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Channel: ゆうちゃんの日記
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前進あるのみ 第53話

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東宮殿でも 大事に愛されたチェギョンは、シンにすっぽり包み込まれて眠っている。
朝の儀式の為、先に目を覚ましたシンは、甘えて擦り寄ってくるチェギョンの頬に唇を寄せた。
 
(・・・俺、もう抑え効かないかも・・・もう絶対に手放さない。いや、手放せない。チェギョン、覚悟しろよ)
 
「ううん・・・シン君、もう朝?」
「ああ・・・おはよう。体、大丈夫か?」
「えっ!?///あっ・・・うん。大丈夫」
「シャワー浴びて、朝の挨拶に行ってくる。チェギョンもその間にシャワー浴びて、着替えてて。戻ってきたら、飯にしよう」
「うん♪」
 
シンは、昨夜脱いだバスローブを羽織ると、バスルームへと入っていった。
 
(いつものシン君だった。さぁ、私もシャワー浴びよっと・・・)
 
 
2人で料理長が作った朝食を食べると、チェギョンはパン翊衛士の車に シンは公用車に乗り込み、学校へと向かった。
2台の車が連なって学校に到着すると、玄関前でユルが待っていた。
 
「あっ、ユル君だ~♪おはよう」
「チェギョン、おはよう。今日も元気だね」
「うん♪見て、見て。ブラしたら、谷間ができたんだよぉ♪」
「クスクス・・・良かったね。チェギョン、少しシンと話があるから、先に教室に行ってて」
「うん♪じゃあ、お先にね」
 
チェギョンが校舎に入っていくと、今まで苦笑していたシンがユルに向かって話しかけた。
 
「俺に話って、何だ?」
「どうしようか悩んだけど、やっぱりお前は知ってた方が良いと思う。行きたいところがある」
「・・・分かった。俺が乗ってきた公用車で良いか?」
「構わない。話は、車の中でする。時間がないんだ」
 
シンがUターンしてきて、ユルと車に乗り込んだため、翊衛士たちは慌てて運転席と助手席に乗り込んだ。
 
「悪いけど、仁川国際空港の出発口まで急いで行ってくれる?」
「はい、かしこまりました」
 
車が動き出すと、シンはユルに質問しようとしたが、ユルはそれを手で制し、携帯を取り出した。
 
「父さん?今から、僕もシンを連れて見送りに行くよ。シンが行くから、チャン総裁にVIPルーム使えるように頼んでくれない?じゃあ、お願いね」
「ユル、一体、誰の見送りなんだ?」
「・・・チェギョンのご両親」
「えっ!?」
「昨日、お前たちが早退した後、アジュマがチェギョンに会いに学校に来られたんだ。で、僕が徳寿宮に連れ帰った。アジョシは、父さんが病院から拉致してきて、そのまま泊まってもらったんだ」
「なぜ、連絡しなかった?」
「二人とも携帯切ってたくせに僕の所為にしないでよね。それとアン先生が来て、チェギョンの病気の話をされたんだ。アジョシたち、何も聞かされてなかったみたいでかなりショック受けられてた。で、今回、チェギョンに会わす顔がない。会わずに帰るって・・・でもシン、お前は会っておいた方が良いと思ったんだ。また一歩、前に踏み出しただろ?」
「えっ!?」
「昨日、鞄持って、アジュマとチェギョンのマンションに行ったんだよね。パン翊衛士が、ベッドメイキングしてたよ」
「///あっ・・・!!」
「クスクス・・・そういうこと!アジュマがアジョシに話したかどうかは知らない。でもアジョシに会って、言う事があるんじゃない?」
「だよな・・・サンキュ、ユル。俺、あの天真爛漫なチェギョンを窮屈な宮に閉じ込めるべきじゃない。いつか手放さないとって思ってた。そう言ったら、馬乗りになって怒鳴られた。『いつ宮が窮屈だって言った?』ってさ」
「クスクス・・・パン翊衛士から、詳しく聞いた。で、前に進んだんだ。シン、いくら暑くても窓は閉めてやれ!隣までまる聞こえだったらしいぞ」
「///なっ・・・どうりで・・・グッドタイミングというか、終わって汗が引いたころに、『殿下』って声かけられた」
「クスクス・・・合房の予行練習したと思いなよ。でもさぁ、チェギョン、思ってたより元気だったね」
「///な、何の話だ?」
「あのシーツ見たらさぁ・・・シン、相当無茶したでしょ?」
「///うるさい!暴走しないように 必死に抑えたっつうの!!・・・・でもさぁ、俺、アイツにフラれたらダメかも・・・」
「はぁ?そんなこと、二人を知ってる全員がそう思ってるけど?」
「///ムカつく・・・」
「クスクス・・・で、どういう意味?」
「チェギョンと再会する前にさ、ファンとギョンが勝手に俺の女性の好みはロリコンだって話してて、ムッとしたことがあるんだけど・・・あながち外れてなかったなって・・・俺、成熟した女性は多分無理・・・」
「プッ、マジ?じゃあ、大事な従兄弟殿が犯罪者にならないように宮が総力上げて、嫁取りでもする?」
「・・・フラれそうになったら、お願いするかも・・・」
「クククッ・・・シンとこんな会話できるとは思ってなかった。本当にチェギョンと再会できて良かったよね」
「///俺もそう思う。アジョシにあったら、ちゃんと申し込むよ。チェギョンをくれって」
「アジュマは、チェギョンの選択を応援するってさ。昨日の感じでは、随分、壁は薄くなってる気がする。シン、頑張れ」
「ああ、ありがとうな」
 
