している3人だが、最近シンの態度には不信感を持っていた。
元々口数が多い方ではないシンが、全く話さないどころか目も合わそうとしないのだ。

「ねぇ僕ら、何かシンにした?」
「心当たりがあったら悩まないって・・・イン、ヒョリンは何て?」
「何も言ってこないってことは、ヒョリンの前では普通なんじゃねぇか?」
「じゃ宮で何かあって、八つ当たりしそうだから態と俺たちを避けてるのかもな・・・」
「そうなら良いんだけど・・・ん?!シン、どっかに行くみたいだよ」
「尾けてみようぜ」

教室を出てシンの後を付いていくと、シンは校舎を繋ぐ渡り廊下の中央で女生徒と待ち合わせをしていたようで、周りの視線を気にすることなくにこやかに話していた。
そしてスマホを取り出し、お互いの連絡先を交換しているようだった。

「おい、どういう事だ?」
「・・・シン、笑ってるね。あの子とお付き合いしてるのかなぁ?」
「じゃヒョリンはどうなるんだ?捨てられたのか?」
「ギョン、シンがそんな無責任な事をするわけないだろうが・・・皇太子なんだぞ!」

3人が口論していると女生徒との話が終わったようで、シンが映像科の校舎の方に戻ってきた。
シンが3人の前を素通りして校舎に入ろうとしたので、慌ててインがシンの腕を掴んで引き留めた。

「シン、話がある。今の女生徒は何だ?」
「・・・お前達には関係ない」
「「!!!」」
「インもギョンもちょっと落ち着いて。シン、黙ってたら分からない。僕達、何か悪いことした?さっき彼女と連絡先、交換してたよね?」
「・・・ああ、機種を変えるついでにナンバーも全て変えたんだ」
「俺ら、聞いてねぇぞ。シン、一体どういうつもりだ?」
「・・・イン、それは俺が言いたい。友人だと思ってたから、拘束するのは止めた。感謝してほしいぐらいだ」
「「「えっ!?」」」
「最近、ストーカー並みに嫌がらせ電話とメールがくる。まぁ登録者していないナンバーやメルアドだから取ったり、開けたりはしないが・・・」

シンは、そう言って以前使っていたスマホを取り出し、着信履歴を見せた。
そこには、同じ電話番号が数分おきにズラーッと並んでいた。

「正直、ここまでされると公務や執務にも支障が出ている。だから変えた。でも問題が残った。誰が嫌がらせしてるのか、もしくは俺のナンバーを漏洩させたのか・・・で、このナンバーの持ち主を調べた。イン・・・このナンバーの契約者はお前だったよ」
「「えっ!?」」
「イン、お前の目的は何だ?」
「ちが、違う。俺じゃねぇ。ていうか、シン、何でヒョリンのナンバーを登録してないんだ?」
「・・・意味が分からない。どうしてお前の女のナンバーを俺が登録しないといけないんだ?イン、俺の立場分かってるか?なぜ自分の女に俺のナンバーを漏洩した?」
「俺はしてねぇし、ヒョリンは俺の女じゃない!シン、お前の恋人だろうが!!」
「はぁ・・・お前たちまでそんなデマを信じてたんだな。俺はヒョリンと一度も話をしたこともないし、2人きりで会ったこともない。学校内でもだ」
「・・・ヒョリン、キスしたとか、宮に招待されたとか言ってた。それ、全部嘘なのか?」
「ギョン、嘘だ。お前達は俺に確認することなく、ヒョリンの嘘を信じた。そんなお前達のどこを俺は信頼すればいいんだ?」

インのように感情的になることなく、淡々と冷静に話すシンを前にして、3人は口籠ってしまった。

「そうか、そこまで嘘を吐いていたのか・・・イン、宮はカン家に対して申し入れを行った」
「えっ!?」
「お前にとってヒョリンは何だ?スマホ代、乗馬クラブの必要経費全部、バレエ教室への送迎にデート代、そこまで貢いでいて、なぜ俺の女だと言いきるのか俺には理解できない。男の純情とか言うなよ。被害を被った俺はいい迷惑だ」
「シン・・・でもヒョリンはお前に惚れてて、お前に釣り合いたくて頑張ってたんだ」
「他人の金でか!?さっきの彼女、親にこれ以上迷惑を掛けられないと言って、自分と弟の小遣いをバイトして捻出している。俺は、彼女の方が頑張ってると思うが?」
「・・・・・」
「シン、さっきの子、庶民なのか?」
「ギョン・・・俺から言わせれば、お前も親が金を持ってるだけの庶民だ。セレブだと鼻にかけてる分、性質が悪い庶民だな」
「///なっ!!・・・」
「今は21世紀だ。身分は関係ないと思っている。勿論、職業の貴賤もない。だからヒョリンが母子家庭だろうが気にはしない。だが自分を社長令嬢と偽って、周りを見下しているのはいただけない。そして何より知っていてイン、注意もせず黙認していることに対して理解に苦しむ」
「・・・シン・・・」

