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Channel: ゆうちゃんの日記
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選択 41話

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ジュンピョの一言で、サロンの雰囲気が一変してしまった。
 
「・・・じゃ、簡単な所から。ウォンオッパ、お掃除ロボットをとりあえず10台用意して。それから拭き掃除用のお掃除ロボットも開発されたと聞いた。それも1台欲しい」
「了解。明日の午前中に届ける。どこに持っていけばいい?」
「予定が分からないから、とりあえず宮の東宮殿まで」
『!!!』
「・・・今、宮は人手不足で非常事態なの。効率よくできるところは、手間を省きたい。そうでないと、彼女たちの負担が大きすぎる」
「俺が人を派遣してやろうか?」
「それをしたら、私達が宮を乗っ取ると思われるでしょうが・・・それでなくても相当介入してるんだから、絶対にダメ」
「分かった。他に調達するもんは、何だ?」
「うん。この中にホームセンターか清掃会社を持っている人いる?」
『俺んち、清掃会社があるぞ』
「オッパ、高層ビル用の窓拭き道具が欲しい。ゴンドラは要らないわよ。あのワイパーみたいなの」
『ああ、あれね。了解。確認しないと分からないけど、とりあえず10本ほど用意するよ』
「お願いね」
 
チェギョンが次々と細かい物品の調達をメンバーたちに依頼していくのを 皇后とシンは唖然として聞いていた。
 
「ここからが、大きい仕事になるんだけど・・・翊衛士のオッパたち、トレーニングジムが宮にあったら利用しますか?」
『!!!』
「宮は無駄が多い、これが数日宮で過ごした私の感想。鍵のかかった古い楼閣の前や1日中出入りのない門の前での警備、それって必要なの?その割には死角は多いし、潜りこみやすい。なのにオッパ達には、鍛錬する時間がない。すごく悪循環だと思う」
「おい、宮ってそんなにセキュリティーが甘いのか?」
「ジュンピョ、宮が盤石ならいいが、今はそうじゃない。その道の人間なら簡単に入れる箇所が数か所あった」
「・・・俺が、宮のセキュリテばィーをすべてチェックする」
「うん、宮より広大な敷地を万全に守ってるオッパにレクチャーを頼もうと思ってた。お願いします。それから、光化門は仕方ないけど、出入りの少ない門は閉めきって守衛を置いたらどうかと思ってる。今、提案した女官に関する提案を皇后さまに了承を貰うのと警備についてはシン君が陛下と話し合って許可を貰ってほしい。シン君、お願いできる?」
「・・・宮に戻ったら、早速陛下と相談して、必ず許可を取るよ」
「お願いね。大統領警護官やウビンオッパやジュンピョんちのSPに比べて、悪いけど翊衛士のオッパ達は線が細いと思う。危機感が違うと言われれば、それで終わりなんだけどね」
「チェギョン、どういう意味だ?」
「シン、俺らは敵が多い。逆恨みで命を狙ってくるヤツがいるかもしれない。実際、俺は高校生の時、車に追突されたからな。だから俺らのSPは、命を懸けて守ってくれている。皇族を殺そうというヤツは皆無に近い。命と怪我、守るという意識が根本的に違うんだ」
 
翊衛士達は自分たちの甘さを指摘され、俯くしかなかった。
 
「一番の問題は、チェギョンの滞在だ。少しでも危険な場所には置いておけねぇ」
「ウビンオッパ、私の事はいいから。私が言いたいのは、翊衛士のオッパ達が、誇りを持って楽しく仕事をして欲しいってことかな?だから聞いたの。トレーニングルームがあれば、利用しますか?」
「はい。全員が喜んで利用すると思います」
「じゃ、翊衛士の控室と休憩所、改築しよう。ウビンオッパ、設計と建築、スンホ爺ちゃんと相談して、お願いね」
「分かった」
「ジュンピョ、古いトレーニングマシンはもう捨てた?」
「チェギョン、フィットネスクラブがあるから、古い型でいいなら俺が調達できる。任せなさい」
「俺んちもどっかにあるんじゃねぇか?あとで聞いておいてやる」
「ウビンオッパ、ジュンピョ、お願いします」
「・・・チェギョン、宮の為に動いてくれるのは有難いが、建築費用はどうするつもりだ?」
「ああ、それね。アジョシに聞いたんだけど、うちにね、シン君名義の有価証券が結構あるんだって。ソンジョ爺ちゃんが、うちのお祖父ちゃんに施設を建てる一部にってくれたらしいのね。でも皇族の個人資産を使うわけにいかないから、株式とかに変えたんだって。それをうちが買い取ることにして、そのお金で建てます。だから誰も損はしてないから安心して」
 