公用車が空港出発口に着くと、空港関係者に案内され、館内へと入っていった。
空港利用客たちは、制服姿のシンが突然現れたことで、何事かと息を呑んで見守っていた。
シンとユルは、特別に出国ゲートの中に入らせてもらい、チャン航空のエグゼクティブクラスのラウンジに案内された。
 
「父さん、連れてきたよ」
 
ユルがスに声を掛けると、3人が振り返って、シンとユルを見た。
 
「アジョシ?」
「えっ!?シン坊か?」
「アジョシ~~!!」
 
シンは駆け寄ると、立ちあがっていたチェウォンに抱きついた。
 
「・・・アジョシ、会いたかった」
「こら、大男になった癖に泣くんじゃない!・・・昨日、アン先輩に怒鳴られた。シン坊、寂しい想いをさせて悪かったな。それから、チェギョンを支えてくれて、ありがとうよ」
「アジョシ・・・」
「シン坊、俺たちはチェギョンの意志を尊重するよ。ただな、一つ気がかりがある」
「気がかり?」
「あるトラブルが原因で、チェギョンは契約を途中放棄して帰国してるんだ。その契約がどうなったのかは、俺も知らないんだ。ひょっとしたら、もう一度舞台に立つ必要があるのかもしれない。チェギョンが決断を下すまで、待ってやってくれないか?」
「じゃあ、チェギョンを嫁に貰ってもいいってこと?俺、アジョシにくれって頼みに来たんだ。チェギョンなしじゃ、もう俺ダメみたいなんだ」
「お前は、昔からホント変わってないな。シン坊、今度帰国したら、久しぶりにキャッチボールしよう。練習しておけよ」
「うん・・・」
「じゃあ、そろそろ行くよ。シン坊、チェギョンを頼む」
「任せといて」
「チェウォン、近いうちに完全帰国して来い。待ってる」
「ス・・・考えておく。ユル君、君に会えて良かったよ。君もいい人を早く見つけて、俺たちに紹介しておくれ。楽しみにしている」
「はい、アジョシ。アジュマ、色々とありがとう」
「ユルちゃん、私の息子。また会いましょうね」
 
チェウォンとスンレが係員の誘導で搭乗口へと向かうのを ス、シン、ユルはそれぞれの想いを胸に抱いて、見送るのだった。
 
 
 
 
 
 

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