ファンとギョンはヒョリンの素性を知り唖然とし、特にギョンは騙していたインとヒョリンに腹が立ってきた。

「ギョン、落ち着け。話はここからだ。俺は皇太子だ。国民の手本になるように自分を律してきた。そんな俺の周りに国民を見下すような言動をするお前たちを置いておくわけにはいかない。イン、もう少し俺の立場を理解してくれてると思ってたよ。俺の婚姻は全て白日の下に晒される。母子家庭の娘でも父親が確定していたら犯罪者でない限り、俺が選んだ人だからと国民は祝福してくれるだろう。しかし戸籍の父親の欄が空欄の娘は無理だ。自分が父親だと大勢が名乗りを上げてくる可能性があるからだ。そんなスキャンダル、宮もだが俺も面倒だし嫌だ」
「「「・・・・・」」」
「そうだ。本人が知らないのは不憫だから話しておく。イン、高校卒業前に婚約だそうだ」
「えっ!?」
「ヒョリンの母親に対して賠償訴訟を起こしても、家政婦をしている母親に返済能力はなさそうだと父君は嘆いておられたそうだ。だからヒョリンと縁を切らせるために取引先の令嬢と婚約して、高校卒業後すぐに兵役に就かせる。と、陛下に仰ったと聞いた。一体、どれだけの金額を注ぎ込んでたんだ?お前には呆れるよ」
「・・・・・」
「ヒョリンだが、皇后さまが総裁を務めている才能ある芸術家の卵に対する留学制度に申請を出していたが、いらぬ勘違いをされても困るので不受理となった。会ったら、別の道を探せ。また俺を冒涜する嘘を吐いたら、宮は容赦しないと言っておいてくれ。俺の話は、以上だ」
「シン、本当に誤解していてゴメン。これからの僕らを見てて。そして改心したと思ったら、友人としてまた付き合ってほしい」
「・・・考えておく」
「最後に聞いていい?さっきの女の子とシン、付き合ってるの?」
「///ああ。俺に対してもフラットで明るくて、一緒にいて楽しいんだ」
「なぁ、陛下たちはご存じなのか?」
「クスッ、御存じも何も皇太后さまの紹介で知り合ったのに反対はないだろう。インじゃないが、もうすぐ婚約する」
「シン、そんな結婚で良いのか?やっぱ皇族は、反抗できなくて仕方なくなのか?」
「今、言ったろ。良い子だって・・・最初は反発しようとしたさ。でもアイツが皇太后さまの前で俺を説教して断わってきたんだ。でもそれで目が覚めたというか・・・今は、彼女を許嫁にしてくださった先帝陛下に感謝してる」
「へぇ・・・シンが惚気るなんて、本当に良い子なんだね」
「///ああ・・・そう言えば、アイツを公用車に乗せて宮に戻った日以降なんだ。イタ電が頻繁に来るようになったの。万が一、アイツに危害を加えるようなことがあったら、生涯塀の中か祖国の土を踏めないと伝言頼む」

イン達がギョッとしている間に シンは校舎に入って行った。

「イン、今すぐ舞踊科に急いで行って、ヒョリンを言い聞かせるんだ。シンだけじゃない、宮全体を敵に回すことになるぞ」
「ああ、分かった」

インが舞踊科に走って行くのを見送った後、ファンとギョンは周りの生徒達の冷たい視線に気づいた。

「・・・ヒョリンの嘘に振り回された僕らって、皆から見たら世間知らずなマヌケなんだろうね。情けない」
「だな・・・俺の所為でシンの評判が落ちてたとしたら、俺、シンにも親にも顔向けできない。マジで考えを改めるよ」
「手始めにアルバイトでもする?シンの彼女のようにさ」
「そうだな。親父に頼んで、俺でもできる仕事を斡旋してもらうよ」
「僕も・・・でも僕達よりインが心配。インがヒョリンを好きな事は知ってたけど、ちょっとやり過ぎたよね」
「だよな・・・ヒョリン、自慢したかっただけかもしれないけど、バレエまで取り上げられちまって、これからどうすんだろうな・・・」
「うん・・・」


その後、師事していたバレエ教室のナム先生にも見放されたヒョリンは、授業料を払ってもらえず自主退学するしかなかった。
そして宮からの申し入れが母親が住み込みで働いていたミン社長宅に入り、激怒した社長夫妻から追い出され、母親の故郷に向かったと風の噂で聞いた。
当然ながら、インはシンと接近禁止命令が出て、クラスでも浮いた存在になってしまった。

「ギョン、頑張ってるみたいだね。父さんから聞いた」
「おう、まぁな。昨日の懇親会で、親父同士会ったみたいだな。親父さんからインのこと、何か聞いたか?」
「うん。イン、ヒョリンに使った分、働いて全額返済するみたい。僕達以上にアルバイトに励んでるみたいだよ。お金の有り難味を知れって事だろうね」
「シンじゃないけど、一体どのくらい注ぎ込んでたんだ?」
「さぁ・・・それよりあそこ見てごらんよ。シンがフィアンセちゃんといるよ」
「うへぇ、あのシンのデレ顔・・・相当惚れこんでますって顔してるな」
「うん。シンのあんな顔を引き出せるなんて、ホント良い子なんだろうね。本人も笑顔が良いよね。僕達、ホント見る目がないというか、視野が狭すぎたんだね」
「ファン、反省したら同じ過ちを犯さないようにすればいい。そうしたら必ず前途は開ける筈さ。名誉挽回ためにも、頑張ろうぜ」
「うん♪」








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