シンと皇后は、キツネに抓まれた気分だった。
 
「ふふふ、うちには妖怪ジジイが屯してるお蔭で、株で損をすることはないから、聞いたけど莫大な資産だったよ。ついでに食堂の向かいにテラスを作るつもり。ほぼ1日拘束されてる女官のオンニ達にも息抜きは必要だもの。イジョンオッパ、腕のいいバティシエ知らない?あとパン職人も」
「何で俺だよ!?」
「周りに女性が一番いるから。話題に上るでしょ?でも引き抜いちゃ店に悪いかなぁ・・・」
「1年か2年契約にして、優秀なコックに教え込めばいい。今度、ヨーロッパに出張するから、探して契約してきてやる。それまでに宮を丸めとけ」
「それは、大丈夫。ハギュンアジョシに口で勝てる人は、宮にはいないと思う」
「あの人は、特別だ。どうだ、俺の秘書と交換しねぇか?」
「絶対にいや!!アジョシで思い出した。誰か、家が100均を経営している人はいませんか?」
『????』
「クスクス、チェギョン、筋金入りのお坊ちゃま集団が、100均を知っている訳ないじゃない」
「そうなの?まぁ私もオンニに教えてもらうまで知らなかったかも・・・」
「ク・ジュンピョ、100均というのは、店にある全商品が100₩の店のこと。不本意だけど、チェギョンが行くなら、1軒貸し切りにしてあげてくれない?」
「それは構わねぇが・・・どこにあんだ?」
「結構あるわよ。ちょっと宮の近くで調べてみるわね」
 
今まで黙っていた女性が携帯で調べ出すと、チェギョンはシンにジュンピョの恋人だと耳打ちした。
 
「皇后さま、ちょっと覗いて帰りませんか?種類も豊富で、何でも揃ってるらしいんです。ちょっとした社会見学ですね」
「ふふふ、楽しそうね。シン、貴方も一緒に行くわよ」
「勿論です。でもチェギョン、そこで何を買うんだ?」
「陛下の執務室を覗いたら、報告書のファイルが雪崩を起こしてたの。絶対にアジョシは怒り狂ってると思う。だから、アジョシのお助けグッズをちょっと調達しようと思って・・・」
「チェギョンは、陛下の執務室まで探検したのか?」
「うん♪キムオッパの案内で、くまなく見て回ったよ。多分、シン君が陛下の代わりに執務をすることが増えると思う。その準備も兼ねてね。そうだ、10個買ってあげる。好きなものを選んでよし!」
「チェギョン、私も♪」
「勿論、皇后さまもです。一緒に100均を探検しましょうね」
 
宮近くの100均の店を抑えられ、帰る段になって、チェギョンが物言いたげにジュンピョを見上げた。
 
「まだ俺に用があるんだろ?何だ?」
「うん・・・ジュンピョ、イギリスにも行く?」
「ああ、行くぞ。何かあるのか?」
「・・・手紙を書くから、ある人に届けてほしい。住所は、ウビンオッパに調べてもらう」
「それは構わねぇが・・・一体、誰だ?」
「アジョシの奥さんと娘さん。7年前から、ス殿下の忘れ形見のお世話をしてるんだって」
「「えっ!?」」
「私、従姉妹がいるって知らなかったから、シン家当主として今まで非礼を詫びようと思って・・・できたら、アジョシには内緒で出したい」
「・・・分かった。書いたらここに持って来い。ウビンの手を借りずに俺が調べて、必ず届けてやる」
「ありがとう」
 
(ハギュンさんに内緒って、一体、チェギョンは何を書くつもりなんだ?)
 
 
 
 
宮に戻る途中、100均に立ち寄った一行は、余りの品揃えに興奮し、嬉々として欲しいものを籠に入れまくった。
 
「こんな楽しい所で、10個なんて無粋よね~♪いっぱい買っちゃおうっと・・・」
 
その所為で、荷物持ちの翊衛士達は、何度も店と車、店と宮を往復する羽目になってしまった。
そして、その日の店の売り上げは、開店以来過去最高で閉店するまでそれを上回ることはなかった。
 
 

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