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Channel: ゆうちゃんの日記
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選択 第6話

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チェギョンの怒鳴り声に皇后が唖然としていると、最長老がにこやかに表れた。
 
「クククッ、皇后さま、躾がなってなくて申し訳ありません。儂の孫同然の子です」
「私に腹黒い祖父はいない!それより、ちゃんと説明して!!さっきの人たち、絶対に逆恨みしてるわよ。どうしてくれるのよ!?」
「明日からSPを増やすように手配してある。安心しなさい」
「そういう問題?これ以上、窮屈なのは嫌だっつうの!それよりヘジャおばあちゃん、どういうこと?いつ、私が女官になりたいって言った?!」
「チェギョン、ゴメンナサイね。皇太后さまのご指示だったの。何とかして、この部屋に潜りこむようにって・・・」
「ハァ・・・パクお婆ちゃまもグルなの?!兄が狸なら、妹は九尾のキツネね」
「クククッ、その九尾のお狐様が、正殿の居間で待っておる。皇后さま、お体が大丈夫のようなら正殿までご一緒してください」
「え、ええ、分かりました」
「チェギョン、殿下と一緒に皇后さまを支えておくれ」
「お爺ちゃん!一体、私に何をさせたいの?」
「チェギョン・・・皇后さまに触れれば分かる。ほら、皇后さまの許に行っておいで・・・殿下、お願いします」
 
シンは頷くと、皇后の手を取って立ち上がらせた。
 
「皇后さま、ソウル第一中学校1年のシン・チェギョンです。良かったら、私の肩に手を回してください」
「あ、ありがとう。では、行きましょうか・・・」
 
皇后は、チェギョンとシンに支えられながら、最長老と最高尚宮を従える形で正殿へと向かった。
 
(想像した以上に何の教養もない子たちだった。時間がない。この命が尽きるまでに宮の膿を出し切り、この子を託せる人を早く探さないと・・・吾子よ、どうか辛い立場の兄上を支えておくれ。。。それにしても、最長老に悪態を吐くチェギョンというこの子は、一体どういう子なのだろう。あっ、皇太后さまが仰っていた面白い趣向とは、この子の事だったのでは・・・)
 
正殿の居間に入ると、人払いを済ませたのか皇太后一人が皆を出迎えた。
ミンは、シンとチェギョンに支えられたままソファーに腰かけた。
 
「ミンや、お疲れさまでした。で、首尾は?」
「はい、皇太后さま。見事なまで愚かな母子でございました」
「やはりの・・・チェギョンや、なぜ俯いておるのじゃ?可愛い顔を見せておくれ」
「・・・・・」
「チェギョン?」
 
顔を上げたチェギョンは、涙をポロポロと流していた。
 
「お婆ちゃまの嘘つき。確かに宮は綺麗だとは思うけど、一体どこが素晴らしいの?何で、ここに住む人は、皆寂しいと思ってるの?お婆ちゃま自慢の孫、私、こんな寂しい人初めて出会ったよ。彼の中には、怒りと諦めしかなかった」
「「!!!」」
「チェギョンや・・・」
「皇后さま、他の方法はないんですか?もっと違う選択もできたんじゃないですか?息子さん、物凄く誤解してますよ。誤解を解かないと、息子さんは死ぬまで後悔しますよ」
「えっ!?」
 
(この子は、一体・・・)
 
「お爺ちゃん・・・一体、私に何をさせたいの?お爺ちゃんが私を利用するの?」
「チェギョン、利用じゃない。協力してほしいのじゃ。儂の為ではなく、皇后さまの為に・・・宮を助けておくれ」
「・・・皇后さまの為?さっき宮の膿を出し切るって聞こえたけど、その事?」
「皇后さまが?そうじゃ。。。宮に来てから聞いたことを全部教えてほしいのじゃ。今日で一気に形をつけたい」
「・・・お爺ちゃん、スンホ爺ちゃんを呼ぶことできる?」
「スンホはちょっと・・・コン内官!コン内官はおらんか?
 
廊下で待機していたのか、コン内官が居間にスーッと入ってきた。
 
「最長老さま、お呼びでございましょうか?」
「うむ・・・チェギョンの話を聞いてからじゃ。。。チェギョン、この男はお前の事を知っておる。信頼していい」
「知ってる・・・お爺ちゃん、王族にイム氏とアン氏っている?」
「・・・おる。それがどうした?」
「派手な親子のアジュマが、2人には根回しは済んだって。長老を引き込むには、どのくらいお金がいるんだろう?だって。ねぇ、これって賄賂?」
「「「「!!!」」」」
「奥のアジュマは、ムシャクシャするから今晩男を呼び出して一晩中騒ごうって。それとこんなに早くお呼びが掛るなら、小学生の内からプチ整形を始めるんだったって後悔してた」
「・・・皇太后さま、前者はホ氏の奥方ヤン・ミらさま、後者はパク氏の奥方イ・ミヨンさまでございます」
「何と・・・」
 
最高尚宮が耳打ちをすると、皇太后は絶句してしまった。
そしてコン内官は廊下に出ると、王族のホ氏、イム氏、アン氏の銀行口座を至急調べるように情報部に連絡を入れた。
 
「ヘジャお婆ちゃん、お婆ちゃんが女官の一番偉い人だって、この間言ってたよね?」
「ええ、そうですよ」
「じゃあ、聞いていい?下女は女官見習いになれないの?」
「ええ、残念ながら、尚宮法で決まっていて、下女は女官にはなれないわ」
「宮に来てすぐ、お爺ちゃんが私を蹴とばしたの。その時、助けてくれた女官見習いのオンニがね。下女あがりの新人がまたサボってる。どんな汚い手を使って、下女が女官見習いになったのかしら?って、ボヤいてたよ」
 
最高尚宮は顔色を変えたが、すぐにチェギョンに礼を言うと、皇后のブランケットを持って戻ってきたばかりのハン尚宮を連れて、正殿を出ていった。
 
「お爺ちゃん、あと玄関に立ってたオッパ、具合悪そうだったよ。この季節に汗をかくなんて普通じゃないよ。早く病院に連れていった方が良いと思う」
「分かった。コン内官から翊衛士長に連絡を入れてもらおう」
「あとね、パクお婆ちゃま、ヘジャお婆ちゃん、最近、左足を少し引きずって歩いてるよ。お膝、悪いんじゃない?お婆ちゃまがいいなら、私からソジュンお爺ちゃんに連絡して、病院の予約入れるよ。もっと一緒にいたいんでしょ?」
「知らなかった・・・チェギョン、教えてくれてありがとう。今日は忙しいから、明日に診療予約を入れておいておくれ」
「分かった。。。ねぇ、皇太子殿下の君、すっごく皇后さまに愛されてるね。大事にしないと、ホント罰が当たるよ」
「チェギョンさん・・・ありがとう」
「皇后さま・・・ずっと手を握っててすいませんでした。私って、なぜか触れるとその人の心の声が聞こえちゃうんです。だから、もう手を放してください。お優しい皇后さまから、私を気味悪がる声を聞きたくないんです。えへ・・・」
 
チェギョンが寂しそうに笑うと、皇后はギュッとチェギョンを抱きしめた。
 
(チェギョン、あなたは誰よりもいい子で優しい子よ。小さいのにこんなに気配りができるなんて、自分の娘にしたいぐらいよ)
 
その瞬間、チェギョンは声をあげて泣きだした。
 
 
 

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